年末は個人的に慌ただしく過ぎ去ってしまいました。ですので今回は遅ればせながら、2017年に私が一番聴いたアルバムを紹介したいと思います。

 昨年の私的な再生回数第1位だったのは、米国ラッパーのSmino(スミノ)が昨年3月にドロップしたアルバム『blkswn』でした。

Smino - Wild Irish Roses (Live) - dscvr ARTISTS TO WATCH 2018

 この動画は『blkswn』に収録されている「Wild Irish Roses」のライブ映像。この演奏時のバンド編成は、スミノ本人、コーラス2人、キーボード、ベース、ドラム、PC2人の8人編成となっています。

 スミノはセントルイス出身で、現在はシカゴで活動する26歳。音楽一家に生まれた彼は父親からドラムを買い与えられ、教会でドラムを演奏し、ラップも始めたといいます。影響を受けた音楽はジャズやゴスペル、ヒップホップ。ラッパーとしてはカニエ・ウェストからも大きな刺激を受けているとか。

 シカゴといえば、楽曲を販売せずに2017年のグラミー賞を獲得したChance the Rapper(チャンス・ザ・ラッパー)を輩出した地でもあります。その例に漏れず、スミノもデジタルダウンロード形式で『blkswn』を発表しました(現在、LP盤はリリースされています)。

 その発売日は昨年3月14日でした。314という数字は彼の地元セントルイスの地域番号。そんな粋な地元推しもヒップホップの精神を感じさせますね。

 このアルバムの素晴らしさは、複層的なリズムとクールな音色で編まれた音像と、音楽性に裏打ちされたスミノのラップや歌唱もさる事ながら、各楽曲のタイトリングやアートワークなど、作品トータルとして優れている点ではないでしょうか。

 『黒い白鳥』というアンビバレンスな作品名。それに対し、ジャケットでスミノの頭に付いているアフロコーム(櫛)に書いてある『blkswn』の文字のヘタウマさ。この様なさじ加減も計算された物かどうかはわかりませんが、そのバランス感覚に私は惹かれているのだと思います。【小池直也】

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