アニメ「ガールズバンドクライ」プロデューサーを務める平山理志氏

 アニメ『「ガールズバンドクライ」プロジェクト説明会』が都内で行われた。説明会には本作のプロデューサーを務める平山理志氏が登壇し、本プロジェクトの最先端技術について語った。

 【動画】公開されているアニメ「ガールズバンドクライ」Official Music Video

 アニメ『ガールズバンドクライ』は、最新技術のCGを駆使し、最高峰の映像技術と音楽が掛け合わさった新しい形のアニメーション作品。居場所のない少女たちが音楽を通して成長していく物語だ。現在、5本のミュージックビデオが公開されており、100万回再生を超えている動画もあり注目を集めている。

 東映アニメーションと音楽×総合クリエイティブカンパニーのagehasprings、ユニバーサルミュージックの3社がタッグを組み製作。アニメーションとリアルバンドの活動を融合させたプロジェクトとなっている。

 監督は『ラブライブ!サンシャイン』で監督を務めた酒井和男氏、プロデューサーは『ラブライブ!』シリーズを手掛けた平山理志氏 、音楽はYUKIやAimerなどの楽曲プロデュースを行ってきた玉井健二氏(agehasprings)、キャラクターデザインは星街すいせいを手掛けた手島nari氏、CGディレクターに『魔法つかいプリキュア』ED CG ディレクターの近藤まり氏、『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』のCGディレクターの鄭載薫氏が担当している。

アニメ「ガールズバンドクライ」©東映アニメーション

 主人公となるガールズバンドはトゲナシトゲアリ。メンバーは数千人の応募があった「Girl’s Rock Audition」より選ばれた5人で、ボーカルの理名(井芹仁菜)、ギターの夕莉(河原木桃香)、ドラムの美怜(安和すばる)、キーボードの凪都(海老塚智)、ベースの朱李(ルパ)がトゲナシトゲアリとして活動していく。※()内はキャラクター名

 アニメで登場するメンバーの年齢は16歳から22歳という設定。キャラを担当するメンバーの年齢も近い。この年齢の幅にも意味がある。本作では若い子たちが社会にどう出ていくのかというテーマがあり社会人も交えた編成となっているという。さらに、ベースを担当するルパは南アジア出身。舞台となる川崎市は多国籍の人が集まる街という側面もあるところから、国際化の流れを反映したカタチとなった。

 オーディションはバンド活動を行うことから、演奏スキルが考慮され選ばれている。メンバーは難易度が高い楽曲を再現する実力を備えている。合わせてこのメンバーがキャラクターの声優も担当する。

 作品の舞台となるのは神奈川県の川崎市。東京ではなく神奈川の川崎市が選ばれた背景には、過酷な環境下でバンド活動をする5人が都内在住というのは、家賃面などを考慮しても不自然だと感じたからだという。150万人という人口の多さや、家賃3万円で住めるマンションもあるなど、日本全国で見ても認知度もある川崎市が適していると判断された。

 そして、サウンド面も気になるところ。音楽に関することはすべてagehaspringsの玉井健二氏に一任。それぞれのキャラが持っている個性を最大限に生かすことを念頭に作り上げている。楽器もGibsonやG&L、Psychederhythmなどのメーカーが全面的に監修したことにより、細部までアニメーションで再現されている。既に彼女たちが使用している楽器の中には、約1ヶ月間で1年分が売れたものもあるという。

 サウンド面では演奏する場所に合わせて、その空間における反響まで考慮した収録を行うなどのこだわりを見せていて、それがリアルさや没入感に一役買っている。音楽性に関しては2023年、2024年での最新の音楽に聴こえるように楽曲制作をしていると明かした。

 そして、なんと言っても注目すべきはアニメーションの美しさだ。作画アニメ、CGアニメという手法が主流のなか、本作では世界最先端の映像表現となる“イラストルック+フルコマ”アニメという手法を使っている。これは、映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』や、映画『THE FIRST SLAM DUNK』を進化させた表現方法だと話す。

 イラストルックというのはイラストレーターがデザインしたイラストをそのまま動かすという試み。そこには今回のキャラクターデザインを担当した手島nari氏がポイントポイントで確認しながら作成されているというから驚きだ。

 動きに関しても1秒間に24フレーム使用するという贅沢なもの。これまでのアニメの多くは1秒間に8フレーム、12フレームが主流だが、本作では24フレームを採用し滑らかな描写を実現した。それらは「名もなき何もかも」と「爆ぜて咲く」のMVで確認できる。

 さらにバーチャル空間に照明を配置したり、カメラを配置することによりリアルで躍動感のある映像に仕上がっているのもポイントだ。この技術を使用したアニメーションは極めて稀だという。さらにカメラの手ぶれ感を出すためにバーチャルカメラを導入したりと、CGの利点をフルに生かした作品になっている。【村上順一】

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