“絶望系アニソンシンガー”ReoNaが、ソロデビューからわずか2年半という活動歴ながら今注目を集めている。1stフルアルバム『unknown』収録の楽曲「ANIMA」は、TV アニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』2ndクールオープニングテーマで、発売1カ月で3万枚出荷、現在は15万ダウンドロードを超えるヒットとなった。そして、5月12日には5thシングル「ないない」をリリース。ここでは、現在邁進中のReoNaというアーティストの魅力に迫りたい。

希望に導く“絶望”

「ないない」ジャケ写

 ReoNaは、陰のある少女らしいルックスながら、繊細で深い、少年の様な歌を歌うシンガー。“応援者”ではなく、「背中を押さない」「手も引かない」、“代弁者”として“絶望系アニソンシンガー”を掲げる新時代のアーティストだ。

 デビューから快進撃を続けているReoNaの楽曲を聴くと、率直に「稀有な魅力を持つシンガーだ」という想いが出た。そして、ReoNaが掲げる“絶望系アニソンシンガー”という点について考えると、“絶望”という単語から、「悲観」「悲壮感」「孤独」「心の闇」などのフレーズが思い浮かんだ。

 しかし、ReoNaの各楽曲を聴くと、それらをダイレクトに感じるというより、むしろ、“絶望”の対義語でもある“希望”が見いだせる感覚をおぼえた。そこには、ReoNaのシンガーとしての確固たるスタンスが表れているのではないかと想像できる。

 「肯定」が前提の内容の楽曲、応援してもらえる感覚を受けられる曲がある。「挑戦的」な内容の楽曲、イノベーションを促すような曲もある。「絶望」そのものを表す内容の楽曲、心の悲鳴のような曲もあるだろうか。

 さらに、「恋愛」や「平和」、「社会などへの問題提起」という内容の曲、「美しい情景描写」、「日常のふとした心情を歌う」と捉えられる曲などもあり、どれも、各々が持つ素晴らしい魅力がある。そして、ReoNaの音楽は、いくつか挙げたこれらのカテゴリーに対し、よい意味でどこにも属さない「斬新な独自性」があると感じられた。

 “絶望系アニソンシンガー”ReoNaの楽曲、サウンド、歌詞の世界観は、絶望そのものをダイレクトに表現というよりも、絶望の中で見いだしたことを「代弁している」ことに加え、「問いかけている」という点がうかがえる。

 楽曲「ANIMA」「ないない」などからは、その部分が特に感じられた。そして、その「代弁」や「問いかけ」が、万人が心の中に持つ葛藤や疑問などの深い部分に通じ、寄り添っているという点が、ReoNaの世界観が広く受け入れられている理由の一つと感じられる。

あらゆる魅力を含む芯の通ったボーカルスタイル

 ReoNaの歌声は、青年期特有の繊細で純粋でひたむきな、力強い情念がひと塊となり、浮遊感と鋭さを併せ持っているように感じられる。

 具体的には、ウィスパーボイス含みのクリアな聴き心地の歌声、絶妙な歌の緩急やブレスの音価の特徴、サウンドのダイナミズムとボーカルのシンクロ具合など、ボーカリストとしての稀有なスキルをいくつも持っていることがうかがえる。

 また、ReoNaの楽曲を聴くと、ストーリー性のある各楽曲の主人公として進む姿がイメージできる。その点は、アニメのテーマソングとして非常に親和性の高い部分とも捉えられる。

 「ANIMA」や「Untitled world」「forget-me-not」などの楽曲では、ReoNaのバンドサウンドが基軸となっている。ドラムやエレクトリックギター、ベースの迫力、それらの倍音成分豊かなサウンドは、ReoNaの繊細かつ鋭いボーカルとの相性のよさを感じられる。

 一方、「虹の彼方に」のような、ピアノ1本とボーカルというシンプルな構成のバラードでは、彼女の持つ一本芯の通ったボーカルスタイルの魅力がより明瞭に映える。

 それは、動画再生回数1,540万回超え(2021年5月20日現在)と、大きな反響を呼んだYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』で2020年10月に公開された「ANIMA」の歌唱などにも同様のことが感じられる。

 そして、5thシングル「ないない」では、新たなアプローチを見せてくれる。エレクトロミュージックの要素に中世ヨーロッパのような美麗な世界観と現代的なサウンドメイクが融合したニュースタイルと言えよう。また、ボーカルのリズミックな節回し、印象的に残る歌詞の韻の踏みかたがキャッチーに耳に残るという、さりげなくも秀逸なポイントも挙げられる。

 各楽曲で聴けるReoNaの歌からは、「言葉が音楽に美しく浸透している」という印象を受ける。その感覚がもたらすのは、歌と言葉とサウンドと、ReoNaの世界観の受容だ。

 ソロデビューからわずか2年半という活動歴ながら今大きな注目を集めているReoNaは、“絶望系アニソンシンガー”という深みをもった概念を掲げる、これまでのアニソンの枠にとらわれない新たなスタンスのアーティスト。今後の活躍に多大な期待が寄せられる。【平吉賢治】

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