自分達にも新しい発見あった、7!! 枠を広げる“独り立ち”作品
INTERVIEW

自分達にも新しい発見あった、7!! 枠を広げる“独り立ち”作品


記者:小池直也

撮影:

掲載:17年02月18日

読了時間:約14分

沖縄在住男女4人組バンドの7!!。今作は歌詞もサウンドも過去の作品とは一線を画した内容となった

 沖縄在住男女4人組バンドの7!!(セブンウップス)が2月8日に、3rdアルバム『セツナエモーション』をリリースした。これまでの2作に比べ「今のリアルな7!!」を意識したという今作は、歌詞もサウンドも過去の作品とは一線を画した内容となった。このアルバムに込められた想いや、楽曲に秘めたエピソードなど、メジャーデビュー5年を経て立つ7!!の現在地について話を聞いた。

意思表示的な1枚になった

MICHIRU

――今作はどのような作品に仕上がりましたか。

MICHIRU まず、2ndアルバム(編注=『STARTLINE』2014年8月13日発売)に比べて個々の表現力も上がっているので、バンドの成長が楽しめると思います。それから単純に今まで書いてこなかった様な感情=エモーションを切り取った1枚になっていると思います。

NANAE 今回は自分たちの想いを沢山詰め込んだアルバムになっています。挑戦も沢山できたので、ここからまた新たな7!!の第2章を見てもらえる様な、スタートの1枚になったんじゃないかなと。

MAIKO 2人が言ったように、3枚目ということで。前までは右も左もわからないなか、色々な人のアドバイスを受けて、“手”を借りてここまできたという感じなんです。でも今回のアルバムでは、ちょっと1人立ちをしている7!!を出せたんじゃないかなと思っています。例えばアレンジも、今まではアレンジャーさんにお任せしていたんですけど、今回は自分たちで「こうしたい」というイメージから出来た曲も入っています。それはメジャーデビューしてからの5年間、勉強させて頂いたからだなと。なので「新しい意味での7!!の独り立ちアルバムだよ」という感じがあります。

KEITA 本当に様々な感情の曲が出来たなと思っています。今までのポジティブで前向きな7!!らしい曲ももちろんありますし、人間のネガティブな部分を書いた曲も結構あったりして、「新しく枠を広げていく」という意思表示的な1枚になったかなと思います。

――タイトル曲「セツナエモーション」が1番最後に配置されていますが、その意図は?

KEITA 1枚目『ドキドキ』(2013年3月6日発売)も2枚目『STARTLINE』もタイトル曲が1番最初にきているんですよ。先ほど話したように「今までと違う幅を広げていく」という意思表示として、これまでの歌詞とは違って暗い部分を書いた曲が「セツナエモーション」なんです。これを「ここからまた新しいスタート」という意味を込めて、最後に持ってきました。明るい曲から始まって、徐々にネガティブな曲を集めた様な感じになっています。

 「セツナエモーション」自体は前からあったんですけど、アルバムのタイトルは当初決まっていなかったんです。収録曲やアルバムのコンセプトが決まっていく中で、曲順をどうしようかと考えていて。ジャケットも色々な曲が収録されているという意味を込めて虹がかかっているんですけど、それだけじゃなくて、曲もグラデーションぽく表現できたらなという事で明るい曲から始まって、「セツナエモーション」が最後に来たんです。他にも色々な案があったんですけどね。この曲のタイトル自体がアルバムのコンセプトにしっくりきたので、アルバムタイトルになりました。

7!!「

――アルバムのコンセプトについても教えてください。

MICHIRU 曲としては、もうあったものばかりなんですよ。

MAIKO だから、最初にコンセプトを決めてそれの為に作るという感じではありませんでした。日々の中で段々と7!!としてもだけでなく、人としても28、29歳になりましたし、今まで多かったハッピーな曲とか恋愛ソングだけじゃなくて、成長していく中でリアルに感じた感情を落とし込めるようになってきたんです。KEITAはさっき「暗い」と表現したんですけど、ただ暗いんじゃなくて。誰しもが抱えているネガティブな感情というものを歌詞に落とし込んできたものが徐々に増えてきたっていう事なんです。

 それを集めてみたのが『セツナエモーション』というアルバムだと思います。その中で幸せな曲もあれば、1人で切なく泣きたくなる様な曲もあって。浮き沈みというか、色々な感情があってこその『セツナエモーション』なので。そういう意味で虹みたいに様々な色があるよっていう、後からコンセプトが自然に出来ていった感じですね。

NANAE 私はこのアルバムを通して聴いた時に、歌詞に関しても物凄く成長したなと思いました。今までポップで、楽しくて、そして恋をしていて、キラキラしたものが多かったんです。でも日常を過ごしていく上で、ずっとキラキラしているわけじゃないじゃないですか。悔しかったり、悲しかったり、切なかったりするリアルな部分を出せる様になったっていうのは、デビューから5年が経って大人になったからこそなんだろうな、と思います。

 やっぱり生きていく中で、悔しさとか悲しさとかの経験がありますよね。デビューしてからも沢山あって、そういうところを曲の中でもリアルに感じる事が出来たんです。だからそういう意味では、歌う時に難しかったとか大変だったっていう印象は無くて、ありのままの今の自分のリアルな感情で歌えたなと思います。

MICHIRU 成長とともにそういう感情ってやっぱり出てきますよね。どうしても明るい曲ばっかりじゃ、自分の気持ちに嘘ついてるなという気がして。「今こう言っているけど、本当はこういう暗い考えも持っている」という時もあるので。だからそういう一面もある曲というのがどうしても生まれてきます。でもどんなに風に曲を書いても「僕たちらしさ」みたいな、NANAEちゃんが歌う事によって僕たちの曲になるんです。

成長を感じられる1曲「大きくなる愛」

NANAE

――作品にはMAIKOさんによる作曲「大きくなる愛」も収録されています。

MAIKO そうなんですよ。珍しくあります。なかなか作れないんですけど。これも3年位前に書いた曲なので(笑)。KEITAが急に掘り出してきて「良い曲だから、もう少し歌詞を書き直して」と言ってきたんです。それから彼に手伝ってもらって、歌詞を共作しました。でも、この曲も今じゃなきゃできない曲なんです。というのも、歌詞とか想い入れとかじゃなくてアレンジ面として、ビッグバンドとかミュージカルっぽいものになっているんです。

 たぶん3年前、この曲を作った当時だと演奏が出来なかったんですよ。結構こういうのはグルーヴを出すのが難しくて、あの時じゃ絶対にできなかった。3連符とか6連符(編注=音数が2つや4つ綴りではなく、3つ綴りのリズム)が沢山出てくるので。でも「今ならこういうアレンジにしても演奏できるな」というのもあったんです。そういう意味で、歌詞によって成長を伝えるものもあれば、サウンドで「こういう事も出来るようになったよ」というものもあります。ビッグバンド風のアレンジは7!!の中で初めてなんです。なので、成長を感じられる1曲ではありますかね。

 もともとイメージはあったんですけど、それを上手く伝える事ができなかったんです。今回のアルバムに収録するにあたって「この曲はこのアレンジの方が似合う」とKEITAがくみ取ってくれて、再現してくれたんです。そこは感謝していますね。時を経て「お前がやりたいのはこうだろ」って。

――昔の曲を今やるという事に照れくささとかは無かったですか。

MAIKO 歌詞だけは書き直しましたからね。全部ではないですけど、言い回しとかを変えて。恥ずかしいんですけど、でも「その通りだな」って自分では思います。この曲で言いたいのは「口に出そう」という事なんです。イメージは恋愛っぽくなっていますけど。口に出すのって勇気がいるじゃないですか。昔は何も考えずに良い事も悪い事も人にぶつけてたと思うんですよ、若さゆえに。

 でも大人になると、本音を言わなくなるじゃないですか。建前とかも気にするし。恋愛だけに限らず、家族とか友達とかにも「ありがとう」とか「好きだよ」とか「そういうのはやめてほしい」とか、そういうちゃんと伝えなきゃいけない事は、言った方がいいなって今でも思うので。この歌詞は今見ても「言いたいことは言えてるな」と思ってます。

曲書く時はNANAEを呼び出します

KEITA

――他の皆さんの個人的な推し曲も教えていただけますか。

KEITA 僕は「汚れたスニーカー」ですね。僕はバラードと呼ばれる曲が苦手なんです。今回は数年ぶりに書きました。苦手な分、時間がかかりましたね。最初どんな曲にしようって考えた時に、今までにないアレンジにしようとは思っていて。本当に1カ月くらいかかりましたけど。いつも曲書く時はNANAEを呼び出して、ずっと隣にNANAEを置いた状態で曲を書くんです。

NANAE 疲れます…。

KEITA (笑)。これを書いてる時期は特に迷惑をかけたんですけど、その分、仕上がった時は嬉しかったし、アレンジのイメージもびしっとハマったなって。結果、僕たちの曲にない「バラードっぽくないバラード」になりましたね。

NANAE 私は「相愛性理論」が気に入っています。今、KEITAが話した様に、彼が曲を作る時ってまだ形になっていない状態から手伝う事が多いんです。この曲もそうだったんです。「良いメロディが浮かんだんだよね」って。歌詞が無い状態の時に聴いた時から「良い曲になりそうだな」と思っていて。それにKEITAが作るのも物凄く早かったんです。次に持ってきたときはもう歌詞ができてたし。

 その歌詞が恋愛を数式に例えたものだったんです。今までそういうのが無かったので「面白いな」と。だから歌詞に関して、新しい7!!という物を見せてもらったなと思いましたし、ライブでも凄く盛り上がるんです。まだCDになってない段階で、「この曲が好き」という人も多かったですし。だから、この曲は制作初期から関わっていたっていう意味でも可愛いなと思っています。

――ちなみに数式で恋愛する男性についてはいかがですか。

NANAE 嫌ですね(笑)。めっちゃ嫌ですね。

MICHIRU プレゼントとかもデータでチェックして、グーグルとかで調べて、とか。「これを渡せば間違いない」みたいな。でも調べちゃいますよね、僕も検索しちゃいます。

NANAE それは嫌ですね。気の赴くままが良いです。

――MICHIRUさんの推し曲はなんでしょう。

MICHIRU 僕は「HARU」という曲です。タイトルに関しては色々悩んだんですけど、青春の「春」と、季節の「春」と色々ひっくるめて「HARU」にしようと。今までの僕らの恋愛ソングって、歌詞的に失恋の内容でも、最終的に前向きになる言葉を入れるんです。でも、これに関しては名前も知らない人に恋をしてしまって、好きな気持ちはあるんだけど打つ手がない、どうしようもないっていう感情を書いてみようかなと。

 他の曲と違って最後まで何も起きてないんですよ。ただただ好きだけど、行動に移せないという、そういう曲ですね。なんかNANAEちゃんが敢えて歌わなそうな曲を作ろうと思ったのがきっかけです。基本的には街中で一目惚れした相手がいて、でもその人は妻も子供もいるっていう設定で。

NANAE 私は歌ってて気持ちいいですね。今までにないので、ドキドキもありますし。7!!のファンの方って幅広い年齢層いるんです。恋愛ソングに関しては女子高生とか、若い子が聴いてくれてるイメージなので、そういう子たちにも刺激になるような曲だなと。

――MICHIRUさん作曲の「センチメートル」という曲のタイトルに惹かれるものがありました。歌詞に全く出てこない言葉がタイトルになっていますよね。

MICHIRU この曲に関しては、NANAEちゃんがタイトル付けしたんですよ。

NANAE タイトルだけですけどね。

MICHIRU 曲はできたんですけど、タイトルが浮かばなかったので、ちょっとした会議の時に「何か良いのない?」と皆に聞いたんです。そしたらNANAEちゃんがこのタイトルを出してくれて決まったんです。

NANAE 聴いた時に曲が「2人とも想い合ってるのに、なかなか一歩踏み出せない。もどかしい」っていうストーリーだったんですよ。「恋人でもない、でも友達以上の関係」ってセンチメンタルだなと思って。この微妙な感じっていうのが。そこからこのタイトルが思い浮かんだんです。それを提案したら皆気に入ってくれて。

 普段そういう事は考えた事はないですね(笑)。でもこの曲だったからこそ、このネーミングが生まれたんだと思うんです。「もどかしいっていう気持ちを表すにはどうしたらいいんだろう」っていうのを自分なりに考えた結果ですね。

「よりリアルな沖縄」がコンセプト

MAIKO

――アーティスト写真にはどのような意図が?

MAIKO 作品がバンドのリアルなものになったので、うちらのリアルな場所である沖縄の国際通りで撮りました。学生時代からよくいる場所だし、日常に欠かせない場所なんです。ソロカットとかもそれぞれの身近な場所で撮ったりしてます。

KEITA 今までは沖縄の青い空、青い海っていう明るい場所で撮ったりしてたんですけど、今回は「よりリアルな沖縄」というものがコンセプトでした。なので衣装も、街に溶け込むグレーを選んでます。撮影した日は曇ってくれて、撮りたい画が撮れたなって感じです。

MICHIRU ちょうどこの日は良い感じに小雨も降って、地面が濡れているのもまた良いんですよ。湿っている感じがまた。

KEITA 明るいだけじゃない沖縄を見せたかったので、よかったです。

――こんなリスナーに聴いてもらいたい、というのはありますか。

MICHIRU 僕らは「幅広い年齢の方に聴いてもらう」というのを、テーマにしているので少し難しいですね。

KEITA 10代の人に響く「相愛性理論」みたいな曲もあれば、大人に響く「きみがいるなら」もあるんです。アルバムでターゲットを限定するのは難しいです。

MICHIRU ライブの客層も広いんですよ。下は10代から、上は50代とかも。

MAIKO 親子で来る人もいます。もう「好き」という気持ちさえあれば、年齢性別関係ないと思うんですよ。時々アニメとかのテーマソングも多かったからか、「こんなおじさんが来て、大丈夫かな」って気にされる方がいるんです。でも、本当にそんなのは関係なくて「7!!の音楽が好きだ」というだけで、私たちは嬉しいし。聴いて頂けるだけでありがたいです。

7!!

――では、最後に読者にメッセージと今年の目標をお願いします。

MICHIRU 本当に自信を持ってお薦めできるアルバムが出来たと思っているので、沢山の人に聴いて頂きたいのと、これからも7!!は進化していくと思いますので、応援よろしくお願いします。2017年は曲を沢山書きます。

NANAE 自分たちの出来る事が少しずつわかって、新しくできる事の自信にもなった作品です。MICHIRUが言ったようにもっと進化しますし、その期待を込めた1枚になってます。秋にはワンマンツアーを開催するので、是非観に来てください。

MAIKO このアルバムを作るにあたって、自分たち自身に新しい発見をすることができました。今まで応援して来てくれた方はもちろん、この記事を読んで7!!に興味を持ってくれた方にとっても、新しい発見を沢山して頂けると思います。是非アルバムを聴いて、ライブにも来てほしいと思います。2017年の目標は、自分らしさを持って、思いやりの溢れる「良い女」になることです。

KEITA ファンの方も、新しく僕らを知ってくれた方も、誰でも楽しめるアルバムが出来たと思うので、より多くの方に届いてほしいです。2017年はさらに幅広い曲が書けるように頑張ります。

(取材=小池直也)

作品情報

7!!「セツナエモーション」
2月8日発売

▽初回生産限定盤
ESCL-4818~9/3611円(税抜)
仕様CD+DVD
収録曲:
1.相愛性理論
2.FLY(オリオンビール「オリオンスタイル」CMソング)
3.オレンジ(アニメ「四月は君の嘘」エンディングテーマ)
4.大きくなる愛
5.世界を回せ!!(オリオンビール「オリオンスタイル」CMソング)
6.汚れたスニーカー
7.センチメートル(tvk「saku saku」2015年10月度エンディングテーマ)
8.花びら
9.HARU
10.きみがいるなら(テレビ東京系ドラマ24「勇者ヨシヒコと導かれし七人」エンディングテーマ)
11.セツナエモーション

DVD:「7!!のうぷぷなツアー2016~いちゃりばみーんな☆うっぷすふぁみりー~」ライブ映像

▽通常盤
ESCL-4820/3000円(税抜)
仕様:CD
収録曲:
1.相愛性理論
2.FLY(オリオンビール「オリオンスタイル」CMソング)
3.オレンジ(アニメ「四月は君の嘘」エンディングテーマ)
4.大きくなる愛
5.世界を回せ!!(オリオンビール「オリオンスタイル」CMソング)
6.汚れたスニーカー
7.センチメートル(tvk「saku saku」2015年10月度エンディングテーマ)
8.花びら
9.HARU
10.きみがいるなら(テレビ東京系ドラマ24「勇者ヨシヒコと導かれし七人」エンディングテーマ)
11.セツナエモーション

LIVE情報

7!!のうぷぷなツアー2017~セツナエモーション~
【愛知】2017年9月9日(土)名古屋 Electric Lady Land
【福岡】2017年9月17日(日)福岡 DRUM Be-1
【大阪】2017年9月23日(土・祝)梅田シャングリラ
【東京】2017年10月8日(日)代官山UNIT
【沖縄】2017年10月15日(日)桜坂セントラル
チケット:オールスタンディング¥4,500(税込・ドリンク代別・入場整理番号付)
一般発売:2017年7月8日(土)10:00~
★先行受付情報はOFFICIAL HP迄⇒http://7oops.com/
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