マンウィズのステージに綾野剛「SSII SL」に見たクロスオーバー
MY FIRST STORY
映画『新宿スワンII』(公開中)の劇中歌を歌うMAN WITH A MISSION、UVERworld、MY FIRST STORY、Anlyの4組による特別公演『新宿スワン II スペシャル・ライブ〜SSII SL〜』が18日、神奈川・横浜アリーナでおこなわれ、主演を務める俳優の綾野剛がマンウィズのステージにサプライズ登場。ギター演奏でニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」などを披露した。
新横浜の駅を降りると、観客と見られる若い人々はコインロッカーに荷物を収めて寒空の下にも関わらず、既に半袖の軽装に着替えていた。会場に向かう駅前はその様な人々で溢れ、普段と違う様相を呈していた。会場に集まった観客は1万2000人。豪華バンドの競演に熱を帯びていた。
そうした熱気は開演後も更に高まっていた。この日は飛び入りで、シンガーソングライターのAnlyが登場し、劇中歌で使用されている「だから」をギター1本の弾き語りで披露した。同曲は、18日にリリースした4thシングル「カラノココロ」のカップリングに収録されている。
最強のボーカリストの存在証明
トップバッターを飾るMY FIRST STORYは、男性4人組ロックバンド。ドラマーのKid'zによるソロプレイからステージは幕を開け、Teru(Gt)の歪んだギターと、Nob(Ba)の腹部に響くベースが加わり、最後にHiro(Vo)が「始めようかー!」と観客を煽り、「ALONE」をパフォーマンス。
Hiroは「本日はこのようなステージに立てて、本当に感謝しています」と挨拶。2ndシングル「Black Rail」やミディアムナンバーの「Love Letter」などを披露。最後にHiroは「僕たちを知らなくても、嫌いでもいい。ただこれだけは言わせてほしい…僕たちは4年後、東京ドームに立つバンドです!」と堂々と今後の目標を宣言した。
15年間積み重ねてきたもの
続いてUVERworldの名前が会場にアナウンスされると、彼らの登場を待ちきれない観客から手拍子が巻き起こった。ステージが暗転し、手拍子を引き継ぐように真太郎(Dr)によるドラムのソロプレイが始まった。そのドラムソロが鳴り響く中、メンバー5人がステージになだれ込み、会場からも大歓声が起こった。
TAKUYA∞(Vo)が口笛を吹き、「行こうぜ、横浜アリーナ!」と叫んで「7th trigger」を披露。誠果(Sax、Manipulation)のサックスが曲にアクセントを付ける。さらにステージから炎が吹き上がる演出で、会場のボルテージも更に高まっていった。
バンドは前作の映画『新宿スワン』の挿入歌「Collide」を演奏。そして『新宿スワンII』の挿入歌である新曲「エミュー」へとつなげる。観客も両手を挙げ、ジャンピングしながら応え、そこから起きる地響きはアリーナ全体を揺らしているようだった。
TAKUYA∞は「いいね、横浜アリーナ、飛ばすね…今日はみんなで最高のイベントにしようね」と観客に語りかけ、さらに「映画っていいよね。何人ものプロが最高の瞬間を求めてカメラで捉えて、1本のラインにまとめて。それを映画館で2時間半、1800円とかで流しちゃうんだから、凄い。エンターテインメントの強敵。だからこそ、簡単に負けられない。俺たちだって、15年UVERworldやってきてるんだから積み重ねてきたものをこのステージで見せる!」と想いを叫び、彰(Gt)のかき鳴らすギターから「ALL ALONE」を披露した。
「零HERE~SE~」ではTAKUYA∞がステージから降り、観客の中に飛び込んだ。仰向けになって観客に掲げ上げられながらのTAKUYA∞の歌唱。ライブならではの光景に会場のボルテージも最高潮に。
続いて、克哉(Gt)のギターフレーズと信人(Ba)のファンキーなベースが印象的な、ミディアムナンバー「LONE WOLF」を披露。観客はその柔らかな世界観にしばし身を任せていた。
最後にTAKUYA∞が「ありがとうございました。UVERworld、やり切りました。『新宿スワン』の主人公・白鳥龍彦は19歳なんだけど、俺は19歳の時をはっきり覚えている。ポエムを書いていた、最後の年だから。最後のポエム帳には『あと1年、頑張って何も変わらなかったら、もう死のう』って書いていた。20歳になって俺はUVERworldを見つけて、それからはずっと幸せ。1年で人生って変わるんだ。みんなもこれから1年頑張って幸せを掴もうぜ!」と熱いエールを送り、「7日目の決意」でステージを締めくくった。
狼たちの夜
この日のトリを務めたのは、MAN WITH A MISSION。SEとともにメンバーが登場し、Jean-Ken Johnny(Gt,Vo)が「横浜アリーナ!」と叫び、「Dive」でスタート。
Jean-Ken Johnny(Gt,Vo)が「MAN WITH A MISSIONデス、ヨロシク!」と挨拶し、「database」を披露。1階のブロック席の観客は次々にダイブをおこない、オープニングからフルスロットルのステージに呼応していた。
続く「Get Off of My Way」では、Tokyo Tanaka(Vo)がステージを端から端まで駆け回り、Kamikaze Boy(Ba)はステージを飛び降り、観客のひしめくエリアへダイブ。観客に持ち上げられながらベースを演奏した。「Seven Deadly Sins」では、DJ Santa Monica(DJ)のスクラッチによるブレイクも冴え渡った。
Jean-Ken Johnnyは「素晴ラシイアーティストト、出演者ノ方トネ、集マッテオ祭リヲシヨウトイウコトデ。楽シンデイマスカ? イケメンッテ今、絶滅シソウナンデスヨネ。数少ナイイケメンガ綾野剛クンデス。見タ目ダケジャナクテデスネ、心モイケメンデス」と主演の綾野を褒め称え、さらに『新宿スワン』は原作の漫画も大好きだと言い、「コノ作品ニ携ワレテ、バンドヲヤッテイテ本当ニ良カッタナト思イマス」と述べた。
続いて「フォーカスライト」を演奏。ポップなメロディに会場のボルテージも上がる。そのまま怪しげな電子音から「Hey Now」になだれ込む。サビでは電子音と壮大なメロディが絡み合い、観客は恍惚とした雰囲気に酔いしれていた。
Jean-Ken Johnnyは「本当ニアリガトウゴザイマシタ。3日後、ゼヒ劇場ニ観ニ行ッテクダサイ」と『新宿スワンII』の主題歌「Dead End in Tokyo」を披露。Spear Rib(Dr)のバスドラとJean-Ken Johnnyのシャウト、荒涼とした都市砂漠を想起させるメロディが印象的だ。最後に「Emotions」で本編を終え、メンバーはステージを去った。
クロスオーバー
ステージが暗転してからも観客によるアンコールが会場には響き渡った。再びメンバーがステージに現れると、アンコールの手拍子は歓声に変わった。Jean-Ken Johnnyは「オ祭リナノデ、僕ラガヤッテモショウガナイカナ」と『新宿スワンII』で主役の白鳥龍彦を演じる、俳優の綾野剛を呼び込んだ。
黒いエレキギターを携えた綾野がステージ中央に立つと、会場からは黄色い悲鳴が上がった。綾野がどうしてもやりたいという曲「evils fall [remix](remixed by BOOM BOOM SATELLITES)」を披露。綾野は激しく頭を振り、ギターをかき鳴らすパフォーマンスを見せた。
「もう1曲!」と綾野が叫び、米バンド・ニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」を披露。印象的なパワーリフを綾野が奏でると会場から歓声が上がる。綾野は天を仰ぎながらギターを弾き、ステージがまるで映画のワンシーンのように華やいでいた。
綾野がステージを去り、バンドは最後に「FLY AGAIN」を演奏。Tokyo Tanakaがサビのメロディを歌い上げると、観客は両手を挙げた。Jean-Ken Johnnyが「今日ハドウモアリガトウゴザイマシター!」とシャウトし、この日1番の発破音の演出とともにメンバーはステージを去り、イベントの幕は閉じた。
綾野はこのイベントで『新宿スワンII』について「音楽映画と言っても過言ではないですね。映画は2時間かけますが、音楽はたった5分で人を感動させることが出来るじゃないですか。この映画はその音楽の力を借りて圧倒的な作品になっています」と語っていた。このイベントではその言葉の意味をそのまま反映したような、光景を見ることができた。
映画のために集ったミュージシャンが音楽を奏で、その音楽に映画の主役が登場する。そのスクリーンの出来事のような光景をステージ上で、生で体感できた観客が再びスクリーンに向かえば、そこにはあの俳優が躍動するストーリーが映し出されている…クロスオーバーを体感できた、またとない夜となった。(取材・松尾模糊)
■セットリスト
新宿スワン II スペシャル・ライブ〜SSII SL〜 Anly MY FIRST STORY UVERworld MAN WITH A MISSION |