小野真弓写真集『赤い花』(小野真弓・著、野村恵子・著、講談社)

 20歳の時に消費者金融「アコム」のCMで爽やかな女子社員役を演じ、人気を博した小野真弓(36)。過去には歌手活動の経験もあり、今は女優として活躍している彼女が7年ぶりに一作限りでグラビアを復活させた。なぜだろうか。

 1月25日に刊行された写真集『赤い花』(小野真弓・著、野村恵子・著、講談社)。写真集は2011年出版の『Switch』を最後に休止。その理由は、女優活動にシフトするため、アイドル的な立ち位置を変えたいとの意思だった。その彼女がなぜ、今回写真集に挑んだのか。事前資料には刊行のきっかけは「自分を全部さらけ出してみたい」という感情が芽生えたことと綴ってあった。

小野真弓写真集『赤い花』(小野真弓・著、野村恵子・著、講談社)

 先日おこなわれた会見では、復活を動機付けさせるような「心境の変化はない」としながらも「年齢を重ねて見せ方、表現、違う表現ができるかなと。たくさん、写真集を出させて頂いていますけど、10代や20代の魅力はあるけど、その時に出せなかった魅力があるなと思いました」と語った。

 事前資料の編集者コメントにはこんなことが書かれている。封印した理由は「ずっと、明るく笑うことを求められていて、グラビアがいっぱいいっぱいになったから」と。今回向き合えたのは「やっと、今ならカメラの前に立てる気がした」とも。更に「36歳って仕事でもひとりの女性としても、中途半端な時期なんです。でもだから迷ったりぶつかったり、またハジけたり幸せを感じることがあるなって。そんな自分を全部出してみたくなった」。

 今回の写真集は、男性が見て「刺激的」、女性が見て「共感できる」ものに仕上がった。撮影は山梨県の川口湖など都内近郊でおこなった。「今まで出させて頂いた写真集は南の島に行って夢の中の世界のような感じだったけど、今回は近郊でよりリアルというか、良くも悪くもそのままの私が写っている。凄くお気に入りな面と自分のコンプレックスがそんまま映り込んでいる」とありのままの姿を収めた。

 この日の会見は先にカメラマンによる撮影に応じたあと、記者の質問に答えた。撮影では彼女の特徴のスマイルが飛び出し、いろいろなポージングにも対応した。記者との質疑応答では最初こそ緊張している様子がうかがえたが、徐々に慣れ、中盤からは普通に会話しているようだった。人懐っこいところも彼女の魅力だろうと感じた。

小野真弓写真集『赤い花』(小野真弓・著、野村恵子・著、講談社)

 そんな彼女も今年で37歳を迎えるが「年を重ねることには抵抗はないです。37歳だからやろうというのはないけど、仕事でもプライベートでも良い出会いはボーとしていたら通り過ぎちゃうのでしっかり見ていきたい」とし、恋愛についても「今年は絶えず募集しています」とストレート。更に写真集に書かれている詩にちなんで「エロいことは考えているのか」という質問には「エロいことは考えている。しょっちゅうですよ」と隠さなかった。

 「本当に何もつけずに撮影したのでセクシーさ100点です」と自信をのぞかせた彼女。「年齢を重ねてきたことによって重力、しわもありますけど、そういうものを隠さず撮って頂いた」とも。やはり心境の変化があったのかと勘繰りたくなるが、会見で見せた彼女の語り口などから考えると、素直に「今」の自分を記録したかったのだろう。

 そして、注目したいのが女性が見て「共感できる写真集」というコピーだ。写真集に載る小野は確かに官能美に満ちているが、女性の内面を映し出しているようにも見える。また、彼女は「自分と向き合うことが多くて、自分の気持ちや思いを突き詰めてみると、自分が何気なく思っていた以上にいろんな欲の深さを感じまして」と語っていた。そのきっかけの一つが写真集で描いた詩だった。

 彼女は「文章を書くのは怖くて、書くのもすごい大変だった。恥ずかしくて文章を書くのが。写真を撮られるより、文章を書くといろんな隠しているものが丸裸になってばれる感じがして。肌を見せるより裸、内臓まで見せる気分で…恥ずかしくて」と説明した。深層心理を、写真という形だけでなく、文章としてあらわしたように感じた。

 最後に彼女は「36歳になった私のリアルが全て写っています。ぜひチェックしてください」と語った。写真集復活の動機となった今の内外の魅力がリアルに記録されている。【木村陽仁】

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