金爆・喜矢武豊が主演舞台で意気込み【2】

舞台で見事な飛び蹴りをみせた金爆・喜矢武豊(撮影・桂 伸也)

 【取材雑感】16日、ゴールデンボンバーの喜矢武豊主演による舞台『GOKU』が開幕した。喜矢武にとっては2度目の舞台出演、しかも前回の出演に続き、今回も主演ということで、注目度も高い舞台公演となっている。

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 ところでゴールデンボンバーといえば、いまや押しも押されぬエアバンド。「演奏しない」というあり得ないコンセプトで、まさかの頭角を現したグループだ。

 先日14日に放送された日本テレビのバラエティ番組『おしゃれイズム』に出演した際には、ボーカリストの鬼龍院翔以外のメンバーは「レコーディングに呼ばれたことがない」など、とてもミュージシャンとは思えない発言を連発する上で「これを極めようというつもりもない」と、ミュージシャンというカテゴリに入りながらも徹底した「やる気のなさ」を宣言していた。

ゴールデンボンバー(撮影・新保勇樹)

グッドモーニングアメリカとの対バンの様子。ライブパフォーマンスも面白い(撮影・新保勇樹)

 普通に考えれば、そこまでの意思表示があるならもう先は短い、というよりそもそもこのバンド自体が頭角を現すこと自体に大きな疑問が残る。何がブレイクするかは分からない現代ではあるが、まったくデタラメなものはあくまで世に出るはずがない。

 そこで考えるのだが、彼らが世に出てくることとなった要因、作戦とは、あくまで「無気力を前面に訴え続ける」ではなだろうか? 実はおのおののメンバーが、胸の内に秘めた強い芯を持っている、にもかかわらずあくまで口では「やる気のなさ」を訴えている、それこそが彼らの作戦ではないだろうかと思えるのだ。

 『GOKU』の舞台では、もちろん共演者のすばらしさもあるが、喜矢武自身のパフォーマンス、演技は目を見張るものがある。人によっては「これがあのゴールデンボンバーのメンバーのステージなのか!?」と感じるものもいるはずだ。アクションシーンをふんだんに取り込んだ舞台だけに見所もたっぷりではあるが、それだけでなく演技上の表情や台詞など、まだ2回しか舞台を踏んでいないとは思えないほどのもの。

金爆・鬼龍院翔が紅白で自虐

体を張った金爆のパフォーマンス(撮影・木村陽仁)

 彼らが何かを語る際、ある種、コミックバンド的な扱いに追いやられて、実はマジメに語っていることもスルーされてしまう傾向がある。先述のTV番組で、鬼龍院は「浮き世離れしたくない」という理由で、アルバイトをやっているという話を語っていたが、番組的には単なる笑い話、貧乏話として流されたように見える。話し口調やタイミングはいかにもウケを狙っていそうなものと感じられたが、内容を考えると、確かに彼にとってアルバイトを行うというアイデアは、クリエイティブな発想とも見える。

 また他のメンバーについても、非常に規律を持った様子を見せている。8日に行われた『ameba blog of the year 2015』に登場した樽美酒研二は、トークでは普段の面白みを見せながらも、非常に腰の低い様子だった。特にこの日降壇の際に、最優秀賞を受賞した佐々木健介に丁寧に先を譲る様子を見せるなど、礼儀正しさを持っている一面が見られた。その様子は礼を重んじた、本当に丁寧な態度だったように見受けられた。

金爆・樽美酒が市川海老蔵に褒められ照れ笑い

照れ笑いを浮かべる金爆・樽美酒研二(撮影・桂 伸也)

 もう一人のメンバーである歌広場淳も、昨年は映画『サイドライン』に出演を果たしており、同様の礼と、個を光らせようとする野望を持ち合わせていることも、想像に難くない。

 『オシャレイズム』では、鬼龍院以外のメンバーで、バンドから切られたらどうする? と問われると、みな「アルバイトでも」とは語っていたが、たとえば今回の喜矢武のように、何か新しい道に貪欲にチャレンジしようとしていることも十分に考えられる。

 おそらくただの「無気力なエアバンド」では決して終わらない。実際にライブはとてもアグレッシブで、パフォーマンスはユーモアでもはやショウの域だ。その彼らが次は何をしてくれるのか? 目を向けずにはいられないグループであることを改めて感じさせられた。(文・桂 伸也)

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