ロシア大使館でおこなわれた会見のもよう

ロシア大使館でおこなわれた会見のもよう

 ロシアが推進する国際文化プロジェクト『ロシアン・シーズン』及び『トランス=シベリア芸術祭 in Japan 2017』の日本開催に関する記者会見が5日、東京・ロシア連邦大使館でおこなわれた。会見にはオリガ・ゴロジェツ露副首相やボリジョイ・バレエのプリンシパルのスヴェトラーナ・ザハーロワらが出席。ゴロジェツ露副首相は「東京の地で『ロシアン・シーズン』を開催することは決めていた」と日露の友好的な関係が今回の開催に至ったと述べた。また、『トランス=シベリア芸術祭』で日本初演をおこなう『アモーレ』に出演するスヴェトラーナは、チャイコフスキーやモーツァルトの楽曲が使用されることを明かし「一度見て頂ければその魅力が伝わると思う」と同作に自信を持っている様子を見せた。

 『ロシアン・シーズン』は、ロシアが国を挙げて推進する国際文化プロジェクト。2017年に日本から開始され、2018年にイタリア、2019年にアメリカ、2020年にドイツと世界4カ国を回る。日本では全国各地でロシアのバレエや演劇、展示、映画、オペラ、コンサートなど200以上のイベントが開催される。

 この日の会見でゴロジェツ露副首相は「プーチン大統領と安倍晋三首相は、日露の非常に良好な関係を築いてきたと思います。1922年に(ソビエト連邦誕生によって)『ロシアン・シーズン』は途絶えてしまっていたのですが、次回開催する時は日本で、東京で開催しようということは決めていました」と日本での同プロジェクト開催に対する強い想いを明かした。さらに「来年は文化面だけではなく、テクノロジーや経済面も巻き込んださらに大きな日本とのプロジェクトも計画しております」と『ロシアにおける日本年」及び『日本におけるロシア年』の大規模プロジェクトの準備も進んでいることを示唆。

スヴェトラーナ・ザハーロワ、デニス・ロヂキン

 また、プロジェクトの一環として同日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで『天国』が特別上映された、ロシアの映画監督アンドレイ・コンチャロフスキー氏は「30年ぶりに来日しました。街並みがすっかり変わって、同じ日本じゃないように感じました。しかし、黒澤明監督が富士山の見える場所でお寿司を作ってくれた光景は今でもはっきり覚えています」と自身が強い影響を受け、親交もあった黒澤明さんとの思い出を語った。

 『トランス=シベリア芸術祭 in Japan 2017』は『ロシアン・シーズン』の一環として9月26日・27日・29日に、東京・BUNKAMURAオーチャードホールで開催される。2014年に、世界的ヴァイオリニストであるワディム・レーピンが芸術監督を務め、露・シベリア州都ノヴォシビルスクから発信するシベリア最大の芸術祭。

 今イベントでは、レーピンの妻であり、ボリジョイ・バレエのプリンシパルであるスヴェトラーナ・ザハーロワをフューチャーした作品『アモーレ』の初演、そしてレーピンがヴァイオリンで参加する『パ・ドゥ・ドゥ for Toes and Fingers』を上演する。

 レーピン芸術監督は「このような大きなプロジェクトの一部として日本で公演できることは非常に光栄です。実はちょうど30年前に初来日した、今年は私にとっても特別な年なのです。子供たちや若い世代を引き込んで、ムーブメントを作りたい」と初来日の思い出と意気込みを語った。

 スヴェトラーナは「実は私も20年前に初来日していました。それから日本を訪れる度にファンの方々から花束や、メッセージを頂くことが嬉しくて、心が温まります」と日本のファンへの感謝を述べ、「『アモーレ』は昨年完成した新しい演目ですが、一度見て頂ければ、その魅力が伝わると思います。チャイコフスキーやモーツァルトの楽曲が使用されていることだけは伝えておきます」と日本初演となる新作に自信を持っている様子を見せた。

 5月にバレエ界のオスカーとも言われる、ブノワ賞を獲得した、ボリジョイ・バレエのプリンシパルであるデニス・ロヂキンは「僕も日本には何度か訪れていますが、日本の観客はロシアバレエにとても熱狂的で驚いています」と日本のファンについて語った。(取材・撮影=松尾模糊)

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