映画『デュオ 1/2のピアニスト』が、2月28日に全国ロードショー。今回、本作の公開に先駆けて、本作の見どころの一つであるピアノ演奏シーンの本編クリップが公開された。併せて日本のクラシック界からのコメントも到着した。

 【動画】公開された映画『デュオ 1/2のピアニスト』ピアノ演奏シーン本編クリップ

 アカデミー賞作品賞含む主要3部門受賞『コーダ あいのうた』プロデューサー最新作で、実在するフランスの双子の天才ピアニスト、プレネ姉妹の数奇な運命と人生をモデルに、難病により夢を奪われた双子姉妹の苦難と葛藤と成功の物語を描いた、映画『デュオ 1/2のピアニスト』。

 本作の主人公、双子の姉妹クレールとジャンヌは、幼い頃からともにピアノに情熱を注ぎ込んできた。2人は、父親からアスリートのような指導を受け、名門カールスルーエ音楽院に入学を果たすこととなる。しかし、2人を待っていたのは、ソリストというたった1つの椅子を賭けての練習の日々だった……。そんな厳しい練習に明け暮れる中、突如クレールとジャンヌは自分たちの両手が徐々に不自由になっていく難病にかかっていることを知る。最悪の事態に直面しながらも、改めてピアノが人生のすべてであり、かけがえのない大切な存在だということに気づく。そして、絶対に叶えたい夢を2人で掴み取るため、家族に支えられながら、自らの運命を変えていくこととなる―。

■怒りや焦りなど、様々な感情がその旋律を震わせる――大きな困難を抱えながらも、運命を切り開こうともがく姿

 今や人々にとって、最も親しみのある“楽器”と言えば、その一つに「ピアノ」があげられるだろう。現在では人々の行き交う駅や、ショッピングモールなど、日本全国のいたるところに“ストリートピアノ”が設置されるなど、日々の中でも特に触れる機会の多い楽器だ。そんな、「ピアノ」が、その音域の広さや、表現の豊かさなどから、楽器の“王様”と呼ばれていることをご存じだろうか――。主旋律から伴奏まで、多種多彩な表現を可能にする「ピアノ」は、一方では演奏者の感情や、呼吸・指の強弱の違いなどを繊細なまでに音として表現をしてしまうという一面も持っている。

 今回解禁となる映像には、そんな「ピアノ」と対峙する主人公の一人クレールの姿が捉えられている。入学早々のテストで、ピアノ講師であるフィッシャー先生に見いだされたクレール。彼女が、厳しい指導や訓練を乗り越え、あるコンサートのソリストを掛けたオーディションに参加した際の演奏シーンとなっている。鍵盤の前に座り、一息ついて演奏を始めるクレールだが、彼女は耐え難い手の痛みに顔をゆがめる。それでも、必死に“ソリスト”という夢にしがみつくように、鍵盤を弾くと、ズキズキとした痛みが伝わってくるような、時々訪れる不穏な空気感が、徐々に焦燥感を増幅させていく印象的なシーンとなっている。

 ピアノの演奏シーンが出てくる映画というのは、国内外でも数多くある。名作と名高い『海の上のピアニスト』(98)や『戦場のピアニスト』(02)、近年ではアカデミー賞作品賞を受賞した『グリーンブック』(18)。国内でも『蜜蜂と遠雷』(19)や、『羊と鋼の森』(18)など、挙げればきりがないほど。その中で、「ピアノ」による演奏シーンは前述したように、様々な思いや物語を届けてくれる。喜びや悲しみ・葛藤等はもちろん、登場人物たちが歩んできた境遇、人生までもがその一つ一つの音に載せられ、観客の心を揺さぶっていく。

 本作では、これまで家族一丸となって歩んできたクレールとジャンヌの双子姉妹それぞれが、鍵盤に向き合うシーンはもちろん、病という大きなターニングポイントを経験しながらも、改めて音楽と向き合う2人の姿や、2人が見つけた“夢”に向かい歩んでいく場面での演奏シーンもみどころ。

■日本のクラシック界からも、本作への感想コメントが多数到着 「ピティナ」とのコラボでのSNS投稿キャンペーンも開催中

 国内外で活躍する音楽家からの感想コメントが到着。実際にクラシック音楽の世界に身を置く方々の目線で、本作の音楽への向き合い方や、そこに描かれる音楽への情熱など、本作の魅力を語ってもらった。

 更に、全国最大規模のピアノコンクール「ピティナ・ピアノコンクール」で知られる、一般社団法人全日本ピアノ指導者協会「ピティナ」の全面協力の元、現在SNSでの投稿キャンペーンを実施中。ピティナ・ピアノコンペティション「デュオ部門」の開催に合わせて、コンクールなどでの“デュオ”に関するエピソードを投稿すると、本作のオンラインムビチケが抽選でもらえる。

■コメント

▽佐々木新平(指揮者)

 音楽は言葉では表しきれない感情を表現するものです。
なんという苦しみ、なんという葛藤。双子の2人を絶望に貶めたのも音楽であり、また救い、希望を与えたのも音楽なのです。2人と彼女らを取り巻く人物たちの感情を、音楽が時に寄り添い、時に暴力的に代弁するのです。
これは単なる苦難を乗り越えた双子の感動ストーリーではありません。音、景色、表情…非常に繊細に描かれた世界一つひとつを逃さずに観て、聴くべき映画です。

▽ヴァイオリニスト 三戸素子

 『デュオ 1/2のピアニスト』を観て引きこまれました。実話と言われていても、信じられないようなストーリーなのですが、親からの期待やプロになるための音楽教育、そして双子ゆえの葛藤などがテンポよく、緊張感をもって描かれていて、主人公のふたりのピアニストの気持ちに共感できました。いつも音楽映画にはついつい辛口になってしまうのですが、この映画のエピソードは必要な布石として構成され、見終わったあとは音楽の素晴らしさと情熱がしっかり心に残りました。

▽チェリスト 小澤洋介

 これまで私が観てきた音楽サクセスストーリーとは一線を描す作品であることに間違いない。流石に実話を元にしたものだけに、そうとうにリアリティがあり、引き込まれていく力を持った映画だと感じた。この双子のお互いの関係、家族との関係、教授との関係も、同じような境遇をヨーロッパの音大で経験してきた私にも、とても違和感のないことが、より没頭できた要因だろう。
ただ奇跡的にコンサートを成功させるという、一時的なものだけではなく、その後の彼女たちの生きていく可能性も感じさせることも、とても気に入った。多くの音楽関係者、とくに音楽教育者に見てもらいたい映画だと思う。

▽ピアニスト 都甲紀子

 「1番にならなければいけない」という父親の顔色を伺ってピアノをやっていた少女たちは、大人になり手を病気でピアノを辞めなけれなりません。お客のいなくなった劇場のピアノをギブスの手で触り「ピアノなしでは生きられない」と感じます。この辺、ピアニストとして同情なしには見られませんでした。そして2人で考えた独特の奏法。劇中にはフランス映画らしい大人の恋の場面も。この映画はピアノが置いてある場所も大きな魅力です。音大の広大なレッスン室、偶然入った雰囲気の良いコンサートホール、格式の高い伝統的な劇場、双子でシェアする暗いレッスン室…。「デュオ1/2のピアニスト」は実話に基づいた映画です。双子の少女の憧れを、大人になり逆境に負けずに叶えて行く素敵なフランス映画です!

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