坂本龍一「貰っていいのかな」モンブラン国際文化賞受賞に謙遜

　音楽家の坂本龍一（64）が21日、『第25回モンブラン国際文化賞』を受賞し、都内でおこなわれた授賞式に出席した。坂本は「僕なんかが貰っていいのかな。精進していきます」と述べ、アーティストのオノ・ヨーコや音楽家の小澤征爾など歴代受賞者に敬意を示した。

　モンブラン文化財団が、若い才能の擁護・育成などに尽力する芸術と文化の支援貢献者を表彰する国際的な文化賞。坂本は、音楽や舞台芸術、絵画などあらゆるフィールドで活躍する、若きアーティストの才能を伸ばすプロジェクトや、楽曲リリースおよびコンサートを通じて多くの観衆へ彼らの才能を広めるサポートをしてきた功績が評価された。

　授賞式に出席した坂本は受賞の弁を述べるとともに「オノ・ヨーコさんや、小澤征爾さんみたいな人が受賞してきたものを僕なんかが貰っていいのかな、これをしっかりと受け止めて、精進していきたいと思います」と歴代受賞者に敬意を示した。

　この日は親交のある作家の村上龍氏が出席し、祝辞を述べた。村上氏は「坂本さんとのエピソードを20くらい書き出したんだけど、ここで話せるものが1つもない」と言い、坂本の母親とのエピソードを語った。

　また式典で坂本は、自らが監督を務める、東日本大震災を体験した小学生から大学生までの混成オーケストラ「東北ユースオーケストラ」から、ヴァイオリン並びにチェロの奏者２人と「Merry Christmas Mr.Lawrence」（戦場のメリークリスマス）「美貌の青空」を生演奏した。

　式後の囲み取材では、来年２月に発表されるグラミー賞にエントリーされていることについて「こればかりは自分ではどうにもならないから」とコメント。また、今年亡くなったデヴィッド・ボウイさんへは「本当に信じられない。もう少しゆっくりと話す時間を持てば良かったな。後悔しています」とその死を悼んだ。

　2014年に中咽頭がんを患っていることを公表し、心配される体調については「できることはやっている」と答えるに留まった。（取材・松尾模糊）