ムード歌謡一筋30年。歌手の黒木じゅんが、5月21日にデビュー30周年となり、31年目へと突入した。1991年、唐木淳として「やせがまん」でデビュー。同年、日本レコード大賞・最優秀新人賞をはじめ、様々な新人賞全13タイトルを受賞するなどデビュー時から注目を集め、2002年に発売された「白蓮」のキャンペーンでは、12000kmに及ぶ北海道から沖縄までの全国47都道府県を50ccバイク単独で走破するという体当たりのプロモーションで話題となる。

 また、1968年に大ヒットした「霧にむせぶ夜」を歌った、父である黒木憲の名前を受け継ぎ『黒木憲ジュニア』を名乗り、現在の『黒木じゅん』となるまで2回の改名を行い、デビューから“ムード歌謡一筋”で31年目を迎えた。

 先日、5月19日には通算15枚目となる30周年記念シングル「離れても」を発売。同曲は、父・黒木憲の恩師であり、黒木じゅんの師匠でもある鈴木淳・悠木圭子夫妻による書下ろし楽曲で、黒木じゅん持ち前の甘い歌声と古き良き昭和の香りが漂う、まさに黒木じゅんの真骨頂ともいえるムード歌謡に仕上がった。

 55歳という年齢でデビューから31年目を迎えたが、奇しくも父・黒木憲が病に倒れ歌を断念せざるを得なくなった「31年目の55歳」というキャリアと重なる因縁のような歌手人生や、妻であり自身のマネージャーを務めるフリーアナウンサーの中尾美穂と、初めて共演を果たしたミュージックビデオの裏話などを聞いた。

――「霧にむせぶ夜」が大ヒットした、お父様である黒木憲さんは25歳でデビューし、30周年を迎えた55歳の時に病気で倒れ、実質55歳で歌手活動を終えられました。まさに黒木さんはお父様と同じように25歳でデビューし、歌手人生の節目となる30周年を迎えました。その時のお父様と同じキャリアとなり、特別な思いもあると思います。

小学生低学年の頃_黒木憲と。

 「はい、非常に感慨深いものがあります。父にとって、55歳で歌えなくなってしまった事がどんなにも無念だったことかと、父が倒れた年齢と同じ歳になり改めて強く思いますし、父は亡くなるまで“一緒に楽しいステージをもっとやりたかったなぁ”と話していたので、父のことを思うと本当にせつなくなり熱いものがこみ上げてきます。“おやじが越えられなかった30周年を迎えたよ。おやじの分まで頑張るよ。いつも見守ってくれてありがとう”と、天国の父へ報告しました」

――歌手生活30年の始まりである1年目から、数多くの新人賞を受賞するなど華々しくデビューされました。

 「唐木淳として1991年にデビューし、デビュー曲の『やせがまん』で、第33回日本レコード大賞・最優秀新人賞をはじめ、新人賞全13タイトルを受賞させて頂いたのですが、夢見ていた日本武道館の舞台に立たせて頂いた時の喜びや、胸の高鳴りを今でも鮮明に覚えています。そのレコード大賞・最優秀新人賞を受賞した際、父から“俺がとれなかった新人賞、よくとったな、やったな、おめでとう”と言って大変喜んでくれたのですが、それは歌手になることに大反対していた父に、ようやく認めてもらえた瞬間でもありました」

――黒木さんといえば、50ccバイクで日本一周をするなど、体当たりなプロモーションでも話題となりましたね。

50ccバイク単独日本一周キャンペーン

 「デビューから12年目に発売した「白蓮」の全国キャンペーンで、50ccスクーターで北海道から沖縄まで47都道府県のレコード店さんや放送局など、全走行距離1200kmを単独完全走破したことはとても印象深い思い出の一つです。北海道のヒグマ出没地帯でガス欠になり恐怖体験をしたり、大型台風がきて暴風雨のなかを走ったりしました。宿泊先は毎日自分で探して行き当たりばったりという状態だったのですが、夏休みシーズンに全ての宿が満室で泊まる場所が無く、屋根のあるバス停で野宿したり、ホテルの支配人さんに頼み込んで宴会場で寝かせて頂いたり(笑)。大変な旅でしたが今振り返れば本当に貴重な経験だったと思います」

――現在放送されているバラエティ番組みたいなことをされていたのですね(笑)

 「それと、歌手ではなく役者としての思い出もあります。デビューから4年後、テレビ朝日系列にて1995年にオンエアされた、柴田恭兵さん主演の『風の刑事・東京発!』というドラマに刑事役でレギュラー出演させて頂いたのですが、役者のお仕事は経験が無くNGを連発し怒鳴られることもしばしばありました(笑)。当時はフィルムでの撮影だったので、ビデオとは違い撮り直しがきかず、NGを出すとフィルムが無駄になってしまうのです。本当にたくさんのことを学んだ役者としての経験は、その後の歌手人生に大きく活かされ素晴らしい財産となっています」

――さて、先日発売された30周年記念シングルとなった新曲「離れても」はどのような曲ですか?

「離れても」ジャケ写

 「30周年を祝うかのように華やかなトランペットの音色が心地よく響き、ムード歌謡の王道的な秘めた恋模様が綴られたジャージーな雰囲気の楽曲です。父・黒木憲の恩師でもある鈴木淳先生、悠木圭子先生ご夫妻による書下ろしの作品です」

――ミュージックビデオでは、奥様と共演されています。非常に珍しいケースだと思いますが共演された経緯や、撮影されてみて感じたことや仕上がりついてはいかがですか?

 「今回のミュージックビデオを製作するにあたり、女性モデルの方を起用するアイディアが出たのですが、それならとスタッフの方が提案して下さり、妻でフリーアナウンサーの中尾美穂に依頼いたしました。照れ臭さはもちろんですが、『喋り』が生業の妻が演じられるのかと不安でした(笑)。それでも本番は、すっかりなりきって演じている様子に安堵しました(笑)。シャンデリアが煌めく宮殿のような場所で、ゴージャスかつエレガントな仕上がりに夫婦ともども大変感激しています。お陰様で30周年の貴重な記念になりました」

――昨年からのコロナ禍で、ファンの皆様の前で歌声を披露する機会も少なくなったかと思います。ファンの皆様へのメッセージと、31年目に向けての決意をお願いします

 「ファンの皆様のご声援とお力添えのおかげで30周年を迎えさせて頂くことが出来ました。なかなかお会いすることが出来ない中でも“じゅんさんに会えなくて寂しいけどCDを毎日聞いているから頑張って!”といった声や、“CDの歌声に癒されています”といった温かく力強いお言葉を頂き、本当に感謝しております。明けない夜は無いと思いますので、必ずまたコンサートやライブなどで皆様にお目にかかれる日が来ることを信じていますし、コロナ禍で世界が一変した今だからこそ出来る新たなことにも積極的に取り組んでいきます。父・黒木憲の遺志も引き継ぎ、今後もムード歌謡一筋に励んで参りますので、末永いご声援のほど、よろしくお願い申し上げます」

作品情報

黒木じゅん デビュー30周年記念シングル
「離れても」
C/W 「ミモザ」
2021年5月19日(水)発売

TECA-21022
定価:1,350円(税抜価格 1,227円)

M1:「離れても」詞:悠木圭子 作曲:鈴木 淳 編曲:金沢重徳
M2:「ミモザ」詞:かず翼 作曲:大谷明裕 編曲:金沢重徳

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