歌い続けていくことが大事、山川豊 歌手の原点を振り返る
INTERVIEW

歌い続けていくことが大事、山川豊 歌手の原点を振り返る


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年06月08日

読了時間:約12分

 81年に「函館本線」でデビューし、86年には「ときめきワルツ」で紅白歌合戦に初出場、98年には「アメリカ橋」が大ヒットし歌手として揺るぎない地位を築いた歌手の山川豊。歌手生活37年のキャリアの中でも、故郷や兄弟、原点について歌ったことがほとんどなかったという山川は4月18日リリースのシングル「今日という日に感謝して」でそれに挑んだ。

 ウェブ媒体でのインタビューの機会があまりないという山川が今回、MusicVoiceに単独取材に応じ、シングルにちなんで原点を振り返った。デビュー前はレコード会社のスタッフとしてキャンペーンに回っていた時代や、故郷の三重県鳥羽市での生活。更にはこの数年で変化など。このなかで山川は演歌・歌謡について「歌い続けていくことが大事」と語り、それは今活躍しているアイドルグループにも当てはまると説いた。その真意とは何か。【取材=村上順一/撮影=冨田味我】

珍回答はわざとではない

――山川さんはインターネットは積極的に見られますか。

 それが、スマホとかメールとかほとんど使ったことがなくて。結果的に用事がある時は電話してしまうんですけど、電車など乗り物で移動中はメールが便利だなと感じたりする程度で。

――現在はその電話をするにも一旦LINEなどで「電話してもいいですか」と聞かなければならないみたいで、おかしな世の中になったなと私は感じていて。

 もうLINEとか全くわからないですからね(笑)。でも、スマホを使えるようにはならなければと思っていて、いずれ日記とか公開してみようかなと。やっぱり音楽もインターネットで聴く人も多くなって来ていますからね。私も自分の曲がYouTubeで再生数が上がっているという報告があるたびに嬉しいです。

――日記の公開を楽しみにしています。最近は歌謡曲を放送する番組も減ってきてしまっていることもあって、動画サイトがその代わりになっています。

 本当に歌番組が減ったなと感じています。動画サイトには過去に他の歌手をカバーしたものも瞬時に出てきて凄いなと思いますよ。そういった時に「スマホに変えないといけないかな?」と思ったり。

――その中で、テレビのクイズ番組に出演されていましたが、なぜ出演しようと思われたのでしょうか。

 事務所のみんなが出るというので(笑)。

――すごく話題になっていました。

 わざとボケてるんじゃないかと言われたりするんですけど、僕は本気で真面目にのぞんでいました。あの場所に立つと、普段わかる問題も全然わからなくなってしまうんです。なので、ここで声を大にして言いたいのはわざとではないということです(笑)。あれをわざとできたら逆に頭良いですよ。

――個人的にはまた出演して欲しいです。話は戻るのですが、テレビと並行してインターネットで曲を聴いたり購入したりという流れが主流になってきているのですが、山川さんはこの時代をどう思われていますか。

 もう、ネット通販とかダウンロードなどで音を入手する時代なので抗えないとは思うんですけど、私はレコード店さんに今までお世話になったということもあって、そのお店の火を絶やしてはいけないと、新譜が出るたびにレコード店を回らせていただいています。

――通販やダウンロードで買った音源は、あまり思い出に残っていないと個人的には感じていまして、レコード店などに足を運んで手に入れた音楽は残っているなと。

 そうなんですよね。足を運んでというのがこれからも大切になっていくと思います。やはり、わざわざ足を運ぶということはその曲を求めるエネルギーが違いますから。

――山川さんはデビューされる前にレコード会社で働いていたというお話を聞いたことがあります。

 働いてましたね。昔からの風習でデビューする前にはスタッフとして、1年間ほど宣伝とか手伝うんです。僕自身もやっていましたから、自分の為に夜遅くまでスタッフのみんながやってくれているというのを知っていて。スタッフというよりもう仲間みたいになってきて、有線やレコード店など一緒に回って、勢いで「よし! もう一軒行こう」とかね。

――関係性がどんどん変わって絆が深まっていって。

 そうです。その一軒が後々ジャブのように効果が出てくるんです。僕と同期には近藤真彦君など、ポップス系の歌手が多かったけど、その活動もあってその年の新人賞を頂きました。受賞の時はステージでみんなと抱き合って泣きましたね。プロモーションの為に1週間、2週間とスタッフは家を空けなきゃいけないですから。家庭の心配もある中での賞でしたから、本当に嬉しかったですね。僕も身体ぶっ壊してでもやらなきゃいけないという気持ちにさせてくれるぐらい頑張ってくれまして。

 そのなかでセールスが落ち込む時期もあります。スタッフも次の新人を育てないといけないのでね。僕ばかり構ってもらうわけにもいかない。でもそれはみんな通ってくる道なんです。中には文句を言ってしまう歌手やタレントもいるけど、そこはみんなで説明してね。

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