黒宮れいと金子理江の2人組ユニット、The Idol Formerly Known As LADYBABYが11月30日に、メジャーデビューシングル「参拝!御朱印girl☆」をリリースした。前身のLADYBABYは2015年に外国人ヒゲ女装パフォーマーのLadybeard(レディビアード)と結成。インパクトのあるキャラクターなどが話題をよび、YouTubeにおける関連動画の再生数は半年で1600万回を超えるなど国内外で注目を集めた。2016年8月にレディビアードは脱退。これを機にユニット名も現行へと変え、新たな船出を切った。そうしたなかで発表された今作は、デスメタル調ながらもキャッチーで、様々な年代の人に踊ってもらいやすいような振り付けも取り入れられている。マジメなのか不真面目なのか。たまにピリッと辛口な2人。メジャーデビューしての今の気持ちや、これから目指すLADYBABY像についてなど2人に話を聞いた。
使命感と責任感に溢れるメジャーデビュー
――メジャーデビューされてどんなお気持ちですか?
金子理江 キングレコードよりメジャーデビューすると話を聞いたときから、すでにメジャーデビューしたような気持ちになっていたので、今は特に大きな気持ちの波はありません。もちろん嬉しいのは嬉しいですけど、心構えが出来ていると言いますか。
黒宮れい 今は、とにかくやってやらなきゃ! という気持ちが大きいです。
――使命感とか責任感とか?
黒宮れい そうです。
金子理江 わりと、そういう気持ちで動いていると思います。自分たちの気持ちも大事だけど、まずは周りが私たちに送ってくれる気持ちを汲み取って、みんなの想いや期待をとりあえずは形にするのが先だと思っています。自分たちの気持ちは、その次でいいので。
――意外にマジメですね。
黒宮れい もっと適当にやれるなら、適当がいいんですけど。
金子理江 根本がマジメなんです。でもマジメな人なんか世の中にたくさんいるし、マジメさをウリにしたアイドルも腐るほどいるから、そんなもの本当は出すべきじゃなくて。ただ、インタビューとかでこういう話になったときには、普通に話しますけど。それにこういうマジメさって、必ずしも良いことばかりではないと思うし。
「参拝!御朱印girl☆」は、LADYBABY第二章の始まり
――メジャーデビューシングル「参拝!御朱印girl☆」がリリースされました。
黒宮れい 最初はC/W曲の「上々上湯」か「オニギリック・リヴァイヴァー」(通常盤のみ)もタイトル曲候補だったんですけど、慌ただしくレコーディングした事もあり、改めてじっくり「参拝!御朱印girl☆」を作ったんです。カッコいいヘビーなトラックを希望していたのでので、それを汲み取って反映してもらえたんじゃないかと思います。
――デスメタルなんだけど、サビがすごくキャッチーな曲ですよね。
黒宮れい 振り付けも若い方からおじいさんおばあさんまで、踊ってもらいやすいように、NHKの教育番組で流れていそうなものを意識しました。でも、LADYBABY感もしっかりあって。
金子理江 私たちは、聴いたり見てくれたりする人と一緒に盛り上がれるものを作りたいんです。「おまえら(ファン)で勝手に盛り上がってろ!」というのもあるけど(笑)。それにはまず、私たちから何か提示していかないと、盛り上がりたくても盛り上がれないですからね。
黒宮れい MVもぜひ見てほしいです。江ノ島にある龍口寺さんで1日かけて撮りました。今までの私たちの衣装は、原宿文化を象徴するようなポップな感じですごくカラフルだったんですけど、今回は真っ白の1色で。今後何色にも染まれるようにと、新生感を意識しているんですが、MVはその白が映えるように撮っていただけたと思います。
――シングルは「新生=メジャーデビュー」ということを意識したものになってると?
金子理江 第二幕の始まりと言うか。メタルやロック調を取り入れているアイドルさんもいるけど、歌詞の面白さは一番だと思います。意味が深いんだけど、バカバカしさもあって。
黒宮れい 最初は何だこれ? と思うけど、一度、はまると抜け出せないみたいな。
スタッフは過保護? 実は確信犯
――他の曲も歌詞が面白い。「オニギリック・リヴァイヴァー」では、冒頭のセリフで、れいさんが鬼の形相でおにぎりを食べてるのを理江さんが見てしまったというのが流れますが。
黒宮れい 私、めちゃめちゃ食べるんです。理江がコンビニで買って来たものを全部食べて、怒られることもよくあって。だから、そこのセリフはけっこう真実です(笑)。
金子理江 私は、そのときは食べたいと思って買って来ても、いざ1口2口食べたら満足してしまうので。それに私、わがままな子が好きで、つい甘やかしてしまう悪い癖があって(笑)。れいに、これをやって欲しいあれをやって欲しいと言われると、「もう、しょうがないな〜」と、ついやってあげちゃうんです。
黒宮れい 理江は母性本能がすごくあるんです。
――仲が良さそうですけど、仕事や音楽の話でぶつかることはないですか?
金子理江 ぶつかることはないけど、仕事に対する想いを語り合ったりはします。気持ちを確かめ合うと言うか。2人しかいないユニットだし、今はよくてもこれから成長していくにつれて考え方や価値観が変わると思うんです。それをその都度、意思確認をしていると言うか。そうじゃないと、女の子っていきなり変わるので、どこかでいきなりバーンって崩壊しちゃう。
黒宮れい うちら、突発的に何かやることが多いんで。大人の人たちもきっとそれを心配していると思うし。
金子理江 すごく心配されるんです。コンビニに行くだけで「どこ行くの?」って。
黒宮れい スタッフがほぼ全員男性でパパくらいの年齢の方ばかりなので。娘を心配するみたいな感覚で、余計に心配なんだと思うけど。コンビニくらい自由に行かせてくれよ! って(笑)。
――そのまま遊びに行っちゃうとか、思われてるのではないですか?
金子理江 でも、地方に行ったら少しくらい観光したいじゃないですか。
黒宮れい だから、「トイレに行く」と言って、よくふら〜っていなくなるんです。
――確信犯じゃないですか!
黒宮れい 実は、それで信用がないんです(笑)。
炎上上等! 新しいアイドルのジャンルを作る!
――音楽の話に戻りますが、ロックにはこだわっていきたいですか?
黒宮れい そうですね。こうやって2人でやってると、普通のアイドルに見られがちなんですけど、それが嫌で。それにアイドル文化って、もう飽きが来てると思うんです。だから私たちは、LADYBABYとして新しいジャンルを開拓して、LADYBABYのスタイルを前面に押し出していきたくて。カワイイとDEATHの融合とか、メタルコアを元にした楽曲とか。たとえばBABYMETALさんは、アイドルの枠を越えてすでにアーティストとして見られているじゃないですか。ああいう、自分たちだけでもジャンルを確立出来るような存在になりたいです。
金子理江 単純に音楽を聴いて、好きになってくれる人が増えたらうれしいですよね。入り口は、カワイイから観に行こうとか、人それぞれでいいけど、音楽を聴いてライブに行ってみたいと思ってもらえたらなって。見てもらえたら、メロメロにさせてあげる自信はあるんで!
黒宮れい 圧巻ですよ(笑)!
――来年は東名阪ツアーが。まずはここで真価が問われるわけですね。
金子理江 初ツアーだし気合いは入るんですけど、あまり入れすぎると空回りしそうで。なので、あえて当日までは、意気込まずにいようかな、と。
黒宮れい こう見えてめっちゃ緊張するので。
――ファンは、男性が多いですか?
黒宮れい 同世代の女の子が多いんです。もちろん男性もいますけど。ただ、アイドルファンの男の人ってけっこう大人が多そうなんですけど、うちらは同世代の男の子が多いんですよ。
金子理江 「女オタ現場」なの? と聞かれるくらい。
――ファッションやメイクをマネしたいとか、同世代の女の子が憧れる存在ということですよね。
金子理江 それもあるし、あとはうちらの言動かな?
黒宮れい ここまで言っちゃうアイドルはいないと思うので。
金子理江 どうせ嫌われるなら、自分の思ったことを言って嫌われたほうがいいんで。1コ叩かれたら、10コ叩かれるのも20コ叩かれるのも同じですからね。それに、ピンチはチャンスって言うじゃないですか? 『うる星やつら』のラムちゃんが言ってたんですけど(笑)。何かあったとしても、たとえばさいたまスーパーアリーナでライブをやって1000人しか集まらなかったら、かなりヤバイけどニュースのネタにはなるじゃないですか。“炎上系ですけど〜よく叩かれますけど〜何か?”みたいなところも、逆に自分たちのモノにしてしまえば良いと思うので。
黒宮れい でも、関係ないところから飛び火してくるときとかあって困るよね。
――もらい炎上(笑)。
金子理江 だからと言って、自分の発言を抑えたり控えたりするのは違うと思うので。
黒宮れい うん。それはやりたくないね。
(取材/撮影・榑林史章)
◆The Idol Formerly Known As LADYBABY 16歳の黒宮れい、18歳の金子理江のユニット。2015年7月からインディーズで「ニッポン饅頭」「アゲアゲマネー〜おちんぎん大作戦〜」などシングルの他、アルバム『ONE YEAR BEST』をリリース。11月30日にシングル「参拝!御朱印girl☆」でキングレコードよりメジャーデビュー。2017年2月18日新宿ReNYを皮切りに、大阪と愛知で初の東名阪ツアーを開催する。