ステージメンバーとコンポーザー、映像やアートワークを手掛けるクリエーターらから成るエンターテインメントバンド、Xmas Eileenが10月18日に、2ndアルバム『DIS IS LOVE』をリリース。2014年にライブデビューし、同年にアルバム『SORRY WHO AM I ?』をリリース。2016年にアルバム『ONLY THE BEGINNING』でメジャーデビューした。ライブには小さい子供も来ることから、「男らしさとか責任感とかいった考えを胸に持って活動したい」と話す。アルバム『DIS IS LOVE』は、LOVEをテーマに“憎むのもまた愛情”との意味も込めたとのこと。アルバムについて、活動についてボーカル右に話を聞いた。【取材=榑林史章】
成り立ちが不思議なバンド
――バンド名のXmas Eileenは、やはりクリスマスに結成したとか?
そうですね。僕らは毎年のクリスマスの時期に、とある活動を行っていて。それで思いつきでXmas Eileenというアイデアを出したら、みんなが格好良いと言ってくれたので決めました。
――メンバーの名前をパート名で呼んだり、仮面を付けているのは?
自分たちがこれまでにやっていたことから、先入観を持たれたくないと思って。ゼロからやりたいと思った時に、こういうやり方しかなくて。正直3年経って少しずつ認知もされて来ているし、ライブの時も歌いにくいので、仮面はもういいかなと思っていたのですが…。
この仮面って、うちの父親が作ってくれているんです。手先が器用でバンド活動も応援してくれていて、この夏もフェスに出る用にと、新しい仮面を作って嬉しそうに持って来てくれました。そんな父親の生きがいを奪うのもかわいそうなので(笑)、もうしばらくは付けて活動しようと思っています!
――そんなXmas Eileenの最新アルバム『DIS IS LOVE』ですが、やはりテーマはLOVEということで。
はい。バンド結成当初からバンドとして持っているテーマですが、男女の恋愛を歌うことにはまだ目が向かないので、それ以外の大きな意味でのLOVEです。
――THISではなくDISになっているのも、ポイントですね。
そうですね。LOVEを強調したくて。要は言葉遊びですけど、ギターから出たアイデアで、THISをDISにすることで、「憎むのもまた愛情」みたいな意味に出来るんじゃないかと思いました。おしゃれだし意味深さもあって、すごく良いと思ってこのタイトルにしました。
――およそLOVEとか歌わなさそうなイメージですけどね(笑)。
サウンドが激しいですから(笑)。僕らの音楽はラウドロックのカテゴリーに入ると思いますが、だからと言ってそのカテゴリーに合う歌詞やメロディをはめて音楽をする必要はないと思って。自分たちの言いたいことが、しっかり反映出来る曲にしたいと思っています。
――ラウドを基本に、ヒップホップやレゲエもあって。あと、トランスっぽいシンセが入っているのも特徴だと思いました。
はい。ただ、そういう音楽をやりたいと思って、集まったわけではなくて。たまたま集まった人間で何ができるか考えた結果、こういう音楽性になりました。
うちのバンドは、ステージに立つ7人以外にグラフィックなどを手掛ける制作部隊もいて。集まったメンバーで、この音楽業界で戦っていくためにはどうしたら良いか、それぞれが出来ることは何か、考えた結果今の形になりました。だから成り立ちという点では、すごく不思議なバンドだと思います。
僕たちには僕たちのやり方が
――『DIS IS LOVE』の収録曲について聞いていきます。「パーセンテージ」と言う曲は、ピアノやストリングスも入って、キラキラとして冬っぽい感じのサウンド。歌詞で、メッセージとして伝えたかったことは?
僕がアルバムの中でいちばん好きな歌詞が、この曲の2番に出てくる<いつか旅が終わるなら、いちばん遠い場所へ>というところです。これは、いつも自分自身が心に思っていることで、願望って言うか。<いちばん遠い場所>という言葉を使ったのが、自分で書いてあれですけど、我ながら良いなって(笑)。
――そのいちばん遠い場所は、たとえば武道館とか?
いえ、そもそもどこでやるかにはあまり興味がなくて。たとえば自分たちが1万人集められるバンドだったとして、どこかの駐車場で1万人集めてライブをやるのでも良いと思っているので。
――具体的な場所ではなく、Xmas Eileenのことを知らない人がいないくらいの状況ということですか?
それがいちばんですね。そのためにはどうしたら良いか、考えている日々です。
――基本的に曲のタイトルは英語ですけど、「世界のすべて」だけ日本語ですが、これは?
それしか付けようがなくて、ついに日本語タイトルを解禁にしてしまいました(笑)。
この曲は自分たちの中では少し特殊な曲で、歌詞のレンジがすごく狭いんです。先ほどの「パーセンテージ」という曲は、すごく壮大なことを歌っていて、基本的にはそういう歌詞が多いんです。でも「世界のすべて」は、出てくる言葉も<交差点>とか<自分>とか、パーソナルな言葉で歌っています。多くの人間にとっては、自分を中心にしたすごく狭い世界がすべてだと思うんです。今まではそういうことをテーマにしたことがなかったので、その点でも趣のある曲になりました。
――「Radio」という曲では、どういうことを歌おうと?
こういう僕たちのようなバンドの音楽を、ラジオの電波でもっと飛ばしてくださいと、ラジオとかメディアに対してお願いしている曲です(笑)。
――楽しいサウンドですけど、<最低な時代 大抵は苦い>とシニカルな言葉も出て来て。
EDM調の曲ですけど、そこにパーティーピーポーな雰囲気の歌詞を乗せても、当たり前すぎて面白くないと思って。フェスやイベントで海外から来たEDMアーティストのステージを見たら、「トーキョー!」しか言ってないし。それでもノレれば良いという考え方もあるのも分かるので、アプローチの違いと言うか、僕たちにはそうじゃないやり方が出来ると思って作りました。
クリスマスに寂しい人が集まる場所を!
――初回限定盤には、パフォーマーさんが書いた小説「Holy Nights」が付属しています。
メンバーとは付き合いも古くて、結成の成り立ちとかエピソードも面白い話が多いので、それを何かの形で出せたら面白いと思っていました。それでパフォーマーに「書いてみたら?」と勧めたら、まったく経験がなかったのに、意外な文才を発揮してくれましたね。ステージメンバーとクリエーターによる集合体である、僕らの魅力のひとつとして、こういう部分からも楽しんでもらえたら嬉しいです。
――このアルバムを聴いて欲しいのは、どういう世代ですか?
ありきたりですけど、いろんな人に聴いて欲しいです。楽しんでくれるのであれば、世代も職業も立場も問わない。最近は、ライブに家族連れで来てくれる方も増えていて。お父さんに肩車してもらって見てくれる子供もいて、そういう様子を見るとすごくうれしい気持ちになります。これから多感な時期になって、未来に不安を感じることにもあるだろう10代の子にも聴いて欲しい。いろんな人の人生で、BGMになってくれたら嬉しいです。
――小さいお子さんが来てくれることも考えると、あまり無責任なことは歌えないですね。
それは間違いないです。きっと今どきは、こういう男らしさとか責任感とかいった考えや、それを胸に持って活動するやり方は、古くさいと言われるかもしれません。でも、これが僕らのやり方で僕らの音楽なので。
――11月からツアーも始まります。ライブにおけるみなさんの魅力は?
人数もいますし、ツインボーカルとパフォーマーでフロントが3人もいて。みんな動きまくるし、気がつくとドラム以外の6人全員が客席前に出ている時もあります。客観的に映像で見ると、バンドなのか何なのか、分からないくらいの圧力がステージから感じられて。そういう迫力が、うちのバンドの魅力なのかなという気がします。それを感じて楽しんで欲しいです。
そしてファイナルが12月25日のZepp DiverCity Tokyoで、Xmas Eileenがクリスマスにライブをやるということには、自分たちでも意義を感じています。クリスマスに寂しい人が集まれる場所を提供出来たら良いなと思います(笑)。
【作品情報】 Xmas Eileen 2ndアルバム『DIS IS LOVE』 10月18日発売 ■初回限定盤 [CD+BOOK トールサイズ仕様] 3500円(税抜)VIZL-1235 ■通常盤 [CD] 3000円(税抜)VICL-64839 【CD 収録曲】 【ライブ情報】 |