あいみょん、全42公演に及ぶ全国ツアー完遂「こんなに嬉しいことはない」

あいみょん(撮影:永峰拓也)
あいみょんが5月29日、『AIMYON TOUR 2024-25 “ドルフィン・アパート” Additional Show』のファイナルとなる埼玉公演をさいたまスーパーアリーナで開催した。昨年9月にスタートした「ドルフィン・アパート」は追加公演を合わせて全42本というあいみょんにとって過去最長となるロングツアー。広島公演では以前よりファンを公言していた『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』の主題歌を担当することが発表され、3月には30歳の誕生日を迎えるなど、メモリアルなツアーを2時間半に及ぶ圧巻のパフォーマンスで締め括った。
【写真】あいみょん「ドルフィン・アパート」さいたまスーパーアリーナ公演の模様
開演時刻を過ぎ、イルカの泳ぐ海を連想させる青い照明と幻想的なSEが流れると、ライブはインディーズ時代の人気曲「どうせ死ぬなら」からスタート。続く「ラッキーカラー」では「ドルフィン・アパート」の特徴である客席中央の長い花道を使ってオーディエンスにクラップを求め、ステージに戻ってタンバリンを叩く姿もキュートだし、「会いに行くのに」のまっすぐな歌声も琴線を揺さぶる。セットリストを入れ替えながらも40本以上のライブを行ってきただけに、やはりその立ち姿からは余裕と自信が感じられ、「無事にここまで辿り着けて、マジで嬉しくて半端ないです」という言葉からも、充実のツアーだったことが伝わってくる。
「森のくまさん」はマリンバの音色が印象的で、「駅前喫茶ポプラ」ではサビでサポートメンバー一人ひとりのコーラスをフィーチャーするのも楽しい。オリエンタルな雰囲気の「ノット・オーケー」に続いては、ライブ終盤のイメージが強いバラードナンバーの「漂白」がここで披露され、深い感動を残す。昨年リリースのアルバム『猫にジェラシー』からの曲を軸としながらも、幅広い時代の様々な楽曲が披露されるのは、新旧のファンどちらにとっても嬉しいことだろう。
オルタナティブ・ロック的な「炎曜日」のラストでは伊吹文裕のドラムをフィーチャーしたり、「マトリョーシカ」ではqurosawaと八橋義幸のギターソロをフィーチャーしたりと、サポートメンバーにスポットを当てる場面も織り交ぜられ、数多くのステージを共にしてきた「バンド」としてのケミストリーも十分。かと思えば、アコギを置いて、スタンドマイクで歌われた「朝が嫌い」はあいみょんのシンガーとしての表現力の高まりを改めて感じさせる一曲で、ライブ中盤のハイライトに。うっすらとした朝の光が差し込むような照明の「朝が嫌い」から、太陽の温かな光を連想させるオレンジの照明が印象的な「マリーゴールド」への流れも素晴らしかった。
恒例となった双眼鏡コーナーでオーディエンスと密にコミュニケーションをとった後は、こちらも「ドルフィン・アパート」の特徴であるセンターステージを使ったアコースティックコーナーへ。ツアー本編では井嶋啓介、山本健太、朝倉真司が参加していたが、「Additional Show」ではqurosawa、伊吹、そして、八橋がスティールギターで参加し、「君の夢を聞きながら、僕は笑えるアイデアを!」はカントリー風の曲調と、あいみょん自身が吹くカズーが実にユーモラス。同じ編成での「愛の花」はミニマムなアンサンブルが楽曲の新たな魅力を引き出し、途中のアカペラも鳥肌もの。さらには場内がほぼ真っ暗になり、ピンスポットの中で「偽者」を弾き語りで歌ったりと、曲ごとに様々な表情を見せていく。
「アリーナ!」「スタンド!」と声出しをして、メンバー紹介から始まった「私に見せてよ」では花道を駆け回るあいみょんやステージ上のメンバーをドローンが様々な角度からスクリーンに映し出し、この曲のみショルダーキーボードを抱えた山本をはじめ、わちゃわちゃした雰囲気がとにかく楽しい。山本は「おばけがでるぞ」でもテルミンを披露したりと、このパートでは大活躍。あいみょんが左右の花道を移動しながら歌った「愛を伝えたいだとか」は、シンメトリーな映像とデザインされた照明が組み合わさって、演出込みのトータルの完成度に特筆すべきものがある。
ここで今回のツアー中に『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』の主題歌を担当することを発表した思い出を振り返り、「『ドラえもん』のおかげでできた曲やからこそ、もっともっとこの先も歌い続けたいし、もっともっと届いたら嬉しいなと思う曲です。みんな夢を叶えてくれてありがとうございます」と話して、「スケッチ」を披露。ハンドマイクで情感たっぷりに歌われたこの曲も、やはりシンガーとしてのスケールの大きさを感じさせるもの。さらに「君はロックを聴かない」ではさいたまスーパーアリーナを埋めたオーディエンスが声を揃えて合唱を聴かせ、この光景は何度目の当たりにしても涙腺が緩む。
ここからライブはいよいよ終盤戦、「RING DING」ではあいみょんがステージからフロアに降りて、オーディエンスとハイタッチをしながら歌い、その勢いのまま突入した「夢追いベンガル」では花道の中央が競り上がり、無数のタオルが振られる中で堂々としたパフォーマンスを披露。そこからステージに戻り、畳み掛けるように歌われた「貴方解剖純愛歌〜死ね〜」で会場の一体感は最高潮を迎え、この曲でのあいみょんはまさにロックスターのよう。さらにはここでメジャーデビューシングルの「生きていたんだよな」が披露され、ディープな世界観をシリアスに表現してみせたのは、シンガーソングライターとしての矜持をはっきりと感じさせた。
「こんなに大きい会場でファイナルを迎えられて、こんなに嬉しいことはないです。寂しいとかじゃない!マジで嬉しい!ありがとうございました!」と改めて感謝を伝えると、ラストは<また会おうな まだただいま 言える場所はとっておくぜ>と歌う「葵」で大団円。「ドルフィン・アパート、完走!」と叫び、メンバーと並んで挨拶をして、最後はいつものように「健康第一、家内安全、その次あいみょん!」で締めくくられたロングツアーは、シンガーソングライターとして、パフォーマーとして、充実期を迎えたあいみょんの姿を強烈に印象付けるものだった。(TEXT:金子厚武)
【ツアーセットリストプレイリスト】
AIMYON TOUR 2024-25 "ドルフィン・アパート"セットリスト
https://Aimyon.lnk.to/dolapa
AIMYON TOUR 2024-25 "ドルフィン・アパート" Additional Show セットリスト
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