元宝塚のRiRiKA、路上ライブも経験 転機になったカラオケ女王
INTERVIEW

元宝塚のRiRiKA、路上ライブも経験 転機になったカラオケ女王


記者:木村武雄

撮影:

掲載:18年08月14日

読了時間:約8分

路上ライブ、商店街ライブで力を磨く

 ところで、イベント中も笑いが絶えなかったが、取材中も「アハハ」が飛び交い、明るい雰囲気だった。宝塚歌劇団出身で現在も女優としても活躍している。圧倒的な歌唱力と同じように強烈な個性を放っているユニークな人柄はどのように形成されていったのか、その生い立ちも気になった。

 「シンガーソングライターになりたくて…」

 宝塚歌劇団では花組で2回の首席を獲った。しかし3年でやめてしまう。なぜだったのか。

歌唱するRiRiKA

歌唱するRiRiKA

 社交ダンスのビッグバンドをやっていた両親のもとで育った彼女。音楽が好きになるのは自然な流れだった。カラオケ店が家の近くにオープンしてからよく父親に連れて行ってもらっていたという。

 「変顔をするような子でしたね(笑)昔の写真のほとんどが変顔か、カラオケか。しかもカラオケはほとんどが『学園天国』(フィンガー5、のちに小泉今日子がカバー)を歌っていました」

 既にこの時から“英才教育”を受けていたわけだが、転機を迎えたのは高校時代。進路に悩んでいたところ、自身の背中を押したのが“宝塚”好きの母の言葉だった。

 「ある日母から、実は宝塚を受験したことがあり残念ながら不合格だったという話を聞いて…リベンジをしたい、わたしも挑戦してみたいと強く思い受験を決意しました。ただ、落ちた時の事も考えて、調音などの勉強はしていました」

 しかし、受かった。シンガーソングライターという夢を持ったまま入学。そして、宝塚へと入る。

 宝塚では花組に所属した。まわりに遅れまいと努力を重ね、2回の首席、そして史上初の歌唱評価「秀」を獲った。しかし、捨てきれなかったシンガーソングライターの夢が次第に自身の思いを支配していく。

 「様々なことに挑戦をしてみたい」

 退団後は現在の事務所に所属。名前も改めた。ミュージカル中心の活動が続いた。しかし、並行するように路上ライブもおこなっていたという。

 「路上ライブと商店街でのライブを10年ぐらい続けていました」

 路上ライブ出身のミュージシャンに話を聞くと、よく通行人が止まってくれるようにそれぞれの工夫をしていることが多い。どうしたら足を止めてくれるか、どうしたら聴いてくれるか。彼女もまた、人をどうやって惹き込むかを考えた。

 「地元が関西でしたからお笑いが好きなのはありますが、吉本をよく見ていましたからトークは好きです。でも、商店街でのライブによって力が付きました。自分で営業をして場所も自分で設営して。商店街といっても決まったところで定期的にやるのではなくて、毎回場所が違うんですけど、それでもどうしたら振り向いてくれるかというのがだんだんと分かってきたんです」

インタビューに応じるRiRiKA

インタビューに応じるRiRiKA

 惹きこめる力を、身をもって学んだ彼女。トーク力の源はそこにある。

 「さだまさしさんが好きです。トークでも感動させて、曲でも感動させる。そういう人になりたいです」

 シンガーソングライターを夢見た少女は今、その道を歩んでいる。そして、CDとしてアルバムをリリースすることができた。

 「CDになって、そして、買って下さる方がいて。本当に嬉しいです」

 ミュージカルではさまざまなジャンルの音楽に接してきた。それが養分となり、今作で新たな出会いもあった。収録曲はファン投票を参考に決めた。なかでも、Kiroroの「未来へ」は自身が好んでいる楽曲だという。

 「台湾に行った時にこの曲をカバーしている現地の人がいらして。私もそのようになりたいと思った」

 アレンジも面白い。ボサノヴァはギターでリズムが刻むのが特徴だが、この曲に関しては、イントロ、間奏、終盤にしかそのギターは出てこない。その間はパーカッションとピアノがリズムを作る。

 「本当に素晴らしい曲になりました」

 そんな彼女。9月に主演舞台『BKLYN』が始まる。しかも、ソウル、R&Bがテーマの舞台だ。

 「ずっと出たいと思っていた舞台ですので凄く嬉しいです」

(記者)J-POPからボサノヴァ、そして今回は舞台でソウルミュージック、R&Bに挑戦。もちろん公演中も楽しみですが、終わったあともシンガーとしての成長がみられそうですね。

 「来年1月にはR&BのCDを出していたりして…アハハ」

 ちなみに彼女は潔癖症。旅好きのマネージャーと台湾旅行に行った様子が本になっている。そこで訪れた夜市では“ゲテモノ”もあったという。

 「本当に苦手でした…ウゥゥ」

 音楽を愛し、潔癖症、そして溢れる言葉。女性版さだまさしになる日は近い?

 ◆RiRiKA 元宝塚歌劇団花組娘役、史上初歌唱評価「秀」を獲得。退団後はミュージカル「ミスサイゴン」エレン役、「アイ・ハブ・ア・ドリーム」主演、「FATE/TheGrand Order」レオナルド・ダ・ヴィンチ役など、テレビ東京「THEカラオケ★バトル」では2017年春のグランプリ含め6冠、番組内TOP7として活動、2018春のグランプリで衝撃の初予選落ち、TOP7からも離脱。復活目指して奮闘中。9月には主演のミュージカル「BKLYN」公演を控える。

作品情報

アーティスト:RiRiKA
タイトル:toc-toc(トックトック)
ジャンル:J-POP
発売日:2018/07/18
発売元:株式会社グリオ03-3425-6032
定価:1,389円(税別)/1,500円(税込)

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