ピアニスト望月衛介が21日、デビュー30周年を記念するピアノアルバム『満月〜あき〜』デジタルリリース。90年代ヒーリングミュージックの先駆けとして注目され、これまでソロアルバムを10枚リリース、BBクイーンズとして紅白出場、ZARD、郷ひろみなどへ曲/詞の提供、映画やドラマなどのサウンドトラックの参加、バイオリニスト石川綾子のプロデューサーなど多方面で活躍する一方、今年デビュー30周年を迎え、精力的に活動中の望月衛介。久しぶりのリリースとなる今回のアルバムについて話を聞いた。

「満月の日に作曲しなさい」という声が突然聴こえた

『満月〜あき〜』ジャケ写

――今回のアルバム『満月〜あき〜』はデビュー30周年を記念されたアルバムとのことですが、前作から続くシリーズアルバムでもあるのですね?

 はい、前作『満月〜ふゆ〜』からなんと16年ぶりに出すシリーズアルバムとなります。もともとは去年9月にデビュー30周年を迎えて、周年で何かオリジナル作品をリリースしたいという気持ちがありました。実は、オリジナルアルバムとしては2012年の「PIANO ROMANCE」以来9年ぶり。2015年に25周年ということで2枚組のベスト盤を出しましたが、オリジナルアルバムというわけではなかったので、日々作曲活動を続けている身としては、吐き出したいというか、オリジナルでリリースしたいという気持ちはずっとありましたね。今回30周年という節目だったらいいだろうと。(笑)

 全作からかなり時間が空きましたが、何も音楽活動をしていなかったわけではなく、舞台音楽、映画ドラマのサントラ、CM音楽、アーティストプロデュースなど色々とやりながら、2016年にはYouTubeに1年間毎週水曜日に曲をUPする(53曲)という企画をやったり(これは現在30周年プロジェクトの一環として毎月配信アルバムにしてリリースしている)、おつとめとして満月の日に必ず作曲してSNSに動画でアップするとか、作品を創るという事にはずっと取り組んできました。

 そういう活動の中で、今回のオリジナルアルバムはどのような作品が良いのかと考えたときに、2005年に『満月〜ふゆ〜』を出した時に必ず4部作にしようと決めていた事を思い出し、その第二弾を作る事にしました。実はここ10年ほど、ヴァイオリニストの石川綾子さんのプロデュース業がとても忙しくて、自分の音楽制作にはあまり時間を割けなかったのですが、昨年50歳を迎え、もう一度この50代は自分のクリエイティブに向きあいたいと考えていたタイミングでもあるので、今回のアルバム制作をきっかけにもっとテンポを上げて次作もリリースしていきたいなと思っています。

――そんな30周年という節目で、ちょうどコロナ禍という中で音楽活動には何か変化はありましたか?

 プロデュース業も忙しい状況で、あまり自分の活動ができていなかったこの10年間なのですが、それでも年に何度かライブ活動は行っていました。それができなくなったり、本当はこのアルバムは去年リリースしようとしていたんですが、それができなかったという部分では少なからず影響はありましたね。

 制作活動という面でいうと、僕自身の作曲のスタンスというのが、日々生活の中でもいつも作曲しているというか、思いついたらそれをメモにとったり、満月の日に作曲したりというルーティンもあるので、そういった部分では影響はなかったです。ただ、満月の作曲って、その時の心情などが凄く色濃くメロディの中に出るんです。コロナの中で失われた色々なものの哀しみとか、辛さとか、切なさみたいなものは出来上がった曲に影響しているなというのは、今回アルバム制作のために聴き直した際、感じました。

――ライフワークとして、2004年から約18年間、満月の夜に欠かさず作曲し続けていらっしゃるとのことでしたが、満月の日の作曲を始めたられたのにはどのようなきっかけがあったのでしょうか。

 どこからともなく声が聴こえました。2004年、自宅近くの桜並木で「衛介、満月の日に作曲しなさい」という声が突然聴こえたんです(笑)。それから本当に一度もかかさず、旅行に行っている時も、海外にいる時も、飲み会がある日も、必ずその日中には作曲をしています。

 もう20年前くらいになりますが、30歳を機にサーフィンを始めたんです。それは自然が大好きとかではなくて、ちょっと不良に憧れていて(笑)、自分の中ではサーフィンってちょっと不良なイメージがあって・・(笑)。それでハワイに行ったときに見よう見まねで始めてみたんですが、それが想像していたより何十倍も難しかった。何とか頑張ってマスターしてやろうと思ってそこから続けて、今では一番癒される時間になっています。

 サーフィンは、当たり前ですが自然の波との調和のスポーツなので、天候とか波の調子とか、波の上に漂っているときに色々なことを忘れて波のことだけを考える時間が生まれたりします。当時の言葉でいうと「LOHAS」と表現されたりしますが、そこから自然とかサスティナビリティとかに惹かれてようになって、当時は仕事でもLOHASのイベントなども手がけるようになりました。それが声が聴こえる遠因だったかもしれません(笑)。

最大限まで良い音でレコーディングして届けたい

――とても印象的なジャケットはご自身で描いていらっしゃるとのことですが、こだわった部分を教えてください。

 「満月」という“自然”をアルバムにするとき、その時から季節を絡めて4部作シリーズの想定ではあったので、シリーズにできるジャケットってなんだろうと考えました。普通だったら写真とかになると思うんですけど、僕のイメージする、かつ満月を絡めた4部作ってなかなかないんですよね。だったら自分で描けばいいかって(笑)。

 実は昔から、選択授業でも美術をとるくらい絵を描くことが好きで、特に印象派の画家に影響を受けていました。“色は光と陰でできている”そんなことを思い出して、印象派のタッチで満月を描けないかなと思ったのが始まりです。得意なのは油絵でしたが、そのときは水彩のアクリル絵の具で油絵っぽく描いてみようと思って描きました。

 それから16年、なんと今回のアルバムを作るまで一回も絵を描いていませんでした(笑)。久々に渋谷のウエマツという画材屋さんで絵の具などを買い集めて、忙しい中でも毎朝6時に起きて、ちょっとずつ1ヶ月かけて描きました。久しぶりに筆を持ったら、やっぱり楽しかったです!

――ゲストにはチェリストの加藤文枝さんが参加されています。レコーディングはいかがでしたか?

加藤文枝

 僕自身、元々、弦とピアノの関係がすごく好きなんです。「PIANO ROMANCE」ではヴァイオリニストの石川綾子さんと共演したので、今度はもっと低い音がでるチェロでやったらどんな音楽になるのかなと思っていたところで、たまたま以前映画のサントラで参加いただいたチェリストの加藤文枝さんの低音がとても素敵だったなと思い出し、「ぜひ一緒にロマンチックな音楽をつくりたい」とお声掛けしました。

 まず、今回レコーディングをするにあたり、しっかりとリハーサルをさせて欲しいと彼女にお願いしました。レコーディングはリハなしでというのは、(一流の)ミュージシャンは当たり前なのですが、それでは僕は嫌だ、と(笑)。しっかり感情だったり、作曲した気持ちだったり、そういう呼吸を合わせることが大事と思って別日でリハーサルの時間を作っていただきました。そこで、感情や意思疎通なども完成させたので、レコーディング自体は非常にスムーズに出来たと思います。今回のレコーディングはクリックがなくフリーテンポで弾くというやり方をやったので、クラシック出身の加藤さんは慣れている分、うまくケミストリーも生まれたのではと思っています。

――今回のレコーディングは、さまざまな賞も受賞されているエンジニアの二ラジ・カジャンチ氏が担当されていますね。

 とにかく良い音で録りたいな、と思いました。ピアノ、チェロ1本というシンプルな構成だからこそ、それを最大限まで良い音でレコーディングして届けたいなと思ったときに、ハイレゾの耳や技術も持っていて受賞歴もあり、長い付き合いでもあるニラジさんが今回最適なエンジニアさんだと思ってお願いしました。

 彼のプライベートスタジオにはよく知られているスタインウェイとイタリアのファツィオリという2台のピアノがあります。両方ともレコーディングで使えるというのはなかなか珍しく、ある種のアレンジ(編曲)のひとつとして使い分けができたので、とても良いレコーディングができたなと思いました。

――アルバムに合わせて新しく公開されたアーティスト写真は、また今までと違った雰囲気ですね。

望月衛介

 今回の写真は、北田理純(きただのりずみ)さんという写真家に撮影していただきました。実は撮影に当たって8キロダイエットして(笑)臨んだのですが、とても刺激的で良いセッションになりました。満月シリーズのアルバムらしい、だけれどファッショナブルな写真が出来て嬉しいです。お気に入りの写真は、コートを振り回しながら撮った写真モノクロの写真です。PRADAの広告みたいでしょ(笑)。

――最後にファンの皆様にメッセージをお願いいたします。

 本当に久々のオリジナルアルバムなので、リリースできる事をすごく嬉しく思っています。今回、自分をかなり追い込んで作ったアルバムなので、その分とても愛おしいと思うし、生みの苦しみはあったけど、また次も作りたいという活力にもなりました。またこの作品が新しいファンの方にも届いたら嬉しいと思います。ぜひコンサートでお会いしましょう!

望月衛介によるアルバム各楽曲の解説

 今回のアルバムは満月の秋をテーマにするということで、18年間に作曲した約200曲の中からテーマに相応しい曲をセレクトしました。さらに、僕なりにこのアルバムを通して物語を作ろうと思いました。ある人との「出逢いと別れ」というテーマでストーリーになっています。

1.LOVIN’ YOU

この曲はある人に出逢う前で、前の恋人をまだ忘れられないという段階です。まだあなたのことを愛している、忘れられないという物語の前振りのような曲です。

2.CALM IN THE MORNING

ただ、それは当然終わってしまった愛だったので、忘れなくてはいけない。ようやく前向きに忘れられて、浄化した気持ちで迎えた穏やかな朝の曲です。この曲は 2016年に満月の日に作曲してYouTubeにUPした中の1曲でもあり、今回改めて収録し直しました。

3. SHINE

ここで新たな人に出逢ってしまいます。夏の終わりに、その寂しさも感じながらもきらめきやワクワクも生まれて恋が生まれました。

4. AMORE

「AMORE」というのはイタリア語で愛する人という意味です。どっぷり愛してしまいました。(笑)ここからチェロ加藤さんに参加してもらいピアノとチェロがメロディーを奏で合い、2人の心の絡みを表現しました。

5. THINKING OF YOU

ひとり、ついついあなたのことを想ってしまう。そんな愛に満たされた幸せな気持ちを描きました。
月を眺めながら、「あなたもこの月を見ているかな・・」

6. WINDS INSIDE YOU

ところが、変化が起きます。 相手の中の、自分に対する気持ちにどこかしらか風が起きている。ちょっと嫌な予感。そんなざわめきの曲です。

7. RAIN FLOWS IN YOUR BODY

別れは突然やってきます。あまりのショックに降りしきる雨の中を、傘もささずに、彷徨う僕。雨が、頬から体を伝って、心の中をも濡らしていきます。

8. FAR MEMORY

あんなに楽しかった日々も、もう戻ってこない。遠い記憶にしていかなくてはいけない、という未練と葛藤の中にいます。

9. TAKE A REST

秋も深まり、秋晴れの中を歩く。前に進まなくちゃ。恋も一休み。

10. CALLIN’ YOU

・・でもやっぱり出来ない。心の中であなたを呼んでしまう。月を眺めながら、今あなたは何をしているのかな、僕のことを思い出すことはあるのかな。

11 PROUD TO LOVE YOU

時間が心を癒してくれる。 
あなたを愛した事は僕にとって誇り。出逢ってくれてありがとう。
そうしてひとつの物語は終わります。

コンサート情報

ピアニスト望月衛介の30周年と本人のバースデー、16年ぶりに発表する「満月」シリーズの新アルバム発売記念を兼ねたスペシャルコンサートを開催いたします。

望月衛介 デビュー30周年記念コンサート「満月〜秋〜」
日程:2021年10月30日(土)
開場:18:30 開演:19:30
会場:神楽坂GLEE (東京都) 東京都新宿区神楽坂3丁目4
チケット予約:https://t.livepocket.jp/e/eisukemochizuki
問い合わせ:株式会社タートルミュージック 03-6427-6466

アルバム情報

『満月~あき~』 9月21日(火)配信スタート  
(Apple Music/Spotify/Amazon Musicほか主要配信サイトにて)
配信まとめリンクはこちら
https://linkco.re/7vNSqEcG

CDアルバム10月27日(水)発売
TMRC-028 / 3,300円(税込)
Amazon/山野楽器他
アマゾンはこちら

<収録曲>

01.LOVIN’ YOU
02.CALM IN THE MORNING
03.SHINE
04.AMORE
05.THINKING OF YOU
06.WINDS INSIDE YOU
07.RAIN FLOWS IN YOUR BODY
08.FAR MEMORY
09.TAKE A REST
10.CALLIN’ YOU
11.PROUD TO LOVE YOU

※M4,M6 加藤文枝参加曲

望月衛介公式サイト http://eisukemochizuki.com/
YOUTUBE https://www.youtube.com/channel/UCLIUYRw45G6DR5XWJ1izR3A
Instagram https://www.instagram.com/eisukemochizuki
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衛介ブログ http://eisukem.exblog.jp/

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