歌手でバイオリニストのサラ・オレインが8日、東京・天王洲でおこなわれた、第27回モンブラン国際文化賞の授賞式に特別出演。同賞を受賞した寺田倉庫の代表取締役・中野善壽氏へ「音楽をお祝いとして届けたい」と「Animus」など2曲を歌った。

 同賞は、モンブラン文化財団が、若い才能の擁護・育成などに尽力する芸術と文化の支援貢献者を表彰する、国際的な文化賞。1993年に創設され、今年で27回目を迎えた。受賞者は、世界の17の国と地域から1人ずつ選出される。一昨年は音楽家の坂本龍一が受賞している。

 今回受賞したのは、保存・保管サービスを手掛ける寺田倉庫。自社のアートスペースで美術展を開催したり、長きにわたりアーティストのみならずアートパトロンにもコレクションを披露する場を提供し続けるなど新たなアートパトロンの役割を示唆していること、天王洲エリアのリバイバル化への貢献などが評価された。日本における同賞の受賞としては初の法人格となった。

サラ・オレイン

 授賞式で寺田倉庫の中野社長は「(受賞を)光栄に思うととともに誇りに感じます。皆と共に喜びたい。この誇りを更に次のステップに向けて、我々が“もっと良いものが出来るんだ”“もっとチャレンジできるんだ”と繋げていきたいと思います。皆さんに感謝します」と受賞への喜びを語った。

 また、建築家の隈研吾氏は「中野さんは日本では少ないドリーマーでありながらリアリスト。建築は凄く夢がないとだめだが最終的には建てなければならない。ドリームとリアリズムの両立、この必要性を感じていますが、中野さんにはそれがある。遊んでても楽しい人。世界旅や遊び、食事などを通じて文化の創造に繋がっていくということを見ました」と讃えた。

 モンブランジャパンのCEO、シャルル・ラングロワ氏は「2020年に向けて天王洲エリアはモダンアートの聖地になるだろう」と期待を寄せた。

 式典には、歌手でバイオリニストのサラ・オレインが出席。白色のドレス姿でステージに登壇したサラはまず、バイオリンでアルバム『ANIMA』収録曲「Animus」を演奏。低く太みのある音を奏で誘うと、秒針のように小刻みに弦を振るわせていく。サウンドには和の要素も感じられ、それを力強く奏でた。剛柔を併せ持ったダイナミックな調べに、会場からは拍手喝采が巻き起こった。

 1曲を披露し終えたサラは「受賞した寺田倉庫、中野さんに、音楽をお祝いとして届けたい」と祝辞。そして「歌とバイオリンの両方が主役になる名曲を」と語り、セリーヌ・ディオンの名曲「To Love You More」を披露した。バイオリンを演奏し導いてから、歌い出す。透明感と奥行きがあり、力強くも繊細さを併せ持った歌声は、花びらが1枚1枚開いていくような広がりがあった。

 まさに高貴さ香る歌声。圧巻のパフォーマンスで出席者を惹きつけたサラは、バイオリンの音でこの曲を結んだ。【取材・撮影=木村陽仁】

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