『LIVE! TO\ワー/ RECORDS』に出演したTHE ORAL CIGARETTES(撮影・Viola Kam :V'z Twinkle)

 ロックバンドのTHE ORAL CIGARETTESが1月20日に、東京・Zepp Tokyoでおこなわれたタワーレコード主催ライブ『LIVE! TO\ワー/ RECORDS』に出演した。このライブは、新譜発売アーティストをフィーチャーするレコ発ライブ企画の第一弾。2月1日に3rdアルバム『UNOFFICIAL』を発売したオーラルは、新曲「リコリス」やキラーチューン「狂乱 Hey Kids!!」などアンコール含め全20曲を届けた。山中拓也(Vo、Gt)の「シングルのカップリングとかアルバムの普段やらない曲をじゃんじゃんやっていきたいと思います!」の言葉通り、普段ライブで演奏していなかった曲も披露し、オーディエンスを熱狂させた。

普段やらない曲も演奏

 この日は雪がチラつくほどの寒さだったが、会場内は多くのオーディエンスで埋め尽くされ、熱気に満ち溢れている状態だった。開演時刻を少し過ぎたあたりに、照明が暗転しメンバーがステージに登場。THE ORAL CIGARETTESのLIVEには欠かせない4本打ちをかまし、スタートを飾ったのは「DIP-BAP」のカップリング曲でもある「CATCH ME」。「俺ら2017年初ワンマンです。ZeepTOKYO始めようか!」という山中の煽りとともに、オーディエンスからの<CATCH ME♪>という大きな声がフロアに鳴り響いた。

 会場が盛大に揺れ動いたのは、人間の奥底にある感情が組み込まれているカオスナンバー「カンタンナコト」。「頭、振るぞ!」と山中の言葉と共に観客は、頭を大きく振りかざし暴れ回っていく。序盤からキラーチューンを連続して畳みかけたあとは、メジャーデビュー曲の「起死回生STORY」をぶっ放し、LIVEのスタートを飾るナンバーに筆頭するほどの「GET BACK」へと突入した。フロアでは、クラウドサーフィングをする人々や、拳を盛大に振りかざす人が溢れかえっていた。

アグレッシブに歌う山中拓也(撮影・Viola Kam :V'z Twinkle)

 MCでは、山中が「2017年になりました! 今年もよろしゅうお願いしますー! 今日はタワーレコードと一緒にやります。今、色んな方法で音楽っていうものは聴けますし、YouTubeで調べたらアップロードされてしまってる。でもそういう時代に、しっかりタワーレコードに足を運んで、あなたたちみたいにCDを買ってここに来てくれる人もいる。そういうのって幸せじゃないですか? お前らみたいな素晴らしい奴らには、シングルのカップリングとかアルバムの普段やらない曲をじゃんじゃんやっていきたいと思います」と話した。

 そして、1stアルバム『The BKW Show!!』に収録されている「リメイクセンス」を演奏。その後は、キラーチューンの中でも一際ダーク色が強い「マナーモード」や「嫌い」を炸裂させ、妖艶さ漂う山中のボイスを筆頭にフロアの熱量は上昇していく。

 ここで、昨年11月16日にリリースされた「5150」のカップリング曲「ミステイル」を披露し、止まることを知らない熱狂の後は、シゲこと鈴木重伸(Gt)の軽快なギターリフが印象的な「出会い街」へと続いていった。

 中盤のMCでは、メンバー4人での共同生活をついに卒業した話を交えつつ、山中が「最近、近くの蕎麦屋によく行くんです。そこの蕎麦屋が凄く美味しくて、もう三日に一回くらい行ってるんですけど、そこの鍋焼きうどんが凄く美味いんです。蕎麦屋なんだけど鍋焼きうどんを頼むんです。一昨日『お腹空いたなー』と思って蕎麦屋に足を運んだのね」と最近立ち寄るという蕎麦屋の話題へ。

山中は「それで、『鍋焼きうどん以外もさぞかし美味しんでしょうね?』って思って海老天そばを頼んだら、蕎麦の上にエビフライのってたんです! 普通、蕎麦の上にエビフライ乗らないでしょ。でも、複雑な気持ちなんです俺…。だって、エビフライめっちゃ好きだからさ」と珍しい体験トークで盛り上がった。

 さらに、「2017年はガツガツ動いていこうと思っています! でも、万人規模とかになってくると、こんなに近く(ライブハウスの距離)ではなくなってくる。寂しいな…とかさ、離れていくんじゃないかな…とかあるでしょ? でも離れていく訳ない! ずっとこの距離感というのは、距離的には離れたとしても、心の距離は繋がっている」と山中が語り、披露したのは、「エイミー」。君(ファン)へ贈る愛のメッセージ曲を歌い捧げ、暖かみのある空間を作り上げていった。

しっかり判断してほしい

ギターを奏でる山中拓也(撮影・Viola Kam :V'z Twinkle)

 さきほどまでの光り輝く空気とは一変し、落ち着きのある世界へと向かったのは「透明な雨宿り」。ミドルバラードを全身全霊で歌い奏で上げる彼らの姿は、大人びた表情をしているようだった。「まだまだやれんの? まだまだ声だせんの?」と山中が更にフロアを煽り繋いだのは、疾走感漂うアッパーチューン「STAY ONE」。そして、オーディエンスがグルグルと回転しながら楽しむ「STARGET」を畳みかけていった。そして、「気づけよBaby」では、あきらかにあきら(Ba)の重低音際立つベースラインと、シゲによるカッティングが混ざり合うのが絶妙で、その音使いに合わせて腕を左右に振りまくる人々の光景が広がっていく。

 山中は「2月1日にUNOFFICIALというアルバムを発売いたします! 捻くれてますね、OFFICIALじゃないんです。UNOFFICIALなんです。今日は、ちゃんとアルバムの意味を教えておきたいと思います。新しいバンドが出てきて、このロックシーンというのはすごく良い音楽で溢れているんです。それをしっかりあなたの冷静な目で見て欲しいんです」と話した。

 そして、「僕らのこともさ、周りがオーラル良いからって言ってるから私もオーラル良いですというのは、そういうのは別にいらないです。あなたが直接、僕らの事を見ていいなと思ったらLIVEに来てくれたらいいし、別によくないなと思ったらついてこなくて大丈夫です。僕らは、そんな人たちが混じっているフロアは、別に求めてないので。しっかり俺らのことカッコいい、ついて行きたい! と思ってくれる人だけのフロアを作りたい。だからこそ、しっかりあなただけの目で判断してほしい。そういうのをアルバムのタイトルに込めたかった」とニューアルバムのタイトルに込められた想いを語った。

差し出してくれたその手を離さない

観客と記念撮影をおこなうTHE ORAL CIGARETTES(撮影・Viola Kam :V'z Twinkle)

 MCが終わると、山中のアカペラから始まる「DIP-BAP」へ突入。腹の底に響き渡る、まさやんこと中西雅哉(Dr)のドラムビートに包まれながら、観客との大合唱が巻き起こっていく。後半戦は、スピーディーなシゲのギターリフが目まぐるしく響く「狂乱 Hey Kids!!」や、オーラルの新境地を曝け出した渾身の一撃ナンバー「5150」を次々に披露した。

 「俺らは必ず次のステージにいく。お前らが差し出してくれたその手を離さないから」の言葉の後に、ラストを飾ったのは2月1日にリリースされる3rdアルバム『UNOFFICIAL』に収録されている新曲「リコリス」を披露。

 本編は終了を迎えたが、観客からの鳴りやむことのない手拍子に応えるかのように再びまさやんが登場。そして、“まさやんショッピングコーナー”と題し、物販紹介がおこなわれた。このコーナーでは、THE ORAL CIGARETTESとタワレコによるコラボポスターが1月21日から貼り出されると発表された。

 ショッピングコーナーが終了すると、メンバー全員がステージに登場しアンコールへ。「まだ、暴れたれへんのか? 遠慮なくいくで。お前ら覚悟せーよ。我々が、一番初めに作った曲。このワンマンで“THE ORAL CIGARETTESもお前もムラムラするぞ!」と山中が叫び、突入したナンバーは、「mist…」。オーディエンスからは<そんな理性の感情も速すぎた僕の弾丸で~♪>と歌い騒ぐシンガロングが生まれ、激しさは止むことがなく次なるナンバー「LIPS」を最後に披露し、全20曲というラインナップで幕を閉じた。

 本日のセットリストは、普段LIVEではなかなか披露されることがないレア曲が組み込まれていて、ファンにとって最高のセットリストになったのではないだろうか。6月16日には、自身最大規模となる日本武道館でワンマンライブをおこなう。MCでも山中が伝えていた通り、会場の規模がどんなに大きくなってしまったとしても、ファンとの心の距離は絶対に変わることはなく、自分たちの想いを形にしていくのが、THE ORAL CIGARETTESというバンドだと強く感じた。彼らの更なる飛躍に期待して、バンドが魅せる凄まじい音像を是非とも味わってほしいと思わせるライブだった。(取材・橋本美波)

■セットリスト

01.CATCH ME
02.カンタンナコト
03.起死回生STORY
04.GET BACK
05.リメイクセンス
06.マナーモード
07.嫌い
08.ミステイル
09.出会い街
10.エイミー
11.透明な雨宿り
12.STAY ONE
13.STARGET
14.気づけよBaby
15.DIP-BAP
16.狂乱 Hey Kids!!
17.5150
18.リコリス

ENCORE

EN1.mist...
EN2.LIPS

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