後進の何か模範になれば HUSKING BEE磯部、新作と育児と音楽と
INTERVIEW

後進の何か模範になれば HUSKING BEE磯部、新作と育児と音楽と


記者:小池直也

撮影:

掲載:18年06月06日

読了時間:約15分

頭の中のバランスをとるのが大変

『Lacrima』ジャケ写

――ディセンデンツ(米バンド)「Bikeage」のカバーを収録されたのはご自身が受けた影響によるもの?

 KEMURIと対バンさせて頂いたんです。お互いに長いバンドですけど、2マンやるのは初めてで。イベントで一緒はありましたけどね。KEMURIの皆さんは「Bikeage」をもともとカバーしていたので「磯部くん歌う?」と。ボーカルのイトウフミオさんに会った時も「KEMURIバージョンの『Bikeage』をそのうち歌ってもらいたいんだよね」と言ってもらっていましたし。それでこちらも「良いですね!」という感じでした。

 いよいよ2マンやる何カ月か前に「じゃあやりますか」と話が決まったんですよ。ちょうど『Lacrima』のデモを作りながら、合間に毎日練習しました。でも全然歌詞が入って来ない。うろ覚えのでたらめの歌詞の方が勝ってしまって。40歳半ばを過ぎると歌詞も全然覚えられないんですよね。

 結局、その日のセッションは都合があって出来ませんでした。僕は「全然大丈夫」と話してはいたのですが、完璧に、しかもバンドサウンドに負けずに歌える状態だったので残念でしたよ(笑)。そうしたら新作を作っている時にメンバーが「久しぶりにカバーやりたいな」と言ってきたので、「Bikeageやろう」と提案しました。せっかく覚えたし、めっちゃくちゃ好きだし。それでやりました。必然でしたね。

――ところで、父親になられて変わった事とかはありますか?

 ずっとパンクとかオルタナの曲を聴いてきたわけじゃないですか。ソニック・ユースとかニルヴァーナとか、本当にグランジで。それなのにNHK Eテレのお兄さんが「いってみようー!」と歌う番組に(うちの)テレビが支配されています(笑)。そこから曲を作ろうと思うと結構ヤバいですよ。クリエイトする人の中では自分をゴムでコーティングして、そういうものを絶縁する方が良いと思う人もいますし。2、3歳向けの歌の感じはちょっと不思議ですよ。

 『みんなのうた』とかは良いんですよ。分析してみるとものすごい良い曲があったりするんです。「オカリナのリーナ」という曲があるんですけど、とっても良い曲。メロディが超上手で「この作曲者誰だろう」と思って調べましたもん(作曲は君塚仁子)。やっぱり作曲家や作詞家はすごいなと。でもそれをオルタナに還元するのはなかなか難しいけどね。生活が大きく変わったので、頭の中のバランスをとるのが結構大変です。自分の時間の取り方も苦心してましたけど、それも訓練だなと。

――それを経験すると、音楽との接し方はやっぱり違うものですか。

 全然違いますよ。本当に良かったと思います。僕の子どもは5歳なので、どういうことをやっているかはわからないかもしれません。「ギター弾いて歌ってる」くらいですかね。「父ちゃんはなかなかな事をやっていたのね」と20歳くらいで言ってくれれば最高だと思って、今はやっています。

――4月からツアーも始まります。

 まだ内容はわかりませんが、『Lacrima』の収録曲の8割は披露したいです。やっぱりHUSKING BEEの場合はライブで曲が化けるんですよね。まだ「夜と霧のなかで」しか本番ではやっていないですけど、良かったですよ。やっぱライブ感があると違います。リハやっている時点で「ヤベえ」って感じでした。録音している時は「どんな曲になるんだろう」と思うんですけど、できたらあとはライブなので、楽しいです。お客さんとの絡みも着たいですね。まず音源を何度も聴いて頂きたいです。ライブではまた違う楽しみ方が出来る曲たちだと思うので、ライブでお会いしましょう。

(おわり)

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