城桧吏、2025年の軌跡と現在地 来年は「先を見るより今を大事に生きる」
2025年、俳優・城桧吏にとって、キャリアの大きな分岐点となる一年となった。3月に高校を卒業し、学業との両立から解き放たれたことで、活動の場は急速に拡大。大河ドラマへの抜擢、BSドラマでの主演、そして世界配信の大型アクション作と、19歳の若手俳優が歩んだ「実力重視」の足跡を振り返る。
年初に配信されたNetflixシリーズ『阿修羅のごとく』では、自身3度目となる是枝裕和監督作への出演を果たした。かつて『万引き家族』で見せたあどけない少年性は影を潜め、本作では多層的な人間模様のなかで一人の俳優としての存在感を提示。是枝組の「秘蔵っ子」という枠を超え、自立した表現者としての姿勢を鮮明にした。
夏に公開された映画『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』では、引きこもりを克服し成長していく息子・翔役を再演。繊細な心理描写が求められる役どころにおいて、過剰な演出に頼らない抑えた演技は、同世代の俳優のなかでも特筆すべき安定感を見せた。
活動の場は配信プラットフォームに留まらない。NHK BSの連続ドラマ『終活シェアハウス』では主演を務め、ベテラン俳優陣に囲まれながら物語の主軸を担うという、制作現場における「座長」としての経験を積んだ。
また、大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』では、物語の重要人物である第11代将軍・徳川家斉役に抜擢。父・治済役の生田斗真との対峙シーンでは、時代劇特有の所作や台詞回しに対応し、若年期から権力の中心へと上り詰める複雑な役程を演じきった。
11月、Netflixの大型プロジェクト『イクサガミ』が配信。主演・プロデュースを務める岡田准一による徹底した指導のもと、過酷なアクションシーンに挑戦した。狭山進之介役で見せた肉体的な躍動と、極限状態における感情の発露は、海外の視聴者からも注目を集めている。
2026年には20歳の節目を迎える。今後の展望について城は「先を見るより今を大事に生きる。目の前の作品を大切にしていきたい」と語る。
子役時代の華々しいデビューから、着実に経験を積み上げ、今や日本映画・ドラマ界の次代を担う一角へと成長した。浮足立つことなく、一つひとつの作品に対して職人的なアプローチを続けるその姿勢が、20代という新たなステージでどのような結実を見せるのか。




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