「メッセージ」の主人公ルイーズ(演:エイミー・アダムス)

「メッセージ」の主人公ルイーズ(演:エイミー・アダムス)

 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が、自身が監督した米SF映画『メッセージ』(日本公開19日)について「最もパワフルなサウンドは“無音”だと気付いたよ」と今作でアカデミー賞「音響編集賞」に輝いたシルヴェイン・ベルメア氏の演出を評した。また「彼の作った音楽を聴きながら撮影したんだ」と同作の音楽を担当したアイスランド出身の作曲家ヨハン・ヨハンソンの音楽が、作品へのインスピレーションとなったことも明かした。

 世界中で驚きと称賛をもって迎えられた同映画。巨大飛行体から人類が受け取った美しくも哀しいメッセージと、娘を亡くした言語学者ルイーズ(演:エイミー・アダムス)の切なすぎる決断に全世界が涙し、世界各国でリピーターが続出している。

 本作は、優れたSF作品に贈られる文学賞“ネビュラ賞”を受賞した米作家テッド・チャンの短編小説『あなたの人生の物語』を基に誕生した感動作。“絶対に映像化不可能”と言われたこの作品を『ブレードランナー 2049』(日本公開10月27日)の監督にも抜擢されたドゥニ監督が独創的な映像美と世界観で手掛け、各国の映画賞を席巻している。

 本作は、本年度のアカデミー賞8部門にノミネートされ、「音響編集賞」を受賞。世界が絶賛する音の演出によって、“誰も観たことがない感動のラスト”が生まれている。そして今回、この観客を引き込む音の秘密は“無音”にあるということが明らかになった。

 本作メガホンを取ったドゥニ監督は、「今回の大きなチャレンジの一つが、突如現れた“彼ら”の話し言葉を考え出すことだった」と語る。そんな監督の力となったのが、アカデミー賞音響編集賞に輝いたシルヴェイン・ベルメア氏。シルヴェイン氏は、ルイーズと対話をおこなう“彼ら”をあえて無言にし、動作音や衝撃音によって感情を表現することで、観客を引き込む世界観を演出した。

 そんな斬新でシンプルな音に、ドゥニ監督は「僕が今まで聞いた映画の音の中で、一番印象的なものだった。最もパワフルなサウンドは“無音”だと気付いたよ」と、“感動のラスト”を際立たせるそのインパクトを絶賛している。

 さらに本作を見事に演出するもう一つ“音”は、いまハリウッドで最も注目される作曲家ヨハン・ヨハンソンが作り上げた“美しくもせつない楽曲”だ。『プリズナーズ』(2013年)で初めてドゥニ監督に楽曲を提供して以来、アカデミー賞作曲賞にノミネートされた『ボーダーライン』(2015年)に続き、本作が3度目のタッグとなるヨハンソン。

 彼は、ショーレースを賑わせた『博士と彼女のセオリー』(2015年)で、ゴールデングローブ賞音楽賞にも輝き、ドゥニ監督の次回作『ブレードランナー 2049』(日本公開10月27日)でも音楽を担当するなど、全映画ファンが期待を寄せる存在である。

 そんなヨハンソンに全幅の信頼を置くドゥニ監督は、本作の楽曲を撮影のクランクイン前に依頼していたという。脚本のみを読んで完成したヨハンソンの音楽について、監督は「僕は彼の作った音楽を聴きながら撮影したんだ。圧倒される音楽がそこにあったからこそ、撮影は幸先のいいスタートを切れたんだ」と、本作は彼をきっかけに生み出されたと説明している。

作品情報

『メッセージ』
公開日:5月19日 全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

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