「ONE LAST KISS(feat.AI)」は実家から発見された貴重映像
――あの頃はまだCDもたくさん売れていた時代でしたね。
8センチCDをギリギリ私も1枚出しました。そのときのジャケットはドレッドヘアーでしたけどね(笑)。CDリリースの前にレコードを限定でリリースしたりして、マンハッタンレコードとかで並んで買ってくれたりして。それをDJの方がクラブでいっぱい流してくれたりとか、今でも新宿二丁目の朝方に「よくこのリミックスかかるわよ」という話も聴いたり(笑)。クラブシーンのムーブメントがある時代にデビューをしたので、そういう頃の夜遊びのことも思い出したりします。
――夜遊びをされていたんですね。
もちろんです。夜中のオールナイトイベントのライブもたくさんしていたし、渋谷の濃いHIP HOPの“箱”でラッパーに混じって歌ったりとか、ゲイナイトで歌ったり、色んな人達と色んな現場で一緒になったんです。
――ハプニングはありませんでした?
どんな現場でも音楽を前にするとひとつになって盛り上がってと、良い思い出ばかりです。ドラッグクイーンの方と一緒にステージに出たりして、楽屋が一緒だったりすると「自分のメイクは薄いんじゃないか?」と思ったり(笑)。
――ドラッグクイーンのみなさんに負けじと。
そこは張り合うところじゃないと思ったりして(笑)。あと、今回DVDに収録されているんですけど、私の大好きなシンガーのAIちゃんとのフィーチャリング曲「ONE LAST KISS(feat.AI)」も懐かしくて。この映像は可愛いのでどうしても入れたかったんです。でも映像が事務所にも残っていなくて、レア・アイテムになっていたんですけど、私の長野の実家からVHSが発見されたんです。
――DVDじゃないんですね?
まだDVDは無かったんです。そのVHSからの自前映像なんです。あと、AAAの浦田(直也)君の曲が入っていたり、ラッパーのSPHERE of Influence君も入っていたりして、みんな若いなって。AIちゃんは今、色んな人とやっているけど、コラボはこの曲が初めてだったんです。それが私の凄い自慢で。「私が初めて声をかけた」って(笑)。
――記念すべきコラボですよね。
AIちゃんとは最近はなかなか会えてないんですけど、インタビューで私の話をしてくれていたりするんです。「直接会ったときはそんなに褒めないのに」とか思ったりして。嬉しいなと。
――この18年で一番のターニングポイントは?
デビューしたこと自体が奇跡だったので、インディーズのデビュー曲「あなたとふたりで」は奇跡の一曲だったなと思います。このデモテープがなければ…そこから18年アーティストとして活動することはなかったので、その曲は思い入れがありますね。今考えると偶然の連続でここまでやってこれたなと思います。
――偶然の連続ですか。
はい。上京するときの話なんですけど、当時私が憧れていたDJの男の子がいて、見送りに来てくれました。駅の改札で1枚のレコードを餞別に手渡してくれたんです。おばあちゃんの家に住んでいたんですけど、東京に来てまだ友達もあまりいなかったので、そのレコードのB面に入っていたインストに合わせて自作の歌を乗せて遊んでいました。それが初めて作ったデモテープで「あなたとふたりで」の原型なんです。そのテープがいろんな人の耳に届いてデビューすることが出来たので、あの時のレコードがなかったら今の私は多分いないですから。
――真央さんはもし歌手をやっていなかったら、何をやっていたと思います?
あまり考えたことがなかったのですけど…。両親が音楽家なので、音楽をやるのだろうとは思っていました。幼稚園のとき七夕の短冊に「チェリストになりたい」って書いていましたから。音楽をやると思って、ピアノとかチェロとかそういうものは習っていたんですけど、歌だけ習ったことはないし、デビューのとき両親も「歌とか歌うの?」という感じでした。ジャンル的に自分も歌だとは思っていなかったんです。自分でも驚いています。
――人生どうなるかわからないですよね。さて、今回の大阪、長野、東京でのライブ『傳田真央 Eternal Voice Tour 2018』が終わってしまったら、次はどうされるのでしょうか?
とりあえず今は何も予定はないんですけど、一度ベスト盤を出して、制作の過程で今までの活動を一回振り返ることができたので、これをリリースしてしばらくお休みに入ります。この後は自分が何をしたくなるのかなというところです。
――現状では本当に白紙なのですね。音楽をやめてしまう訳ではないですよね? 今引退される方が多いので、念のため聞いておこうかなと思いまして。
そうですね。引退とは書いていないみたいなので(笑)。今後、自分がどういう形で音楽をやっていくのかということは、自分も楽しみにしていたいなと思っています。
――安心しました! 真央さんにとって歌や音楽はどういう存在ですか?
壮大なテーマですね…。どうしよう! 今、浮かんだんですけど、「こんにちは」と「ありがとう」です。歌がなければ、こんなに色んな人と出会うことができなかったと思うし、私が歌い始めたことによって、18年間で色々な方々と出会うことができたのが「こんにちは」ということなんです。そして、そういう出会いが生まれなければみなさんに「ありがとう」と伝えにいく機会もなかったと思うので。
――温かい感じがしますね。
もうちょっと気の利いた言葉がなかったのかなとも思いますけど(笑)。今はこれですね。
(おわり)
- 傳田真央
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