TUBEのギタリスト・春畑道哉が8月22日、Jリーグ発足25周年を記念したソロアルバム『J'S THEME ~Thanks 25th Anniversary~』をリリースする。Jリーグのテーマソングとして制作された「J’S THEME(Jのテーマ)」をリアレンジし、オリジナルバージョンを含めた全9曲を収録。今回Jリーグが掲げたテーマは「変わるものと変わらないもの」というもの。それをリアレンジでもコンセプトとし制作に臨んだ「J’S THEME(Jのテーマ)25th ver.」はメロディはそのままに、今の春畑のエモーションが注入された一曲に生まれ変わった。25年前の制作についてや、過去の自分と今の自分とのプレイ比較、自身のギタリストとしての原点など話を聞いた。【取材=村上順一】
永遠に使われるテーマソングを
――「J’S THEME(Jのテーマ)」の制作にあたって当時どのようなオファーがあったのでしょうか?
まずはこれからサッカーがプロ化して、プロ野球のように身近なスポーツになるというお話があって。これから永遠に使われるテーマソングを作るのでこれは気合いを入れて作らなきゃいけないと思ったのを覚えています。
――最初の段階から永遠に使われるというお話だったのですね。
「春畑が死んだ後も流れるから」みたいに言われましたから(笑)。リラックスして書かせてくれない、みたいな(笑)。「春畑にとっても良いチャレンジだから」と言われたような気がします。
――25周年というタイミングは、当時春畑さんが25歳だったからというのも関係しているのでしょうか?
それは関係ないです。たまたまですね(笑)。「Jリーグ百年構想」というのが最初にありまして。次も自分で大丈夫かなという心配もあったんですけど(笑)。25年も経つと誰の曲か知らないけどメロディは知っているという方もたくさんいて、それはそれで嬉しいなと思っています。この曲がいつまでも残っていくのなら、こんな嬉しいことはないです。
――制作にはかなり時間を掛けられたのでしょうか?
1年くらいかけて試行錯誤を繰り返していたのを覚えています。
――インストゥルメンタルに関してはどの様なきっかけで曲を作ることが多いですか?
色々な作り方があるんですけど、ギターリフから広げていくというパターンもあるし、コードを鳴らして格好良い響きの上にメロディを乗せていくこともあるし、ピアノもあるし、いきなり譜面という時もあります。最近はいきなり譜面が多いです。
――「J’S THEME(Jのテーマ)」はどのパターンでの作曲方法でしたか?
これはリフじゃなくてメロディを絶対に強く残るようにしたいという思いがありまして。歌詞はつかないけど、みんなの大合唱が欲しいというイメージから入りました。
――メインテーマの合唱は高揚感があります。サッカーにはどのようなイメージがありましたか。
僕の勝手なサッカーのイメージで「スピード」「トリッキー」「攻撃力」とか、曲で言ったら、アップテンポでハードロックのリフみたいなものだろうなと。それもあって「BORN TO WIN」という曲が最初に出来たんですけど、試合を生で観戦したときにそれだけではない部分を色々感じて、感動的なバラードを作ろうと思いました。
やっぱり応援している人達の熱い想いが一番強かった。試合に勝つチームがいれば、全力で応援しても負けてしまって帰るサポーターたちもいるけど、それでもまた応援する絆にグッとくるものがあって、「J’S THEME(Jのテーマ)」の原型が出来ました。
――実際に観戦されて選手以外にも感化されて。
そうですね。当たり前ですが、試合に出ないのにずっと練習を続けている選手がいたりするわけなので、派手な表側じゃない部分も描きたいなと思いました。実は最初はもっとバラードで、それが「J’S BALLAD」なのですが。ずっと使われていくテーマソンングとなると、もっと前を向いた広がっていくイメージに変えようとスタッフとも相談して「J’S THEME(Jのテーマ)」のビートに変えてオリジナルが完成しました。
――ひとつのテーマが決まってから色々とパターンが生まれていったのですね。「J’S THEME(Jのテーマ)」と「BORN TO WIN」が見事に融合した「J’S Suite(Jの組曲)」がありますが、これはなぜこのバージョンを作ることになったのでしょうか。
これはJリーグ開幕のオープニングセレモニーで演奏する用に制作しました。巨大なフラッグが競技場のピッチの真ん中にゆっくり集合してくるのですが、一周するのに何分かかりますといったタイムスケジュールを元に、当日の演出家の方と一緒に打合せをしながら作っていきました。セレモニーの音楽も担当させて頂けたので、演奏シーン以外でも、Jリーグのマスコットが誕生する時の音楽は空気が入ってどんどんマスコットが膨らんでいって何秒目から心臓の鼓動が鳴って、CO2(スモークなどの特殊効果)が出てとか、そこのタイムにはこれのサビを何回使うという、まさに分刻みでしたね。
――劇伴のような感じで?
そうなんです。「Future Of J」という曲も、実際にCO2をイメージする音を入れてあったりします。
――ちなみに今作収録の中で特に気になった楽曲はありましたか。
「J'S Serenade (Jのセレナーデ) 」という曲は改めて聴き返して気に入ってしまいました。。今後ライブでも披露するかも知れませんね。