5月28日・29日の東京 味の素スタジアム公演にて発表された、L’Arc~en~Cielの「20th L'Anniversary TOUR」。全国5都市のアリーナ・ドーム会場を足掛け4カ月間で巡るこの大規模ツアーの開催発表は、2日間延べ10万人の歓喜によって迎えられた。それから約3カ月、ついに空前のモンスターバンドが全国への旅をスタートさせた。

 「TOUR 2008 L'7~Trans ASIA via PARIS~」以来、約3年ぶりとなるツアーの序盤、さいたまスーパーアリーナ公演。チケット入手は困難を極め、4万枚用意されていた2日間のチケットは、ファンクラブ会員優先でも、約10倍の競争率に至ったという。会場の外には、オフィシャルグッズを求める長蛇の列。開演を待つ場内には、オープニングSEが聞こえる前から大歓声が上がっている。会場が暗転すると、そこには約2万人が手にしていたサイリュームによる光の海があった。そのイロトリドリの客席景色に、再び感動の大歓声が巻き起こる。そして、ついにライヴの幕が上がった。

 誰もが息を飲むオープニングにして、MAXまで高まっていく音の洪水に飲み込まれたら、あとは身をゆだねるしかなかった。衝撃と轟音のダイナミックな空間。ステージ上に姿を現した4人のメンバーとそのサウンドは、今までのL’Arc~en~Cielと似て非なるもののようにさえ思える。幻想的でいて、現実的。感情の起伏を描くアンサンブルは集約と拡散を繰り返して、結成20周年を迎えた今年、さらなる未知への歩みを進めたかのようだ。

 ステージ上には巨大なトラスが組まれ、左右に伸びたランウェイを見ただけでも、バンドのスケールの大きさを実感できる。また、幾重にも配置された煌びやかな照明や、ステージと同等の幅にセットされた超大型のLEDが描く、色彩と映像。スタンド席から観戦していた方々はお気づきかと思うが、そのLEDはステージ床まで敷き詰められて、映像を映し出していたのだ。…このツアーがいかに壮大で、ドラマティックに演出されたものであるか、これだけでも想像に難くないだろう。

 今後ライヴをご覧になる方々のために、あえて演奏曲やその演出の多くに触れることはしないが、この日のステージは“20th L'Anniversary”のタイトルが象徴する代表曲のオンパレード。しかし現在明かすことが許されている注目ポイントをピックアップするならば、生のストリングスを大々的に採り入れた、音源の高い再現性と、新解釈の楽曲アレンジが、圧巻。

 荘厳なストリングスの中で放たれるバンドサウンドは、より深みを増しながら、楽曲の核を包み込むかのように、美しい。さらに、ミディアムナンバーのみならず、疾走するビートの躍動感が凄まじい。
 鼓動を震わすyukihiroのビート、切れ味鋭いkenのギター、メロディアスにグルーヴするtetsuyaのベース、そしてPOP感に毒を潜ませたhydeのメロディー。4人ならではの高度なアレンジと、ストリングスとのアンサンブルが、まさに絶妙。LEDを含めた演出やストリングスアレンジ。L’Arc~en~Cielがこのライヴに詰め込んだセンスは、時代の最先端であると言って過言でない。

 そして、ツアースタートと同日に、そのリリースが発表されたニューシングル「X X X」(キス キス キス)を早くも披露。hydeさんの作詞作曲によるこのナンバーは、ヘヴィなギターサウンドと強烈なリズムセクションの中で巧みに織りなす艶やかなメロディーが秀逸。そのリフレインとも呼べるコーラスワークが絡み合って楽曲を構成する革新的ナンバーだ。

 hydeさんは同曲について「エッチな気持ちで作ったことに変わりないです。みんなが欲情してくれると、僕はとても幸せです(笑)」と話している。

 最後に、先日行ったニューシングル「X X X」オフィシャルインタビュー時のhydeさんによる発言を記しておこう。「本当にライヴのコンディションがいいなってすごく手応えを感じてるんで、僕自身、とても(“20th L'Anniversary TOUR”が)楽しみで。過去に頼ってるバンドじゃないっていうのかな。ちゃんと現在進行形だなって思えるから」。

 会場にはその言葉を裏付ける珠玉のサウンドたちが鳴り響き、hydeさんの発言通り、20周年第二弾シングル「X X X」は、現在進行形のL’Arc~en~Cielが投影された楽曲に仕上がっている。

 ツアーはまだまだ始まったばかり。この公演終了翌週、彼らは福岡マリンメッセ福岡での2DAYSを敢行、12月4日の大阪京セラドーム大阪まで、全8公演を行うこととなっている。そしてこのツアーでの収穫を経て、2012年にはワールドツアーを開催。今後のL’Arc~en~Cielにますます注目である。

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