シンガーで俳優の石橋凌が5日に、東京・EX THEATER ROPPONGIで『石橋凌 TOUR 2017 "may Burn!"』の東京公演をおこなった。7月にリリースされた6年ぶりのオリジナル・アルバム『may Burn!』を引っさげて、大阪、東京、福岡の3公演をおこなうというもの。この日はニューアルバムから全曲、ARBの楽曲などを交えながら全25曲を披露。来年は40周年を迎えるということもあり、キャリアに裏打ちされたステージパフォーマンスで訪れたオーディエンスを魅了した。【取材=村上順一】

「神風ダイアリー」で幕開け

ライブのもよう

 EX THEATER ROPPONGIには既に多くの人が集結。ノスタルジックな気持ちにさせるBGMを聴きながら、開演を待ちわびる。時刻は17時を少々回ったところで暗転。ヘリコプターのローターが回転音が会場に響き渡り、SEが流れる中、サポートメンバーがステージに登場。そのあとゆっくりと石橋凌もステージ中央に。

 始まったのは「神風ダイアリー」。戦時中の隠れたロマンを描かいた歌詞に、ゆったりとしたサウンドで、徐々に高揚感を震わして行くようなオープニング。石橋の存在感のある歌声がホールを包み込んで行くと、続いてはソロ1stアルバム『表現者』収録の2面性を持ったナンバー「乾いた花」へ。後半のロックパートに入ると石橋の表情も鋭い目付きへ変わる。

 MCで時事ネタを挟みながら、THE GROOVERSの藤井一彦によるソリッドなギターカッティングが体をシェイクさせた「SUNNY BRAIN」、そして、ARBのナンバー「Heavy Days」からザ・ビートルズの「A HARD DAYS NIGHT」へと繋がる流れも秀逸。シャッフルビートで原曲のニュアンスを損なわず、石橋の“味”を放出して行く。

 石橋は「過去に歌や音楽に助けられた思い出があります。この歌が皆さんの生活の場面場面で、ふと口ずさんでもらえるような歌になってくれれば…」と想いを語り届けたのは、伊東ミキオによるピアノが印象的なバラードナンバー「エンドレス・ロード」。間奏での太田惠資によるバイオリンの音色も美しく叙情的に響き、楽曲の世界観を後押し。石橋のキャリアから滲み出る説得力が、歌に乗ってさらにこの楽曲の情景を鮮明に映し出した。

 そして、シェイカーをサポートメンバーとともに客席に投げ入れオーディエンスにプレゼント。運よくキャッチできた人はそのシェイカーで参加した「形見のフォト」では、アウトロで石橋もパーカッションのジャンベで応戦し会場の一体感を高め、オリエンタルな旋律が印象的な「ヨロコビノウタを!」と続けて披露。石橋もマイクスタンドでパフォーマンスしながら、「サイコー!」とご機嫌な声を上げる。
 
 ポルトガル語で、楽園の意味を持つラテンな雰囲気を持つ「パライソ」、そして、ジャズ・ファンク調のビートに乗せて、「あなたの人生は最高だったよ」とエールを送るナンバー「サヨナラ バディ!」、そして、新たにレコーディングをし直したという「抵抗の詩」と、ニューアルバムからの楽曲を立て続けに披露。「抵抗の詩」では新たに3人ホーンセクションが参加し、厚みのあるゴージャスサウンドでオーディエンスを魅了して行く。

サンコンJr.がスペシャルゲストとして登場

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 「歌で皆さんを元気にしていきたい」と話し、ロックンロールナンバー「SOUL DOCTER」では、石橋のシャウトはキレのある咆哮、それに呼応するかのように、梅津和時のサックスも唸りを上げる。「ピカドンの詩」、「Do it Boy」と、テンションをさらに上げさせるナンバーでホールを席巻。

 ライブはラストスパートに向かう。「これからも叫び続けます!」と宣言し、80年代に書かれたナンバー「喝!」でオーディエンスも拳を振り上げ声をあげた。「来年は40周年、目指す場所には行けませんでしたが、不屈になりました。これからもミュージシャンと俳優の2足の草鞋を履き潰します」と決意を語り、夢を追い続ける人へ向けたナンバー「挽回ヴィクトリー」へ。熱いメッセージとともにエネルギーに満ちた歌声を聴かせ、アウトロではピースマークを掲げ、佇む石橋。それに応えるかのようにオーディエンスもピースマークで本編を終了した。

 アンコールでは、ニューアルバム『may Burn!』でも参加したウルフルズのドラマー、サンコンJr.がスペシャルゲストとして登場。人生が滲み出るようなスローブルースナンバー「名も無きDJブルース」、中身のないサラブレッドより、中身のある駄馬が良いと語った「駄馬のいななき」、そして、感情まで揺るがすようなビートが渦巻いた「Route 66」と3曲を届けた。

 ダブルアンコールではドラマーを元↑THE HIGH-LOWS↓の大島賢治に戻し、「TOKYO SHUFFLE」、「Hey Voter!」、そして、「R&R AIR MAIL」をライブ終盤とは思えないパワフルなステージング。鳴り止まないアンコールの手拍子に応え、トリプルアンコールではサンコンJr.も再び登場し、ARBのナンバーから「パブでの出来事」をフルラインナップでで披露。石橋もハットを被り、ダンディな出で立ち。会場全体が体を弾ませながら楽しむ。石橋は「明日からまたリセットして、それぞれの道を歩んでください」と言葉を投げかけ、ライブは大団円を迎えた。

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