攻めの姿勢をみせたSCANDAL、新曲は伝えたいメッセージを超越
INTERVIEW

攻めの姿勢をみせたSCANDAL、新曲は伝えたいメッセージを超越


記者:村上順一

撮影:

掲載:16年07月27日

読了時間:約20分

8月21日に結成10周年を迎えるSCANDAL。新曲「テイクミーアウト」はライブで聴いてほしい1曲に仕上がった。

8月21日に結成10周年を迎えるSCANDAL。新曲「テイクミーアウト」はライブで聴いてほしい1曲に仕上がった。

 8月21日に結成10周年を迎えるガールズバンドのSCANDALが7月27日に、通算23枚目となるシングル「テイクミーアウト」をリリースした。4月から6月にかけて国内とアジアをめぐるワールドツアー『SCANDAL TOUR 2016「YELLOW」』を成功させ、バンドとしての“スキル”と“魅力”を世界的にまた一段と押し上げた。今回のインタビューでは、東京公演で初披露した「テイクミーアウト」やRINA(Dr.Vo)がメインボーカルをとるポップなシンセサウンドが特徴的なカップリング曲「I want you」、そして、4年ぶりとなるMAMI(Gt.Vo)とTOMOMI(Ba.Vo)によるラップユニット“どぼんどぼんど”、さらに、この10年で印象が変わった点などを4人に聞いた。

運命的なものがあったのかなとも感じた

――4月からおこなわれた『SCANDAL TOUR 2016「YELLOW」』を終えてみてどうでしたか。

HARUNA ツアーは4月から始まって6月末まであって、その間に国内とアジアと海外も含めて色んな所に行きました。そこでは、新しいお客さんがたくさん来てくれたなという印象がありましたね。『YELLOW』は4人で作詞作曲をしてすごく大切に作っていったアルバムなんです。その分、自信もあるアルバムなので、どういう風にお客さんに響いているのかなというのも気になりつつツアーを回っていました。新しいお客さんが来てくれているという事は、アルバムが気になってくれて、それで初めて知って来てくれたお客さんもたくさんいると思うので、それはすごく嬉しかったですね。純粋に音楽を気に入ってもらえたんだという安心感がありましたね。

――手応えが感じられたんですね。RINAさんはどうでしたか。

RINA すごく楽しいツアーでしたね。日本のツアーの延長にアジア公演があって、振替公演だったけどまた大阪に帰ってこられて、日本と海外をミックスさせて回れて結果的に良かったなと思っていたんです。行く前と行った後の変化もすごくわかったし、今回みたいに海外も当たり前のように一つのツアーに入れ込んでやっていくスタイルをもっと自分達のスタンダードにしていけたらいいなと思いました。今回はツアー中に九州で震災があったり、途中でMAMIが体調を崩してしまったり、色々な事があったツアーだったんですけど、やっぱりバンドや音楽のポジティブなパワーというものをすごく感じられたし、出来る事をもっと見つけて色んな事をやっていきたいなと改めて思ったツアーでもありました。

――MAMIさんはどうでしたか。

MAMI このツアーでバンドの土台がしっかりしたと思います。『YELLOW』というアルバムがものすごくシンプルだった分、ライブで演奏をしてみて初めてわかる事もあったし、自分達のスキルでもっていくような曲も多かったので、本当にお互いがお互いを「今どういう動きで、タイミングで」という空気の読み方を4人が4人ともしていたものだから「バンドしてるな!」って実感したんですよね。

――“スキル”を具体的に言うと?

MAMI そうですね、“出来る事をする”というスキルの意味というかは、“その場の空気を読む事”という感じのスキルですね。例えば「このタイミングで次曲に入る」「このタイミングでカウントをとる」とか、“お客さんを含めたその場の雰囲気を読み取って曲に入る”という事が今まで以上に自分達のタイミングになってきましたね。すごく感覚的ではあるんですけど、「今だ!」という一瞬が4人とも一致していたり。そういう気持ちの部分でも意識的に繋がる事が多かったですね。
 
――ライブを通しての空気感の“スキル”なんですね。MAMIさんはツアー中に体調を崩されてしまったそうですが大丈夫でしたか? 東京公演初日のZepp Tokyoの時は元気そうに見えましたが。

MAMI 1日目は大丈夫でしたね。でも2、3日目は熱が多少ありました。でもライブをするのは全然大丈夫な程度でしたけど。

――ファンの方達も心配してましたからね。それでもその後元気にツアーを回れたようで良かったです。TOMOMIさんはどうでしたか。

TOMOMI 日本の公演の後にアジアの公演をするというひとつのツアーパッケージみたいになっていて、そのリズムが掴めてきたなという感覚がありましたね。結果的にですけど、MAMIが体調を崩してアジア公演を終えてから大阪という自分達の結成の地でファイナルを迎えられたというのは、何か運命的なものがあったのかなとも感じたツアーでした。

――ラストが大阪になったという事でお客さんもすごく盛り上がったのでは?

HARUNA すごく喜んでくれました。やっぱり大阪は自分達の結成の地というのもありますし。そういうのはお客さんも大事にしてくれているので。

不協和音が良いフックになっている

――今回のツアーの東京公演から今回リリースされる新曲「テイクミーアウト」が初披露になりましたが、その時すでにレコーディングは終えていたんですか。

HARUNA 終えた状態でした。

――レコーディングをした後にライブで披露するという順序だったので、やっぱり演奏も仕上がっていた感じでしょうか。

HARUNA そうですね。でもレコーディングの時の雰囲気とライブでやる時の雰囲気は全然違うし、お客さんを目の前にして演奏するのは環境も違うので、やはり気持ちは全然違いました。

――サウンド的には新しいSCANDALを感じられる曲に仕上がっていますが、これはアルバム『YELLOW』から制作時期的にも繋がっている部分があるのでしょうか。

HARUNA そうですね。『YELLOW』を作っている段階で曲自体はあったんですけど、それを聴いた時に絶対にこれを次のシングルにしたいなと思っていたので『YELLOW』には入れなかったんですよ。

――今作は今までのSCANDALの楽曲にはないリズムのアプローチだと思いました。今作で初めての試みというような感覚は何かあったのでしょうか。

RINA 祭囃子(まつりばやし)とかサンバのリズムを取り入れて、夏の野外に似合うような曲に仕上げたいというのがあったので、自然とそういうリズムになりました。自分が叩いているドラムの上に打ち込みのリズムパターンが重なってるんですよ。その後にトライアングルを重ねたりしていて、色んなビートが同時に流れているみたいな。その組み合わせがあって派手なリズムになっているんです。

――そういった組み合わせがあってこのグルーヴが生まれていたのですね。レコーディングの時はトライアングルや打ち込みのビートは既に入っていたのですか。

RINA ドラムレコーディングの時はまだ入っていなかったですね。後から重ねていきました。

――MAMIさんとHARUNAさんのギターの対比も面白いですね。右チャンネルにディレイ(編注=やまびこのような効果を生む空間系エフェクト)が効いたギターで、左チャンネルにファズっぽいサイケデリックなギターとキャラの違うサウンドで。

MAMI 2段階のイントロやリフと構成は最初からあったもので、それありきでアレンジをしていった感じなんです。ギター2本の掛け合いとか音色や上モノの飾りとかはアレンジャーさんと話し合いながら入れていきました。

――ギターのディレイサウンドがグルーヴの一端を担っていますよね。

MAMI ディレイされて重なっていく音って実は不協和音なんです。でも、その不協和音が個人的にすごく好きで、アレンジャーに「これ不協和音だけど、大丈夫?」と言われたけど「いや、それがイイんです」と。それであのフレーズはそのまま固定で最初から使っています。

――普通は不協和音の場合だと却下になってしまう事が多いですよね。ロックならではの判断ですね。

MAMI その不協和音が一瞬の重なりになっているので良いフックになっているかなと。

――TOMOMIさんは今回の祭囃子的なリズムにベースを乗せるにあたって意識した事はありますか。

TOMOMI リズムは派手だけど複雑には聴かせたくなかったから、サビでは引き算をしてベースはあえてルートをずっと弾いています。Aメロとかちょっとフックになる所でうねるようなものを入れたりはしてるんですけど。それ以外は本当にシンプルにストロングに、サビの爆発力の事を考えて敢えてそこはルートにしました。

――意外と引き算は難しいですよね。そして、HARUNAさんの歌い方がAメロでちょっといつもと違うなと感じたんです。

HARUNA 意識的に変えようというのはありました。この曲を最初に聴いた時に、ライブを意識して作った曲だけど、ただ力強いだけではなく「女性らしさ」や「しなやかさ」を感じたんです。だから自分は普通に歌うのではなく、もっと自分の中にある女性らしさみたいなものを表現したくて。それでAメロは歌い方を変えたんです。

――新鮮ですよね。「LOVE ME DO」の時はファルセットにチャレンジしたり、今回は“女性らしさ”をテーマに歌ったりと。

HARUNA そうですね。レコーディングの最中もメンバーから「もっと大袈裟に可愛らしくしてみてもいいんじゃない?」という声もありました。

――今回はややデフォルメさせたという部分もあるのでしょうか。

HARUNA 自分の意識の中ではあったんですけど、更にそれをもっと超えたのを聴いてみたいというのもあったので、その意見も取り入れつつ、色々と試しながら歌っていきました。

深く考えずに自然に出てきた「テイクミーアウト」

――お祭り騒ぎのはっちゃけた印象の曲調ですが、歌詞を聴いていると切なくなる部分もあります。この対比は?

RINA MAMIから1コーラスのメロディのデモが送られてきた時に、「夏の野外に向けて良い曲を作りたい」という意識が4人に共通してあったんです。でも「夏」というワードを使わずに夏を感じられるような曲、四季を問わずにずっと1年中歌い続けられるような曲がいいなって思っていたんです。それでメロディやディレイのギターに呼ばれるままに言葉を並べていきました。一方で、「ラブソングに向き合いたい」というのがずっとその当時からあって、いいラブソングを作りたいなってずっと思っているんです。そういう事を思いながら「夏」というテーマを持ちつつ、自分の好きな言葉の組み合わせで作っていきました。自分の趣向が出ている歌詞だと思います。

――「Sisters」の時は映画を観てインスパイアされて作詞されていましたが、今回はサウンドに呼ばれるがままに言葉を並べていったという感じでしょうか。

RINA そうですね。

――ちょっと「駆け落ち」っぽい感じもありますが、そういうイメージも?

RINA その点の解釈は聴き手に任せたいと思っています。でも怪しい雰囲気とか大人っぽい色気がある言葉とかが好きなので、自然とそうなったのかなとも思います。

――「ウォーアイニー」などは言葉とメロディのハマり具合がいいですよね。「ボーダーライン」や「テイクミーアウト」というワードも。

RINA これも何も深く考えずに自然に出てきました。そこから、テイクミーアウトという言葉が浮かんで来て「これってどういう事なんだろう...?」という感じで掘り下げて歌詞を書いていったんです。全体の曲の雰囲気としてオリエンタルな部分が散りばめられているんですけど、音もそうだし「ウォーアイニー」とか「楽園」というワードがあったり。そこで「海外から見た日本、東京」みたいなものをテーマにしていこうと、作っている途中段階で思うようになってそういう形になったんです。せっかく日本のガールズバンドなので、ちゃんとそのオリジナリティを出したいなと思って作っていきました。

――それでタイトルをカタカナ表記にしたという意図も?

RINA 最初はそんな事は考えていなかったんですけど、自然に出て来たんですよね。掘り下げて考えてみるとそうなのかなと思ったりもします。

――どのようなシチュエーションで聴いてもらいたいですか。

RINA フェスですね。ライブで聴かせたいです。歌詞がどうとか、今これが伝えたいメッセージなんだ、みたいな部分を超越している曲だと思っているんです。ライブでとにかく盛り上がりたいですね。

MAMI やっぱりライブ曲ですよね。8月21日の『SCANDAL 10th ANNIVERSARY FESTIVAL 『2006-2016』の野外ライブで作りたい景色があって、そういうテーマをみんな共通して持っていたし、攻めの姿勢でいきたいなと思って出した曲なんです。まずはライブで聴いて踊って楽しんでもらえたらなって思います。

――この前のライブでも新曲とはいえ、かなり盛り上がっていましたよね。

MAMI そうなんですよ。嬉しいですね。

きっかけがTV番組の「フリースタイルダンジョン」

――カップリングは今回、初回限定盤の2種類各々に「セカペロ」「どぼんどぼんどダンジョン」と、通常盤にはRINAさんがメインボーカルをとる「I want you」が収録されています。「I want you」は完全にソロですよね?

RINA ソロですね。

――シンセ主体だという点からみても4枚目のアルバム『Queens are trumps-切り札はクイーン-』に収録されている「Kill the virgin」を彷彿とさせますね。収録の経緯はどのようなものだったのでしょうか。

RINA シンセのリフのポップダンスミュージックみたいなものを作りたいなと思っていました。「ポップでキュートめな曲があってもいいんじゃないかな」とも思って、キーボードで作り始めたんです。私の仮歌が入ったデモをみんなに聴いてもらった時に、そのデモの雰囲気を気に入ってくれて私が歌う事になりましたね。

――ということはHARUNAさんが歌う可能性もあったんですね。

RINA 基本的にはHARUが歌うという頭で全曲書いているんですよ。

――それをご自身で歌ってみてどうでしたか。

RINA 楽しかったですね。自分から生まれたメロディなので体に馴染んでいましたし、良いチャレンジだったと思います。

――そして、MAMIさんとTOMOMIさんのラップユニット「どぼんどぼんど」は4年ぶりだそうですね。

MAMI 5、6年くらい前に始まって、それから1、2年して「ちぇりーじゃむ」という曲を出して、そこから更に4年ぶりになりますね。

――結成のいきさつは?

MAMI 2人とも当時、お笑いがマイブームだったんです。お笑い芸人の動画を観ていて「もし自分達がコンビを組むんだったら」みたいな事を想像して、コンビ名だけをひたすら考えていた時期があったんです。特に何をするという訳でもないんですけど。それで出来たのが「どぼんどぼんど」だったんです。ウェブで「どぼんどぼんど」の動画配信を1回したんです。そうしたらけっこう皆が好きって言ってくれて、「じゃあ本当に曲を作っちゃおうか?」みたいな軽いテンションから始まったものなんです。

―今回は、サイプレス上野さんとSHINCO(スチャダラパー)さん、それにDJみそしるさん、MCごはんさんと一緒にやって、楽曲の方向性が全然違うものが出来ましたね。

MAMI 対極なものにしたかったというのが一つあって、今回「どぼんどぼんど」を再始動しようとしたきっかけが、TV番組の「フリースタイルダンジョン」(テレビ朝日系)なんです。HIP HOPやラップのブームが世間的にもきている今だし、復活するしかないだろうという事で。その番組が、サイプレス上野さんにお願いするきっかけにもなっているんです。DJみそしるさんはレコード会社が一緒なので紹介してもらって、「是非やりたいです」と伝えて快くOKしてもらいました。

――レコーディングはどうでしたか。

MAMI すごい楽しくて、あっという間に終わりました! 2曲で4時間くらいしかレコーディングしてないですね。

――これは早いですね。「どぼんどぼんどダンジョン」では、最初はお互いをディスりながらも最終的には褒め合うという、ちょっと変わってますよね。

MAMI これはもうじゃれ合いですね(笑)。

――作詞はサイプレス上野さんですが、お二人は作詞に絡んでいないのですか。

TOMOMI 「お互いにこれが言いたい」という素材を渡して、韻を踏んでもらったり上手く纏めて頂いたんですよ。

――歌詞に「でも焼肉にテンション上がらない」とありますけど、MAMIさんはそんなに焼肉は好きではない?

MAMI あんまり自分で食べようって思わないだけで、行けば食べますよ(笑)。

――皆さんは焼肉好きですか。

HARUNA 私は大好きです!

――焼肉でテンションが上がらない人って珍しいですよね。

HARUNA そうなんですよ。MAMIは焼肉に行ってもそんなにテンションは上がっていなくて、「行こうぜ!」みたいなテンションじゃないんですよね。私はけっこう「行こうぜ!!」ってなりますけど。

――HARUNAさんはそんな感じがしますね(笑)。

HARUNA そうですか(笑)。

――ファンの方には周知のことかもしれませんが、歌詞からお二人の“人となり”が見えてきて面白い内容ですよね。

TOMOMI 確かにそうですね(笑)。

気が付けば自分の担当パートをよく聴いている

――SCANDALのシングルには、毎回インストバージョンの曲が入っていますよね。これはカラオケとして楽しむ以外に皆さんなりの楽しみ方はありますか。

RINA 楽器の音がよく聴こえるので、例えば曲をコピーしてくれている方がいたら、より聴きやすいと思いますね。

MAMI RINAのドラムの上で鳴っているループのリズムの音とかは聴こえるようになると思うし、声がなくなった事で、音がもっとリズミカルに繊細に聴こえてくるようになってくると思うんですよね。

――他のアーティストのインストの曲がある時、皆さんは聴いたりしますか。

HARUNA 私はあまり聴かないですね。

MAMI 色んな楽器にフォーカスして聴くクセが付いてしまっているので、敢えてインストの曲を聴かなくても始めからけっこうセパレートして聴けているかもしれないですね。

――そういう耳になってきている?

RINA それはあると思いますね。“多分ミュージシャンあるある”だと思うんですけど、気が付けば自分の担当パートをよく聴いているとか、勝手にその音が前に出て聴こえるというのはあると思います。インストもやっぱり聴けば面白いものだと思います。「どういう風にインストを楽しんだらいいんだろう?」と固く考えずに、自分達の演奏でリスナーの歌を乗せて楽しむのが普通だと思うし、私がミュージシャンになる前にそういう使い方をしていました。家で出来るカラオケとかそういうのでもいいと思いますし。いろいろ自由に楽しんで頂けたらと。

――コピーのお話が出ましたが、8月21日に開催される「SCANDAL 10th ANNIVERSARY FESTIVAL 『2006-2016』」の中で、『出れんの!? SCA FES!?』が開催されますね。皆さんはSCANDALのコピーバンドの動画などはチェックしたりしますか。

HARUNA 時々観ますよ。嬉しいですよね。色んな世代の方々がやってくれていますし、自分達より年下の世代の人達がやっているのを観ると、バンドを結成した当時はガールズバンドとしてもかなり年下の方だったけど、10年という月日が経つとどんどん後輩が生まれているんだなという事を知ったりしますね。まだまだ負けてられないなという気分にもなりますし。

――後輩であるKANIKAPILAさんも、そうやってイベントに出て優勝したバンドですよね。動画をチェックして密かにコメントを書き込んだりしたりも?

MAMI さすがにコメントは無いです(笑)。でも海外の方も楽しんでコピーしてくれたりとかしていて単純に嬉しいですね。『出れんの!? SCA FES!?』の審査もあるんですけど、それもちゃんと4人でビデオを観て決められたらなって思います。

――皆さんが選んでくれるとなるとコピーする人たちも嬉しいですよね。

HARUNA ちゃんと私たちがチェックしますよ。

MAMI いつもコピーバンドのコンテストをしてきた時もそうしてきたし、すごく楽しみですね。

“私たちの国歌”とも言えるぐらい大切な曲

――もうすぐ10周年ということで、もし皆さんはSCANDALをやっていなかったら何をしていたと思いますか。

HARUNA バンドをやっていなかったら、私はそのままダンスを続けていたと思いますね。ダンサーとして表に出るのかインストラクターとしてかはわからないですが、バンドに出会っていなかったらそれしか考えていなかったので、ダンスに関する仕事を続けていたんじゃないかなと思います。小さい頃から音楽をずっとやっていきたいと思っていて、その表現の一つとしてダンスを続けてきたので、きっとそれしかないと思います。私は“バンドに出会う”という運命だったのでSCANDALになりましたけど、それが無かったらと考えるとそのままダンスを続けていたのではないかと思います。

RINA 私も幼い頃から芸能界に憧れていて、そこに向けて劇団に入って、毎週オーディションに行くという生活を続けていたんです。だからその夢が叶うまでそういうものにチャレンジし続けていただろうなと思います。

――やはり基本的にはこの世界なんですね。

RINA 私とHARUNAはそうですね。やっぱりSCANDALがなかったらこんなにたくさんのお客さんと出会う事は絶対に無かっただろうし、今のような喜びには出会えてなかっただろうからSCANDALに出会えて良かったとすごく思います。

――RINAさんにはすごく洋服が好きなイメージがあるのですが、アパレル系の道に進むという選択肢は当時なかったのでしょうか。

RINA 洋服はすごく好きですけど、その当時はそういう仕事に就きたいという気持ちはなかったですね。

――MAMIさんはいかがですか。

MAMI 私はバンドをやっていなくても、普通に音楽とかライブに行く事は好きだったと思いますね。家族が楽器をやっていた事もあって、バンドの音楽が好きなので家族とライブに行ったりしていただろうなって思うし、どこかで楽器も触っていただろうと思うけど、SCANDALに出会わなければ表に立とうとは思っていなかっただろうと思います。音楽の聴き方も全然違っていたでしょうね。

――やっぱり音楽が大好きなんですね。

MAMI 好きですね。ダンスもやっていたんですけど、習い事の一つみたいな感覚だったのでそこまで続けていないと思うんです。だからSCANDALというバンドに出会って人生が180度変わりましたね。

――TOMOMIさんはどうですか。

TOMOMI 私は保育系に行ってたと思います。小中高校と職業体験の授業があって、そういう時はずっと保育園に行ってたんです。高校が特殊で、大学みたいに好きな授業を選択出来るんですよ。そこで保育に特化した授業がたくさんあったので、そこに興味もあったんです。高校生1年生の時にSCANDALを結成したのでそれを選択する事はもうなかったんですけど、バンドを組んでいなかったらそういう方向に行っていたんじゃないかなと思います。

――子供が好きなんですね。10年、バンドをやってきた現在、以前とは違う捉え方になった曲などはありますか。

TOMOMI メジャー1stアルバムの1曲目に収録されている「SCANDAL BABY」ですね。今となってはライブの鉄板曲なんですけど、最初に出した時は本当にサラッとアルバムに入っている曲で、この曲がここまで成長するとは私は思っていなかったんですよ。初期の自分達の決意表明というか、そういう意思で書いていたんですけど、今となっては歌詞の意味とかを超越して、フロアを湧かせるようなディスコっぽいダンスチューンに成長しましたね。最初の意識とは全く違って、何もかもを超越した“私たちの国歌”とも言えるぐらい大切な曲になったなと思います。

――ライブで演奏する時も気持ちの入れ方は変わってきましたか?

TOMOMI もう“鉄板”みたいな気持ちはありますね。特別な曲だという意識があります。

MAMI 私は「DOLL」かな。自分達で曲を作れるようになったからこそ、カッコいいって思えるようになった曲の一つです。リフとか、パワーコードでユニゾンしているスタイルとか。改めてその魅力に気付いたというのはあります。デビューシングルですし、やっていく毎にそう思います。

――ある程度キャリアを積んでくると、デビュー曲はやらないという方もいたりする中で、自分達の最初のシングル曲にそう思えるというのはとてもいいですね。

MAMI そうですね。お客さんにもすごく愛されている曲なので。ライブで外せないナンバーでもあったりしますしね。自分達でやっていても楽しいし、こうやって新しい目線でこの曲を見れるようになった事も発見です。

RINA 私は「Your song」ですね。これは「夜明けの流星群」のカップリング曲なんですけど、自分達が想像していた以上にライブのハイライトをつくってくれるような曲になっていて、フェスとかワンマン以外のライブでやっても盛り上がれる、自分達の想像を超えた曲になりましたね。「Your song」は大事な曲になったと思います。

HARUNA 私はインディーズデビュー第1弾の曲「スペースレンジャー」ですね。歌詞も遊びが効いているし、その当時の自分達を振り返ってもかなりトリッキーな曲なんですけど、ガラッと空気を変えられる1曲で今やってもメチャメチャカッコいい曲だと思うんです。自分達で作ろうと思ったらなかなかこういう曲は作れないなって思う曲ですね。

――この間のライブでの演奏を拝見しましたが、インディーズ時代の曲とは感じないですね。

HARUNA そうですね。10年経ってもどんどん進化して、ライブでやる毎にその時代に馴染んでくれる曲ですね。

――「スペースレンジャー」などインディーズ時代の映像を改めて観て、感じることなどありますか。

HARUNA ド下手でしたね(笑)。

――ちなみに自分達がバンドとして成長してきたと思えた時期はいつごろでしたか。

HARUNA 毎年アルバムを作っていってツアーもやっているけど、本格的に楽曲の制作をやり出したのは『HELLO WORLD』なんです。その前から少しずつ皆で作り始めてきたんです。そこからまた大きく曲に対する考え方なんかは変わったと思います。

HARUからメールの返事が来なかった

――そういえばHARUNAさん、ついに免許を取られたそうですね。

HARUNA アジアツアーに行くギリギリ前に取りましたね。期間的にも余裕でした。

―― 試験は一発で通りましたか。

HARUNA うんとね、二発(笑)。

――何が駄目だったのでしょうか。

HARUNA 試験場での筆記試験です。

MAMI ちょうどTOMOMIが免許の更新だったので、私も入れて3人で行ったんですよ。でもなかなかHARUからメールの返事が来なかったので「これはヤバいかもね...」って話をしていたら1回目は落ちてましたね(笑)。

――あれショックですよね。

HARUNA あれはけっこうショックでしたね...。電光掲示板に自分の番号が出てこないんですよ。でも朝から行っていたので、午後にもう1回受けて無事に取れました。

――もうドライブはしましたか。

HARUNA まだ免許取ってから一回も車に乗ってないんですよね。

――それはマズいですね...。私はあっという間にペーパドライバーになりましたからね。

HARUNA 近々乗ります!

(取材・村上順一)

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