超短編集「ONE PIECE」矢口史靖・鈴木卓爾両監督がトークショー
矢口史靖監督と鈴木卓爾監督によるトークショーが17日未明、東京・渋谷ロフト9でおこなわれ、俳優の田中要次と唯野未歩がゲスト出演した。DVD『超短編集 ONE PIECE』の発売を記念しておこなわれたもので、矢口監督は「固定カメラの中にリアリティーがあってこれだと思って、録画していたVHSを鈴木さんに見せたのが最初です」と撮影のきっかけを語った。
最新映画『サバイバルファイミー』が公開中で、『ウォーターボーイズ』『スイングガールズ』の矢口史靖監督と、『私は猫ストーカー』『ゲゲゲの女房』の鈴木卓爾監督が1994年からライフワークとして撮影している超低予算・超省力映画制作技術「ONE PIECE」。
ビデオカメラ固定で、編集もアフレコもおこなわない、置いたままのカメラが撮えた一片(ワンピース)の四角い世界をワンシーンワンカット、1話完結ドラマとして描いた超短編映画集。
そんな22年間で撮影された全63作品を2月15日にDVDでリリースされた。この日のイベントは、DVD発売を記念しておこなわれたもの。
矢口監督はどのようにしてこの撮影方法を思いついたかについて「『裸足のピクニック』を撮影した後に時間はあるけどお金が無くて映画を撮影できない時期があって、そんな時たまたまニュースで下着泥棒を捕まえる為にベランダにカメラを仕掛けて犯人を捕まえたっていう映像を見て、固定カメラの中にリアリティーがあってこれだと思って、録画していたVHSを鈴木さんに見せたのが最初です」と説明。
更に「映画はカットを割ったり、編集したり、お金も時間もかかるけど、固定カメラで編集もしないので、撮ってその後の打ち上げで映像を見られるのがいい」と続けた。
鈴木監督は「ワンシーンなんだけど、結構打ち合わせやセティングに時間がかかってしまい、朝集まっても撮影するのが夜になっちゃって、僕の作品は夜が多いのはそのためです」と自分の作品の傾向を分析。
この後、2人が初めて撮影した矢口監督の「女友達」と鈴木監督の「傘男」を上映。その後、ワンピースの進化を辿ってそれぞれの作品を何作か見た後に、ワンピースに20本以上出演している田中要次と唯野未歩子がゲストとして登場。
唯野は「『女友達』が人生初めての演技で、現場に行ったら台本も無くて、しかも悪口ばっかり言う役だったから本当にトラウマです」と告白。
田中は「鈴木監督にナンパされてワンピースに出演するようになりました。僕はどこの劇団出身なんですかって聞かれたりする時に、どこの劇団にも所属していないので困るんですけど、よく考えたらワンピース出身なんだよね」と挨拶。
矢口監督は「BOBA(田中要次)さんはワンピースの常連になったんですけど、実は機材オタクで、その機材を貸して欲しくて呼んでいた部分もありました(笑)」と爆弾発言。
鈴木監督が「BOBAさんは業界でも有名な晴れ男なんですよね」と発言すると、矢口監督が「『WOOD JOB!』の時は雨が降りそうな日が続いたので、BOBAさんを呼んでずっといてもらって、しかもカメラに映っている間だけ晴れるので、エキストラで入ってもらっていました」と応戦。
その後、鈴木監督が選ぶ唯野未歩子出演作品と矢口監督が選ぶ田中要次出演作品を上映したのだが、「ケーキを食べたのは誰?」と「遺言」を見た田中、唯野は大号泣。「久し振りに見たけど、泣けるねこれ」と田中。
この後、ワンピースの1編『五郎丸』から派生してオムニバス映画集「歌謡曲だよ人生は」に収録されている矢口監督作品『逢いたくて逢いたくて』を作った話などで盛り上がり、最後に両監督から今年は「ワンピースを2本ぐらい撮影します」と宣言してイベントは幕を閉じた。
尚、矢口監督最新作「サバイバルファミリー」にも田中要次さんは出演しているのだが、本人曰く「俺じゃなくてもいいじゃん!」という役らしい。2月24日には大阪ロフトプラスワンWESTでトークイベントもおこなわれる。