小袋成彬、宇多田ヒカルのプロデュース振り返る「こだわりある」
熱唱する小袋成彬(C)Spotify
シンガーソングライダーの小袋成彬が24日、東京・Spotifyオフィスで『小袋成彬 Spotify LIVE』をおこなった。このなかで小袋はクールな歌唱を柔軟なリズムで披露。宇多田ヒカルのプロデュースを受けた感想として「歌手の時もブロデュースする時も自分の関わる音楽に対して凄くこだわりがある。その中で自由にやらせてもらいました」と語った。写真提供=Spotify
宇多田ヒカルと仮想共演も
この企画はデビュー曲「Lonely One feat.宇多田ヒカル」が音楽サブスクリプションサービス、Spotifyのウィークリー・バイラルランキング1位獲得を記念したもの。参加者は限定招待されたSpotifyユーザー36人。小袋はデビューアルバム『分離派の夏』を4月25日に発売する予定だ。
イベントが始まると、オープニング映像に続き、小袋とギターとキーボードのサポートメンバーが登場。まずキーボードのイントロに続き、綺麗な裏声を響かせて3拍子系の「Game」で演奏をスタートさせた。盛り上がる箇所もありつつ、クールに聴かせる。小袋のフロウ(リズム)がとても柔軟かつスムースだ。
続く「Selfish」では迫力のあるシャウトも聴けた。キーボード奏者はエレキパッドを叩いたり、エレキベースを弾くなど多彩。ビートを鳴らしてR&Bに演奏したのは「Summer Reminds Me」。小袋はあらかじめ多重録音してある声に、歌をさらに重ねていく。
このライブのきっかけとなった「Lonely One feat.宇多田ヒカル」はシンセサイザーが効いたビートが気持ちの良いサウンド。客演参加した宇多田の音声トラックも鳴らされ、仮想共演を果たした。5曲目の「Daydreaming in Guam」は浮かぶ様なリズムで歌い上げ、最後は小袋自身がギターを弾く場面も。
ライブ終盤は「 E. Primavesi」の後、賑やかなSEでフェイントをかけてから、明るめな「愛の漸進」でフィニッシュ。小袋はMCはせず、頭を下げて退場した。
自身のこだわりは「阻害する人は避ける」/囲み取材
演奏後、小袋は記者向けの囲み取材に応じた。白いTシャツにデニム、黄色いナイキのスニーカーという出で立ちの彼はナチュラルに質問に答える。
まず自分の音楽について。小袋は「距離とか人数とか規模は関係なく、ライブは作ったものを再解釈する作業」と語り「メッセージとかではなく、内省的なもの」と話す。
ストリーミングサービスについては、「(プレイリストで)合法的なコンピを作れることはこれまでなかった。アーティストとしてよりも、ユーザーとしての方が(期待が)強いですね」とコメント。
自身の歌は「技術的にこれをやったというか、自然に出来上がりました。寧ろ前よりも酒とかで出なくなっている」と冗談混じりに伝え、さらに「歌と表現したいものが近づいてきた」と心境を明かした。
また、ライブで使用したビート(PCによる打ち込み音源)については「9割くらい僕です」とほぼ自作している様子だった。宇多田ヒカルとの共演については「いつか出来たら良いですけどね」と控えめ。
これまで水曜日のカンパネラや柴咲コウらのプロデューサーとしても活動経験のある小袋。自己名義でも音楽への姿勢は「全く変わらないですね」とした。反対に小袋をプロデュースした宇多田については「歌手の時もブロデュースする時も自分の関わる音楽に対して凄くこだわりがある。その中で自由にやらせてもらいました」と語った。
自身のこだわりは「阻害する人は避ける」と大胆発言で現場から笑いが起きた。「自分のやりたい環境は自分で作る。当たり前ですけどね、組織に所属している人間ではないので、その分自由にやらせてもらっています」と力強く述べていた。【小池直也】