感覚や感性をどう反映させるか
――Poppyさんは、J-POPやK-POPがお好きだと聞きました。
Poppy J-POPやK-POPを知ったのはネットを通してなの。いろんな音楽を検索していく中で、わたしのイマジネーションを刺激したのがJ-POPやK-POPだったわ。なぜ好きになったかというと、とくにJ-POPは、アメリカのポップスのコンプレックスを投影したような音楽でそこが面白いわ。
Titanic Sinclair アメリカやヨーロッパのポップミュージックは、80年代頃を境に面白くなくなった。それとは対照的に、日本や韓国のポップミュージックが僕やPoppyには面白く聞こえ始めた。だから、J-POPやK-POPに惹かれたんだ。
――J-POPもK-POPも、アメリカの音楽へのリスペクトが強いと思います。
Titanic Sinclair お互いのカルチャーにインスパイアされていく中で面白いのが、例えその言葉を訳しても、その言語の意味通りには訳されず、必ず、その国の表現のニュアンスが加わっていくこと。どの国にも、その国独自のニュアンスがある。そのニュアンスの交わしあいの中から新しいものが生まれるところに、僕は新鮮さや刺激を感じてる。
それは音楽についても言えること。日本人であれば、当たり前過ぎて気づかないことでも、僕らアメリカ人が見たら新鮮さや刺激を覚える。それは、逆も言えるよね。同じ一つの捉え方でも、お互いの目線が異なることで、そこから影響を受けたことが、むしろ新しいアイデアとして形作られていく。
そこが面白いんだよ。それこそ君たちが普通に見ている星や花だって、僕らから見たらとても刺激的な存在として映ることだってある。そういうものなんだよね、創作をしていくというのは。
――映像を作るときにも、そういうインスパイアを大切にしているわけですよね。
Titanic Sinclair そうだね。
Poppy インスピレーションを感じる根源となる部分は、私たちも、みなさんも同じなの。ただ、それをどう表現するか。それを今の私たちの感覚や感性をどう反映させた上で、Poppyの音楽やファッションへ落とし込むのか。大切なのは、そこなの。
――アイデアが尽きたりはしませんか?
Poppy こうやって生きているだけで何にでもインスパイアされるから、アイデアは尽きないわ。
――今、気になっているアイデアなどありますか。
Poppy それは内緒よ。じつは今、2ndアルバムの制作に取りかかっているの。そこへ、今感じているアイデアが反映されるのは間違いないわ。
Titanic Sinclair 僕は新しいシンセサイザーを手に入れたんだ。新しいテクノロジーを用いて新しいサウンドを作りあげている。その使い方に刺激やインスピレーションを受けていて、それがどう2ndアルバムに反映していくのか、そこは楽しみにしていて欲しいな。
――次のアルバムが楽しみになってきました。しかしその前に、昨年秋に日本でも発売になった1stアルバム『Poppy.Computer』のお話も聞いていこうと思います。まずお2人はこの作品を、どんな風に受け止めていますか?
Poppy 『Poppy.Computer』に収録した曲たちは、わたしがYouTubeへアップロードするために制作し続けてきた映像で流れる音楽として作ったものなの。つまり、この作品は、PoppyのYouTube映像のサウンドトラック盤みたいなものね。確かにサウンド面はとても映像に適した楽曲たちになったと思っているわ。
――Poppyの作品というのは、基本は映像のサントラ盤のような役割を担っている?
Poppy 確かに前作はそうなったわね。でも、今制作している2ndアルバムはまた違った形になると思うわ。
Titanic Sinclair たまたま1stアルバムは映像とシンクロした作品になった感じかな。2ndアルバムは、動画と音楽を別々に考えている曲もあれば、シンクロしているものもある。例えばだけど、ザ・ビートルズの『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』のような、コンセプトをしっかり持った上で、そこに色んな表情を肉付けしながら作り上げるアルバムになりそうだね。
――そこに「Hazukashii」や「Muzukashii」が入る可能性も?
Titanic Sinclair オー!
Poppy たぶん、ないわ(笑)。






