ミュージシャンは生涯現役、Moon 韓国の歌姫が考える音楽家とは
INTERVIEW

ミュージシャンは生涯現役、Moon 韓国の歌姫が考える音楽家とは


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年02月06日

読了時間:約10分

 韓国ジャズシンガーのMoonが2月7日に、1stソロアルバム『Kiss Me』をリリースする。ラジオパーソナリティの坂上みきが“今、心に響く曲”と紹介した、韓国No.1の人気ジャジー・ポップ・ユニットWINTERPLAYの歌姫として人気を博し、昨年よりヘウォン(Haewon Moon)からMoonに名義を変更しソロ活動をスタート。今作は原田知世のプロデュースワークでも評価の高いギタリストで作曲家の伊藤ゴローをプロデューサーに、TOKUや小沼ようすけなどをゲストに招き、「イン・ア・センチメンタル・ムード」やホール&オーツの「プライベート・アイズ」などジャズ・スタンダードからポップスまで、珠玉の10曲をカバーし制作された意欲作。音楽的に同じ空間を感じられることが重要と語るレコーディングの制作背景から、Moonが思う音楽観など話を聞いた。【取材=村上順一/撮影=片山拓】

不安すらも楽しみたい

――WINTERPLAYを離れてソロとして活動されますが、今の心境はいかがでしょうか。

インタビューに応じるMoon

 ソロとして活動することにワクワクしていますし、嬉しい気持ちでいっぱいです。また、これは期待していなかったことなのですが、WINTERPLAYというグループをたくさんの人が記憶してくださっていることは、凄くありがたいことで感謝したいなと思っています。ソロとして新しくスタートを切ることになって、こういった取材などでも、たくさんの方とお会いすることができて嬉しいです。

――楽しみなことが多いとは思いますが、不安なことはありませんでしたか。

 もちろん、不安な気持ちもあります。例えるならばステージに立つ人は、ステージに出る直前に心地よい緊張感と不安を常に持っていると思うんです。その不安というのは、お客さんがどのような反応をしてくださるのかということに対する不安だと思うんですけど、私はそれに対する不安すらも楽しみたいんです。なので今はそれと同じ心境、ワクワク半分、不安半分といった気持ちです。

――日本で以前から活動してみたかったとお聞きしたのですが、なぜ日本にご興味を持たれたのでしょうか。

 韓国で音楽活動している者にとっては、いつか日本でアルバムを作品を出して活動してみたいということを、みんな思っているのではないかなと思います。音楽とは聴いてくれる皆さんとの意思疎通であり、演奏している側はそれを触覚のように感じとることが出来るんです。私は初めて日本で公演をした時に非常に良いものを受け取ることができました。それは本当に運が良かった思いますし、それが私の中に良い記憶として残っています。それをもう一度感じたいという思いもありました。

 また、私自身がこれまでの間にどれくらい成長したかという、テストのような意味合いも持たせています。この音楽を日本で発表したら、皆さんがどのように反応してくれるだろうかというのが知りたいというのもあって、日本でリリースしたいと思いました。

――過去の記憶が日本へ呼び寄せたわけですね。選曲はどのように決めたのでしょうか。

 私にとっての初めてのソロアルバムなので、この作品は聴いてもらう人のためへのプレゼントでもありますし、それと同時に自分に対するプレゼントでもあります。選曲は利己的に、まずは自分が歌いたい、アルバムに入れたい曲を優先的に選んで、あとはどういった曲ならば自分が上手く表現できるかというのを意識しました。

――今作はどの曲もタイトルになり得そうな有名曲ばかりですが、なぜ『Kiss Me』をタイトルにしたのでしょうか。

 いつかソロアルバムを出せる時が来たらシックスペンス・ノン・ザ・リッチャーの「キス・ミー」を絶対に入れたいという思いがありました。とても大切な思い入れのある楽曲なんです。逆にこの曲から離れたとしても、「キス・ミー」という言葉自体が本能的で体で感じられるものになっていると思うんです。聴いてくれる方々にとっても、その感覚を持ってこの音楽を受け入れてほしいなという思いもあってこのタイトルにしました。

 実際タイトルをどうするかはプロデューサーの伊藤ゴローさんと考えました。ここはけっこう悩みました。例えばファーストアルバムだから『First Kiss』にしたらどう? という意見もありました。でも、『First Kiss』というのは私の年齢からしたら遅すぎかなという意見もあって。私が10代だったら『First Kiss』にしていたかも知れませんが(笑)。

――伊藤ゴローさんのプロデュースワークはいかがでしたか?

 沢山手助けをしていただいて、アルバムのクオリティを決定づけてくれました。どういうアルバムにしていこうかというものを、意見を交わし悩みもしながら作り上げたのですが、意見が違った部分はそれほどなく、同じ方向を見て作り上げていくことが出来たと思います。

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