欅坂46、初のワンマンで決意表明「恩返ししたい」菅井友香ら感涙
初のワンマンライブを有明コロシアムでおこなった欅坂46
アイドルグループの欅坂46が12月24日・25日、東京・有明コロシアムで、自身初の単独公演を開催した。25日は昼夜の2公演で計3公演で2万7000人を動員した。乃木坂46に続く姉妹グループとして、2015年8月にのオーディションでメンバーが選ばれ、欅坂46は誕生した。あれから1年が過ぎ、この間にリリースしたシングル3枚はいずれもオリコンチャート1位を獲得。さらに2016年末にはNHK紅白歌合戦出場と異例の快進撃を続けている。この日のステージは、そんな欅坂46の真価を示す重要なライブとなった。今回は、9000人を動員した30日のラストステージの模様を以下にレポートする。
「行こう、坂の向こうへ」そしてステージの幕が上がる
有明コロシアムは、最下位にあるフロアを高く上に伸びていくスタンドが囲っている。その会場の中で、最下位のフロアをステージから連なる花道がぐるっと囲った格好となっていた。対面のステージでは味わえない、メンバーのまた違った姿が見られるかと思うと、観衆としてはステージが始まる前からワクワクしていたに違いない。
程なく会場にアナウンスが流れたが、それがメンバーのものであることがわかると、いきなり会場は大きな歓声に包まれた。そして「最終公演、お楽しみに!」という声とともに怒号のような歓声が沸き起こる。開演直前に観衆が持つサイリウムの光は、まさに欅坂46のチームカラーといえる緑一色に彩られた。SEの音が徐々に大きくなり、それにつれ歓声もさらに大きくなっていく。その音が途切れると、この日一番の歓声が。会場は暗転し、ステージにはオーディション結果発表からステージまでの、彼女らの苦難の道のりを示した映像が。映像の終わりには「行こう、坂の向こうへ」のラストメッセージ。そしてステージは始まった。
静かなイントロとともに、ステージに現れた欅坂46のメンバー。横一列に並んだメンバーたちの目の前には、6つの火柱が立っていた。オープニングナンバーは「大人は信じてくれない」。何かを訴えかけてくるような静かなAメロから、気持ちを解放するようなサビへ。激しく、そして一糸乱れぬダンスを披露する彼女らの姿に、観衆は既に大興奮し要所で大きな歓声を上げる。
そして曲の最後に、センターの平手友梨奈が叫んだ。「有明コロシアム、かかってこい!」。続いてメンバーはステージ左右、ステージ前面と別れ、激しいダンスサウンドに合わせ、アクティブなヒップホップダンスを見せる。清楚にも見えるクールなファッションとたたずまいから見えてくるイメージを、ぶち破るかの如く激しいダンス。序盤のそんなステージは、彼女らの微妙な心情の変化までも浮き出し、観衆をさらに熱狂させていた。
苦難を極めた道のり、その辛さを見せない、楽しさ溢れるステージ
折しもクリスマスというこの日。メンバー同士のクリスマスにまつわる他愛もない話の中で、メンバーの菅井友香が語った。「単独ライブは夢の一つだったので、こうして皆さんと一緒に叶えられることができて感激です!」。その言葉と、ステージ最初に映し出された映像の中で見られた、厳しいレッスンに耐える悲痛な表情が、彼女らの笑顔に強いコントラストを浮き立たせていた。
前半は、欅坂46としてのステージとともに、メンバー個々によるステージも披露された。真っ赤なラメのスーツに身を包んだ平手がスタンド側から登場したり、ギターを抱えた今泉佑唯、小林由依のコンビによるフォークソング的なナンバー「渋谷川」「ボブディランは返さない」が披露されたりと、楽しさいっぱいのステージが続く。
さらには白のコスチュームに身を包んだ菅井と志田愛佳、守屋茜、渡辺梨加、渡邉理佐の5人が花道を左、右、そして後方と目まぐるしく移動、文字通り観衆に包まれて、さわやかな歌声を披露「次はここへ!」と彼女らの距離が近づくことを期待していたかのような観衆は、さらに興奮を高ぶらせていたようにも見えた。
後半は、緑の衣装にお色直しした欅坂46のメンバーによる「キミガイナイ」から、平手のソロ「山手線」、そしてセーラー服に身を包んだ今泉、小林、平手、鈴本美愉と、長濱ねるの5人による「乗り遅れたバス」、そして長濱のソロから、長濱の所属する欅坂46のファームチームであるけやき坂46の登場と、さらにバラエティに富んだ布陣が続く。
さらに上村莉菜、長沢菜々香、土生瑞穂、渡辺、渡邉による「僕たちの戦争」を間に挟み、クリスマスプレゼントの一環とばかりに、クリスマスをイメージしたコスチュームで、クリスマスソングのメドレーに合わせて全メンバーが踊る。バラバラに散ったかと思えば、横一列に広がりラインダンスまで、アクティブなステージは続く。この時、欅坂48とけやき坂46は、結成後これまでで初めてステージを共にしダンスを披露した。
「いつも笑顔をくださる皆さんに恩返しをしたい」さらなる躍進への宣誓
ステージはクライマックスへ。ここからは欅坂46が今年リリースしたシングルのタイトルナンバー「二人セゾン」から「世界には愛しかない」へ。イントロの音が鳴り響くとともに、フロアからは歓声が滝のように上から会場になだれ込んでくる。そしてメンバーの「私たちは負けない」「私たちは支配されない」「私たちは坂を上り続ける」という決意の表明とともに、ラストナンバー「サイレントマジョリティー」へ。<さあ未来は君たちのためにある No!と言いなよ サイレントマジョリティー♪>。その詞の一端に刻まれた気持ちをさらに高ぶらせ、その思いをそのまま踊りと歌にぶつける彼女ら。いよいよ訪れた終演の時、この日のステージの礼を告げ、深々と礼をしながらメンバーは、ステージを去った。
「欅坂!」「46(フォーティーシックス)!」さらに沸き起こるアンコールに応えてステージに現れた欅坂46。「(私たちは)まだまだ未熟で、ステージに立つのが怖いと思っていました」と不安でいっぱいだった、この日を迎えるまでの道のりを振り返り、涙に言葉を詰まらせる菅井。堪え切れずに涙をぬぐうメンバーが、何人もそこにいた。そんな中、菅井は「正直、私たちはまだまだ未熟です。でもこれからどんどん頑張って、いつも笑顔をくださる皆さんに恩返しをしたい。私たちに関わってくださっている皆さん、本当にありがとうございます!」と続け、すべての人への感謝を告げながら、今後のさらなる躍進を誓った。
そして、この日初お目見えとなった新曲「W-KEYAKIZAKAの詩」を披露。曲が終わると、鳴りやまぬ歓声の中で彼女らは名残惜しそうに花道を歩き回り、この日訪れた観衆に笑顔で手を振り、最後の一言とともにステージを降りた。
「ありがとうございました! 以上、欅坂46でした!」。その一言には、彼女らが何か大きな壁を越えたことを示すかのように、朗らかな表情が見られた。来るべきニューイヤーに彼女らがどのような活躍を見せてくれるのか、今から楽しみでもある。(取材・桂 伸也)
セットリスト
欅坂46・1stワンマンライブ 2016年12月25日・有明コロシアム セットリスト encore |