リハーサルに臨む坂本冬美

 【第67回NHK紅白歌合戦、30日、リハーサル3日目、NHKホール】坂本冬美は自身の代表曲「夜桜お七」を紅白で披露する。本番前日のリハーサルでは、あまりにも妖艶に“日本の美”を表現した芸術的な空間を創り上げていた。

 色気漂う坂本冬美の歌唱に寄り添うように、激しく、全身で楽曲の世界観を表現する舞踏家とのセッション。そして、桜色、原色、都会のネオン、四季の光景と、様々な色彩で舞台を照らす映像。

 それらが織り混ざり、紅白の会場は、今年1年の四季の情念と人間の持つ水の様な喜怒哀楽の移り変わりが聴覚化・視覚化された数分感に凝縮された空間と化した。それは、楽曲と歌唱と、舞踏と映像で、あらゆる人間模様を生粋の和の表現で披露する、近代日本芸術的な“作品”を見せつけられるような時間だった。

 坂本冬美の歌を便りに踊るのは、世界的に活躍するダンサーの菅原小春。そして、映像は写真家・映画監督として活躍する蜷川実花監督がプロデュースしている。

 リハーサルから坂本冬美は気迫十分。本番ながらの貫禄、歌唱は「流石」の一言。歌唱、立ち振る舞い、映像芸術と、観る者を引き込む芸術的な舞台には目と耳を、そして心を奪われ、年の締めくくりに相応しいものだった。これを上回るものが本番で披露される事に心躍らされる。(取材・平吉賢治)

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