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俳優の城桧吏が、放送中のNHK BSプレミアムドラマ『終活シェアハウス』(BSP4K・BS 毎週日曜夜10時~<全10話>)に出演。お人好しで流されやすく、就職活動も苦戦中の主人公の速水翔太を演じる。
城は2018年、カンヌ国際映画祭最高賞パルムドール受賞作『万引き家族』で注目され、映画『都会のトム&ソーヤ』(2021年)などで主演。大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(2025年)では、第十一代の若き徳川の将軍・徳川家斉を演じている。
NHK連続ドラマ初主演となった『終活シェアハウス』は、「終活」というテーマを通して、人とのつながりの大切さを描く。翔太の恋人・林美果を演じる畑芽育、そして歌子(竹下景子)、厚子(室井滋)、瑞恵(戸田恵子)恒子(市毛良枝)という、シェアハウスで暮らす68歳の女性4人が、あらゆる世代に共通する「生きることの意味」を問いかける。
インタビューでは、撮影を通して竹下景子ら共演者から感じたこと、お互いにボケたりツッコんだりと楽しかったというW主演の畑芽育とのやりとりについて話を聞いた。(取材・撮影=村上順一)
苦手意識があったナレーション
――今回、ドラマでは竹下景子さんをはじめとするキャリアのある大女優の方々との共演ですが、撮影を通して新しい発見や学びはありましたか?
『終活シェアハウス』での演技は、今までとは違ったテイストだと感じています。今までとは違うからこそ、先輩方から本当にたくさんのことを学ばせていただきました。具体的には、会話のテンポ感、早いやり取りの中での表情の変化や、細かいニュアンス、そして大胆な抑揚のつけ方といった、演技の技術的な面です。
――今作はナレーションやモノローグも多いそうですが、苦労された点はありますか?
はい、今作はナレーションやモノローグが多く、特にナレーションには少し苦手意識がありました。以前、『ファーストペンギン!』という作品でナレーションをやらせていただいたことはありますが、自分が役として出演する作品の中でのナレーションは今回が初めてで、演技をしている時とナレーションの時のテンション感の違いが難しかったです。
――その苦手意識を克服するためのアドバイスはありましたか?
「どうしたら上手くできますか」と質問させていただいたところ、「ナレーションだと思わずに、誰かに問いかけているように話した方がうまくいくと思う」というアドバイスをいただきました。それを胸に取り組みました。
――作中には美味しそうな料理がたくさん登場しますが、印象的だった料理はありますか?
料理の登場シーンは、このドラマで大事にしている部分でもあります。たくさんあるのですが、第1話のキムチチャーハンはすごく美味しかったです。パラパラしていて、いい塩梅の辛さでした。僕は辛いものが好きなので、撮影が終わった後も、一人でずっと食べ続けて完食しました。
――城さんはご自宅で料理はされますか? また、今後作ってみたい料理の目標などありますか?
料理はあまりしないです。ただ、最近見つけた特技が一つありまして、卵を片手で割ることなんです。やってみたら意外と上手くできたので、卵を使った料理に挑戦したいです。シンプルに卵を割りたいだけかもしれないのですが(笑)。
――(笑)。ドラマで城さんの食べる所作がとても綺麗だと感じたのですが、何か意識していたことはありますか?
ありがとうございます。翔太というキャラクターは、行儀の良さが、一つ一つの所作に現れていると思います。そういったところは意識はしていますが、食べ方に関しては僕が小さい頃から祖母にマナーなど厳しく教えてもらったので、そこが活かされているのかなと思います。
――おばあ様は、城さんにとってどのような存在なのでしょうか?
住んでいる場所は遠いのですが、心の距離が近いです。電話をしたり、祖母が僕の家に来てくれたり、逆に祖母の家にも家族でよく行ったりもしていて、仲がとても良いです。
畑芽育と目が合うと変顔!?
――今回、畑芽育さんとのシーンも多いですが、ラブコメ的な要素もある中で、畑さんとのシーンで心がけていたことはありますか?
翔太と畑さん演じる美果との恋愛模様は、すごくリアルだと思いました。話がスムーズに進む恋愛作品も多いですが、この作品での翔太と美果はなかなか噛み合わない2人です。お互い好きだからこその気まずさがあるのですが、その絶妙な空気感をうまく作れたらいいなと思っていました。
――お二人は、カメラが回っていないところで和気あいあいと楽しまれているそうですね。
はい。畑さんはユニークでとても面白い方です。互いにボケたりツッコんだりすることが多く、目が合うと変顔してしまうこともあります。
――城さん、変顔もされるのですね。
変顔は家族の前ではよくやっています。母は笑ってくれますが、弟は割と冷たい目で見てきます(笑)。現場では畑さんにつられて、家にいるときに近い自分が出ていたと思います。
――今回のテーマの一つに「ジェネレーションインスパイア(世代を超えた影響)」がありますが、若者である翔太がオバサマたちに与える影響についてはどうお考えですか?
逆に、翔太がオバサマたちから影響を受ける部分の方が多いと感じています。最初は単なる秘書でしたが、オバサマたちから学んだことで、翔太に新たな感情が芽生え、より親密な関係に変わっていくのかなと思います。
――城さん自身が共演者の皆さんから影響を受けたことは?
たくさんありますが、オバサマたちがものすごい熱量で、若々しくてパワフルな演技をされているので、僕もそれに追いつように、一緒にお芝居をさせていただいています。
――第1話で翔太が涙するシーンがあり、感動的な場面でしたが、あのシーンはどのような気持ちで臨まれましたか?
泣くシーンは、翔太の心の清らかさ、そして他人の悩みを自分事のように捉えて考えることのできる優しさが垣間見えるシーンだと思っています。それを考えながら臨みました。
――泣くシーンは得意な方ですか?
どちらかというと得意かもしれません。昔は身近な人に置き換えるなどしていましたが、最近は役そのものの気持ちを考えるようにしています。翔太になればなるほど、そのシーンの意味、感情が入り込んできて、なぜ翔太が泣くのかが理解できるようになってきます。これは演技のアプローチとして変化してきたところです。
胸に響いた竹下景子の言葉
――撮影に入る前のルーティンなどはありますか?
ルーティンは、寝る前に台本を読むことです。寝る前に覚えて、起きたらセリフが頭に入っているという感じです。僕は昔から夜型なので、寝る前の時の方が頭が働いているのかもしれません。
――監督とはよくお話をされるそうですが、今回はいかがでしたか?
監督とはお芝居の話はもちろん、他愛のない会話もよくします。監督は楽しいことが好きな方なので、そういったコミュニケーションを通じて、コミカルさのようなものを演技に取り入れたら面白いんじゃないか、という話になることもありました。
――アドリブもあったりするのでしょうか?
かなりテンポの早い会話が多いので、自然とアドリブは入っていると思います。意識しているわけではなく、撮影している時に「実はアドリブになっていたな」ということがあり、それがOKになることもあってとても面白いです。
――「終活」は城さんの年齢ではまだ遠い話ですが、このドラマを通して、人生観に変化はありましたか?
合同取材会のときに竹下さんがおっしゃっていたのですが、「大切なものを残していく」という自分の中の優先順位をつけるお話がとても胸に響きました。何を大事にし、何を残した方がいいのか、優先順位を決める日が、僕自身にも今後絶対来ると思うのでな、この作品と出会えて良かったと思いました。
――この作品に携わったことで、将来について考えるきっかけになりそうですね。
はい。この作品がきっかけで、今まであまり考えてこなかった今後のことを考えるようになりました。ぜひ皆さんもこの『終活シェアハウス』を観て、何かを感じ取っていただけたら嬉しいです。
(おわり)
ドラマ概要
【放送予定】 BSP4K・BS夜10時00分~10時45分<全10話>
【原作】御木本あかり
【脚本】水橋文美江
【音楽】羽深由理
【主題歌】DREAMS COME TRUE 『サンキュ.』
【出演】城桧吏 畑芽育/竹下景子 ほか
【制作統括】黒沢淳(テレパック) 樋口俊一(NHK)
【プロデューサー】雫石瑞穂 山本梨恵
【演出】塚本連平 宮下直之 下向英輝
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