INTERVIEW

木村柾哉(INI)

「嵐のみなさんは僕の憧れ」理想のスタイルは音楽と役者の両立:映画『あたしの!』


記者:村上順一

写真:村上順一

掲載:24年11月08日

読了時間:約9分

 11人組グローバルボーイズグループINIのリーダーを務める木村柾哉が、映画『あたしの!』(11月8日公開)に出演。全校女子のあこがれで超人気者のイケメン・御共直己(みとも・なおみ)を演じる。木村は日向坂46の元メンバー渡邉美穂とW主演を務める。本作は「ヒロイン失格」「センセイ君主」などで知られる幸田もも子氏の同名漫画を映画化。監督は本作が商業映画初デビューであり、監督とともに撮影と編集も務めあげた横堀光範氏。脚本は『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』でギャラクシー賞など数々の賞を獲得した、おかざきさとこ氏が務めた。あこ子(渡邉美穂)の“最高に前向きな青春”をかけたラブバトルエンターテインメント作品となっている。インタビューでは、御共直己を演じるにあたり意識していたこと、印象的だったシーン、また役者としての展望について話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

嬉しかった「直己、いいじゃん!」

木村柾哉(INI)

――木村さんはもともと役者への興味はあったのでしょうか。

 憧れていただけなのですが、興味はずっとありました。 夢の一つがこういった形で叶ってとても嬉しいです。

――憧れの俳優さんは?

 小栗旬さん、嵐のみなさんは僕の憧れでした。その中で嵐のみなさんはちょうど僕が小中学生の頃に俳優として活躍されていて、音楽活動と並行して役者もやられているというのは僕の理想の一つで、やりたいことが詰まっていて憧れていました。

――INIのメンバーの皆さんは、木村さんの主演についてどんな感想を?

 「おめでとう!」と言ってくれたり、「ラブコメ作品の撮影ってどんな感じなの?」とか関心を示してくれたメンバーもいて、すごく嬉しかったです。

――出演が決まった時の心境は?

 すごく嬉しかったのと同時に、プレッシャーから「大丈夫かな?」と思いました。

――出演のお話を聞いてから、準備としてまず何をしましたか。

 原作を読み、物語をしっかり把握した上で台本を読みました。まずは原作の中の直己の人となり、仕草や背景などをしっかり掴みたいと思ったからなんです。

――木村さん演じる御共直己はどのような人物だと分析されていますか。

 とても優しい人なのですが、周りからはミステリアスと言われてしまったり、自分を押し殺すタイプです。でも、それは直己にとって苦ではないんじゃないかと思いました。どこか優しいんだけど、仲良しにはなれないんだろうという空気をまとっているキャラクターというのを感じました。

――直己のこんなところを見習おうと思ったところはありましたか。

 英語が堪能なところと、女子との距離感が上手いところです。その距離感はどこか思わせぶりなんですけど(笑)。それを感じさせるのがカラオケ屋のシーンで、ドリンクバーにあった紙ナプキンでささっとバラを作って、あこ子と充希にプレゼントするのですが、あんな風にバラを作れる人はなかなかいないと思うので、凄すぎて皆さんキュンとすると思います。

――確かにあのシーンは印象的でした。さて、演じるにあたり監督からリクエストはありましたか。

 台本の読み合わせの時点では、監督からは感情に関するリクエストはありましたが、基本的には自由にやらせていただけた印象があります。監督の描きたいイメージがあった場合は、その都度話し合いをしながら直己を作っていきました。

――監督からの言葉で嬉しかったものはありましたか。

 「直己、いいじゃん!」と言っていただけたのは、すごく嬉しかったです。その言葉を聞いて安心できたといいますか、不安を抱えながら演技をしていた部分もあったので、監督がそう言ってくださることによって、「これでよかったんだ」と答え合わせをしながら演じることができました。それが自信に繋がったところもありました。

――自由に演じられたとのことですが、逆に難しさもありますよね?

 自分の中でシーン毎に感情を整理してやらせていただいていたので、とてもやりやすかったです。直己は感情の起伏がなくて心が読みづらいキャラクターなんです。自分のやりたいことを優先して、一歩踏み出すシーンがあるのですが、そこはこれまでとは違う直己を見せなければいけなかったので、どうやってそれを見ている人に伝えるかというのは難しかったところでした。

――どう乗り越えたのでしょうか。

 あこ子とのやり取りの中で決心がついていくので、自分一人でどうにかなるポイントではなかったんです。渡邉さんが素晴らしい演技をしてくださったので、そこに引っ張られたところはありました。

監督が魚の動きまで指示、演出していた

木村柾哉(INI)

――渡邉美穂さんをはじめ、⿑藤なぎささん、山中柔太朗さんと一緒のシーンが多いですが、どのようにコミュニケーションは取られましたか。また、座長としての心構えはありましたか。

 本読みの時点でメインキャストの 3 人とは仲良くさせていただいていて、関係値がとても良い状態で現場に入れたのが大きかったです。座長としてどう立ち回れたかと問われると、意外と自分のことで精一杯だったのですが、芝居の中で皆さんを引っ張っていけるように意識しながらやっていました。また渡邉さんがそこでも引っ張ってくださったので、本当に助けられました。

――渡邉さんと役についてお話されたことはありましたか?

 台本にない部分でどういった立ち回りをするのかというのは、毎カットごとディレクションをお互いにしながらやっていました。アドリブみたいなものもありましたし、後ろで映り込むようなシーンでは、あこ子と直己の関係性が見えやすいところだと思ったので、そういうところも意識して相談しながらやっていました。

――台本を読まれて、撮影を楽しみにしていたシーンは?

 全部楽しみだったのですが、山中くん演じる成田葵央とのシーンです。山中くんとはもともと知り合いだったので、やり取りも楽しみにしていました。

――撮影していて印象に残っているシーンはどこでしたか。

 面白かったのは水族館のシーンです。水族館のシーンは時間を掛けていろいろな画角で撮ったのですが、監督が魚の動きまで指示、演出していたのは印象的でした。僕はここでサメが来るんだと驚きましたから。大事な分岐点となるシーンでもあったので、僕たちも監督も大事にしていたシーンの一つでした。

直己の気持ちも入れながら歌った「Break of Dawn」

木村柾哉(INI)

――主題歌はINIの「Break of Dawn」ですが、自身が主演を務める映画で、INIの曲が流れるというのはどのような気持ちでしたか。

 僕が歌い出しのパートを歌っているのですが、重要なシーンで自分の歌が流れてくるので、あこ子と直己2人の世界観を邪魔してないかなと思ってました。でも、初号試写を観てしっとりと大人っぽい雰囲気で届けられたと感じました。すごくお気に入りです。

――レコーディングはどのような気持ちで歌いましたか?

 レコーディングのときは、頭の中に直己がよぎっていたので、直己の気持ちも入れながら歌いました。それを皆さんにも感じてもらえたら嬉しいです。

――そういえば、本作の最初の方で、充希が同級生から「何を聴いているの?」と聞かれて、「“IN1”聴いてる」とINIをもじったグループが出てきますよね?

 そうなんです! パロディですがINIがこういった形で登場するとは全く思っていなかったので、すごく嬉しかったです。

――キラキラした青春が描かれている作品ですが、木村さんご自身の青春の思い出は?

 文化祭です。クラスが一つになって何かを作り上げるというのは青春だなと思います。文化祭には高校生ならではのものがあると思っていて、小中学校ではできない縁日のように食べ物を提供したりするのは、高校3年間でしか味わえないものでした。

――木村さんはどんな催し物を?

 僕は劇の中で“ヲタ芸”を披露しました(笑)。他にはテーマパークにありそうなアトラクションをダンボールで作ったりもしました。

――それはどんなアトラクションですか。

 タイムスリップ系です。ちゃんと案内人もいて、江戸時代からミッションをこなして現代に戻っていくという内容です。作っていてとても楽しかったです。

――さて、役者の経験がINIの活動などにどのような影響や相乗効果を与えてくれると感じていますか。

 今のところ、まだそれを実感はしていなくて、芝居は芝居ですごく苦戦しましたし、役者とINIの活動は別物として存在しているような感覚があります。でも、今回のようにINIの曲が自分が出演する作品の主題歌に起用していただいたり、還元できることもあるので、すごくありがたいことだなと思っています。

――これから感じるところもありそうですね。たとえばMVで演技を求められたときに、役者の経験が活きてきたりしそうですよね。

 あっ! 確かにそれはあるかもしれないです。それも自分のなかでは別物と捉えていたので、いまお話を聞いてハッとしました(笑)。

――役者としての理想像は?

 いろいろな役をやってみたいと思っていて、多様なジャンルの作品に出演できる、振り幅が大きい役者になれたらと思っています。

――その中で特にやってみたい役柄は?

 いま特にやってみたいのは、特殊能力系やスパイ、刑事役に興味があります。いつか演じられることを楽しみにしています。

――最後に『あたしの!』を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

 恋も友情も楽しめる作品になっているので、ぜひ劇場に足を運んでもらえたら嬉しいです。

――最低、何回くらい観てもらえたら嬉しいですか。

 登場人物それぞれに視点を変えて、4回は観てほしいです。また、1回目は友達、2回目は恋人、3回目は上司、4回目は家族を連れて観てもらえたら最高です(笑)。

――木村さんの場合はINIのメンバーも連れていかないと。

 そうですね! そうしたら10回以上観に行くことになります(笑)。

(おわり)

ヘアメイク:Sayaka
スタイリスト:TOGO MANAMI

ジャケット 95700円(税込)
シャツ 49500円(税込) /すべてETHOSENS
問い合わせ先 ETHOSENS of white sauce
Tel. 03-6809-0740

【作品情報】

映画『あたしの!』
出演:渡邉美穂 ⽊村柾哉(INI)
⿑藤なぎさ
⼩⽥惟真(THE SUPER FRUIT) 笠井悠聖
藤⽥ニコル/⼭中柔太朗

原作:幸田もも子「あたしの!」(集英社マーガレットコミックス DIGITAL刊)
監督 撮影 編集:横堀光範
脚本:おかざきさとこ
音楽:遠藤浩二
主題歌:INI「Break of Dawn」(LAPONE Entertainment)
挿入歌:チョーキューメイ「シナモン」(神宮前レコード) 
製作:英田理志 崔 信化 林 熙奭 依田巽
チーフプロデューサー:前田利洋
アソシエイトプロデューサー:成瀬保則
プロデューサー:平岡祐子 浅野敦也
企画協力:横倉早苗
撮影補:栁澤光一
照明:土井立庭
録音:木村健太郎
美術:相馬直樹
装飾:野村哲也
スタイリスト:袴田知世枝
ヘアメイク:結城春香
オンライン編集:正木良典
音響効果:小山秀雄
助監督:猪腰弘之 堀英樹
制作担当:植野亮
ラインプロデューサー:鷲山伸人
宣伝プロデューサー:平下敦子
音楽プロデューサー:仲安貴彦
アシスタントプロデューサー:大高さえ子 折戸咲月
製作:映画「あたしの!」製作委員会 TIME LAPONEエンタテインメント ギャガ アイ・エヌ・ジー
制作:TBSスパークル
配給:ギャガ
©幸田もも子/集英社・映画「あたしの!」製作委員会

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村上順一

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