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蒔田彩珠と栁俊太郎が、映画『消滅世界』(公開中)に出演。性愛がタブー視される近未来を生きる夫婦、雨音(蒔田彩珠)と朔(栁俊太郎)を演じる。芥川賞作家・村田沙耶香氏のベストセラーを実写化。性愛が禁じられた近未来の日本を舞台に、愛し合った夫婦から生まれた少女が、自身の欲情と、世界で定着した「普通」や「正しさ」に向き合っていく物語であり、観る者自身の「正常」の境界線が試される作品だ。
「雰囲気が素敵で説得力がある」(蒔田)、「ミステリアスで魅力的な稀有な存在」(栁)と、初共演ながらお互いに刺激を受けたという二人。しかし、その役作りは、常識が通用しないSF的な設定ゆえに「正解を見つけるのが難しい」ものだったという。「都市伝説を見ているような感覚で、自分たちはどこに向かっているのか、と考えると怖い」と口を揃える二人が語る、この架空の世界を通して見えた、現代社会との不気味な共通点について話を聞いた。(取材・撮影=村上順一)
衝撃的なテーマと演じ分け
――お二人は今回が初めての共演だそうですね。魅力的だなと思ったところをお聞かせください。
蒔田彩珠 栁さんは、まず雰囲気が素敵です。画面に映っただけで、そのシーンに説得力が出るなと思いました。モデルさんもやられているので、スタイルが良くてカッコいいです。
栁俊太郎 蒔田さんの目がすごく魅力的です。それは会った時からそう感じていました。まさにミステリアスでありながら魅力的な方で、稀有な存在だと思います。
――今回、夫婦役を演じられましたが、普通の夫婦とは異なる設定で、難役だったかと思います。お二人はどのような意識を持って役を作り込もうとされましたか。
蒔田彩珠 撮影に入る前から作り込むということはあまりしませんでした。クランクインのシーンが、朔さんと雨音の二人で職場でワインを飲むシーンだったので、そこでなんとなく空気感みたいなものは掴めたのかなと思っています。
栁俊太郎 クランクインのシーンは、施設の模型の説明をするという場面だったのですが、まさに映画全体があの模型のように作り込まれた世界みたいだと感じて、撮影の最初があのシーンで良かったなと思いました。
――栁さんはどのような意識で役に臨みましたか。
栁俊太郎 SFなので、正解を見つけるのがなかなか難しいところがありました。すべて自分の想像の範囲内でしかなかったので、「本当にこれでいいのだろうか」、「このような夫婦は本当にいるのだろうか」と思いながらやっていました。僕が気をつけたことは、あまり動かないこと、感情に流されないこと、どこかロボットのように全てを受け入れて生きているキャラクターだということです。現場で思ったことが、必ずしもこの世界の人間が思っていることではないかもしれない、と柔軟性を持つように意識していました
――蒔田さんは14年後の姿も演じられており、その演じ分けも難しかったのではないでしょうか。
蒔田彩珠 脚本を読んだ時に、これを映像にした時にどれだけリアルに表現できるかという点はすごく考えていました。年齢については、衣装や髪型、メイクの力も借りていたので、そこは無理なくできたのかなと思います。女子高生の時は自分に近い話し方で、大人になってからは、相手役の方のテンションや空気感に合わせてできるように意識しました。
――監督から演じるにあたりリクエストはありましたか。
蒔田彩珠 監督は「自由に感じたままやってみてください」という方でした。演者に委ねてくださっていた印象があります。
役と私生活の境界線
――撮影が終わって、日常に戻った瞬間に「自分だったら…」と、現実との違いを考えたりされましたか。
蒔田彩珠 自分だったら、エデンみたいな世界になってしまったら悲しいなと思いました。改めて家族みたいな形はちゃんと必要だなと思いました。
栁俊太郎 撮影中は深くは考えなかったのですが、この世界には正解がないんです。しかも、作中で言われていることは、完全に否定できない部分があります。寂しい世界だとは思うけれど、差別がない世界など、自分は綺麗なことばかり並べられるこういった世界は嫌だけど、受け入れる人はたくさんいるだろうな、と思いました。
――SF作品でありながら、現実とも接続する瞬間があると感じました。想像の範囲内でしか考えられないとおっしゃっていましたが、この世界をどのように想像して演じられましたか。
栁俊太郎 原作を読んだ時、都市伝説を見ているような感覚でした。自分たちはどこに向かっているのか、と考えると怖くなって、そう考えている時点で現実にちょっと近づいているなと感じました。朔はすでにその世界を受け入れている役だったので、疑問を持つというよりは、撮影後にこういった会話をしている時に「確かに近いところがある」と思い出す感じでした。実際の社会の変化が早いので、作品と現実が同じように近づいていると感じます。
――雨音はグラデーションのあるキャラクターだと感じましたが、演じている時もその揺らぎは意識されていましたか。
蒔田彩珠 クランクインしたばかりの頃は、どういう映像になるんだろうという気持ちで撮影していたのですが、自然とエデンに行ってからは、すんなりとその世界に順応したという感覚はあります。2次元のキャラクターに恋をするなど、自分が経験をしたことがないこともあり、想像しながら演じていました。現場に行って、その流れに身を任せると言いますか、色々な人と関わる中で雨音という人物を掴んでいった感じです。
――この『消滅世界』の中のルールや制度の中で、お二人が「これはいいな」と思ったところはありましたか。
蒔田彩珠 しんどいことや辛い出来事がある原因は、その多くは誰かの「欲」だったりするので、「欲」がないというのはいいかもしれないなと思いました。
栁俊太郎 ほとんどが怖いことですが、女性だけに限らず、男性も妊娠するという仕組み(人工授精)については、一瞬いいなと思ったりしましたが、今改めて考えると、世の中の摂理として良くないことなのかもしれないなと思ったり、難しいです。
蒔田彩珠と栁俊太郎が感じる危機感とは
――本作のテーマである「正常か異常か」のせめぎ合いについて、今の社会で、この境界線が試されていると感じる瞬間はありますか。
蒔田彩珠 AIです。いまAIは何でも知っているし、何でも作れてしまう。それも怖いなって。おそらくこれが正常化していくと思うのですが、とても危機感を感じています。
栁俊太郎 AIはネットにあがっている情報から引っ張ってきているなら、間違いもあると思うのですが、それが正解となってしまう恐怖を感じています。たとえば、僕が演じた役柄の情報と実際の自分との境目がなくなる、もし情報に間違いがあったら、それが真実として広まってしまうかもしれない。それこそ人権に関わる問題になってくる可能性もあって、そこはちょっと怖いなと思います。この『消滅世界』に通じるところが多々あると感じています。
――最後に、映画『消滅世界』を楽しみにしている方に向けてメッセージをお願いします。
栁俊太郎 本作はあながちSFというわけではなく、思ったより近い存在に来ていると感じてもらえると思います。都市伝説を楽しむ感覚で見ていたら、数年後には本当の話になってきているんじゃないかなって。この作品からいろんなことを感じていただけたら嬉しいです。
蒔田彩珠 ナチュラルに面白そうだなと思って興味本位で見てもらってもいいですが、ある程度の前情報はあった方が、すんなり理解できるのかなと思います。『消滅世界』のあらすじぐらいは知っておいた方がいいかもしれません。原作を読んでいる方は、映画との違いを楽しめると思うので、ぜひ劇場でご覧ください。
(おわり)
映画情報
タイトル:『消滅世界』
公開⽇:11⽉28⽇ 新宿シネマカリテ他全国公開
配給:NAKACHIKA PICTURES
原作:村田沙耶香『消滅世界』(河出文庫)
出演:蒔田彩珠 栁俊太郎
恒松祐里 結木滉星 富田健太郎 清水尚弥
松浦りょう 岩田奏 落井実結子 /山中崇/眞島秀和/霧島れいか
音楽:D.A.N. 主題歌:D.A.N.「Perfect Blue」
劇中アニメキャラクターデザイン:Waboku
監督・脚本:川村誠
プロデューサー:成瀬保則 川村誠 三好保洋 伊藤聖 アソシエイトプロデューサー:伴健治
企画協力:河出書房新社 高木れい子 坂上陽子 / 近藤良英
脚本協力:作道雄 キャスティング:杉野剛 助監督:伊藤一平
撮影:豊田実 照明:田中洵 美術:前田巴那子 録音:木原広滋 伊豆田廉明
衣裳:石原徳子 ヘアメイク:柿原由佳 制作担当:百々勲 井上純平
編集:石原史香 川村誠 音響効果:井貝信太郎 写真:渡辺一城 宣伝プロデューサー:三原知之
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