昨年再始動したCHEMISTRYが7日に、東京・Bunkamura オーチャードホールで約5年半ぶりの全国ツアー『CHEMISTRY LIVE TOUR 2017-18「Windy」』のファイナル公演をおこなった。ツアーは12月4日川崎市スポーツ・文化総合センターを皮切りに16公演をおこなうというもの。この日はちょうどデビュー17年目というアニバーサリーで、「ユメノツヅキ」や「Windy」、2000年にリリースされた仮デビュー曲の「最後の夜」や6月にリリースされる新曲「Heaven Only Knows」など新旧交えたナンバー全23曲を披露し、唯一無二の2人のハーモニーでオーディエンスを楽しませた。

「ユメノツヅキ」でライブはスタート

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 再始動後初となる全国ツアーもついにファイナルを迎えたこの日、多くのファンが会場であるオーチャードホールに駆けつけ、青く照らされたステージを目の前に、開演を待ちわびていた。そして、会場の明かりが落ちると、SEが流れるなか目の前は照明の光で何も見えないといった状態。SEの音がブレイクすると堂珍嘉邦と川畑要がステージ中央に登場。

 大歓声の中、再始動シングルの収録曲「ユメノツヅキ」でツアーファイナルの幕は開けた。2人の息のあったタイミングで紡がれていくメロディは、力強くも憂いを帯びた不思議な感覚を与えてくれる。2枚目のシングル「Point of No Return」では、軽快なテンポに儚さを感じさせるメロディ、そのコントラストがアクセントとなり、多くの人の心に浸透していく。

 この日は生中継も入っていたこともあり「画面の向こう側まで届けましょう!」と意気込みを投げかけ、ブラックミュージックテイスト溢れるセクションに突入。昨年リリースされたシングルに収録されたカバー「Horizon」や4枚目のアルバム『fo(u)r』から「Grind For Me」、そして、ミラーボールが美しく会場を照らすなか「Dance With Me」など、グルーヴィーな演奏と艶やかな歌声がホールに響き渡っていく。

 続いてはアコースティックコーナーへ。観客も2人も椅子に腰を掛けリラックスした状態での歌唱。柔らかい光が2人を包み込むなか「君をさがしてた」や「You Go Your Way」とアコースティックギターやピアノの音色をバックに歌の存在感がより際立つアレンジで魅了。観客もその歌声に酔いしれるように夢見ごごち。徐々に熱を帯びていくかのような2人の高揚感も感じとれたセクションであった。

 そして、彼らが「ASAYAN超男子。川畑・堂珍」というユニット名で、2000年に仮デビュー曲としてリリースされた「最後の夜」を届ける。歌い終わったあと、川畑は「懐かしい」と当時のことを振り返り、堂珍は「時間が経つと言葉から見える景色が違って面白い」と歌い感じたことを述べた。歴史を辿るかのように披露されたのはメジャーデビュー曲「PIECES OF A DREAM」。観客も再びスタンディングし、サビを盛大にシンガロングし、ライブならではの一体感を作り上げた。

 続いては最新ナンバー「Windy」へ。再びプロデューサーの松尾潔氏と作り上げた楽曲は、<カタチなんて超えてゆく♪>とこれからの彼らの強い意志が込められている。この黄金タッグで作品を作り届けることが出来たことを心から喜ぶ2人の姿があった。

僕らは歌うことに意味がある

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 ここからライブはラストスパートへ。堂珍と川畑の歌声に導かれるように5枚目のシングル「FLOATIN'」へ。観客もクラップや腕を振り子のように左右に動かす美しい光景が広がる。そして、躍動するリズムがテンションを上げていった「Life goes on〜Side K〜」、ラテンの情熱的なエモーションを感じさせた「空の奇跡」でヒートアップしていく。その勢いのまま「伝説の草原」へと紡がれた。

 堂珍は「幸せです」と話すと、川畑も「me too!」と同調。僕らが帰ってきたことを伝えたかったツアーだと話す2人は、Skoop On Somebodyが提供した「My Gift to You」を贈る。2人も歌うたびにエネルギーをもらえる、自分自身を高め、自分たちの財産でもあるというこの楽曲を、至高のハーモニーと感情を揺さぶりかける歌声で届ける。音楽という最高のギフトを残し本編を終了した。

アンコールの声に応えるように2人がステージに登場すると、「最期の川」でアンコールはスタート。本編「My Gift to You」の余韻を引き継ぐかのように、しっとりとメロウな曲を紡ぐ。どっぷりと楽曲の世界へいざなった。ここで、6月20日に36枚目となるシングル「Heaven Only Knows/13ヶ月」をリリースすることを発表。その中の1曲である「Heaven Only Knows」を初披露。ノスタルジックなメロディラインと、自身たちも“ケミケミしい”と話すCHEMISTRYらしさが存分に詰まった楽曲で、最高のひと時を味あわせてくれた。

 川畑は「全国16本精一杯駆け抜けることが出来ました。駆け抜けて来られたのは、こうやって聴きに来てくださる皆さんがいなければ、僕らはステージに立つこともできないですし、皆さんに感謝しています」と感謝を述べ、堂珍は「会場が大きくても小さくても、僕らは歌うことに意味があるので続けていきたい」と未来への決意とも言える言葉を話し、ラストは「ユメノツヅキ(Slow & Emotional)」を披露。“夢を見続けていこう”というメッセージを込め、丁寧にメロディに言葉を乗せ、ツアーはクライマックスを迎えた。

 この2人でしか表現できない音楽がこの空間にはあった。過去と未来が混在したこのステージからはポジティブなエネルギーしかなく、2018年も素晴らしい“ユメノツヅキ”を我々に見せてくれると確信した一夜だった。

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