chelmico「子どもの気持ちに戻って」映画『シナぷしゅ』主題歌で心掛けていたシンプルな感情
INTERVIEW

chelmico

「子どもの気持ちに戻って」映画『シナぷしゅ』主題歌で心掛けていたシンプルな感情


記者:村上順一

撮影:村上順一

掲載:23年05月19日

読了時間:約9分

 RachelとMamikoの友達2人組で結成されたラップユニットchelmicoが、5月19日に公開される映画『シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺにゅうワールド』の主題歌を担当。同作では「はじまりぷしゅ」と「エンドロールぷしゅ」の2曲を歌唱している。『シナぷしゅ』は2020年からテレビ東京系列で民放初の赤ちゃん向け番組としてレギュラー放送中。劇場版は0歳から楽しめる“はじめての体験”というコンセプトで、『シナぷしゅ』の新たな魅力が詰まった作品になっている。chelmicoは『シナぷしゅ』の“つきうた”(月ごとの新しいテーマ曲)、「あべこべ」で参加。その縁から主題歌を担当することになったという。今回のインタビューでは、chelmicoが思う『シナぷしゅ』の魅力から、主題歌の制作背景、そして、2人が挑戦したいことについて話を聞いた。(取材・撮影=村上順一)

全部歌い直した「はじまりぷしゅ」

村上順一

Rachel

――映画『シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺにゅうワールド』を観て、いかがでした?

Rachel 愛しすぎて泣きました。でも、楽しくて笑っちゃったり。普段はいろんなキャラが混ざることなく個別で存在してるんですけど、映画ではいろんなキャラたちが一堂に会して、ぷしゅぷしゅと一緒に触れ合うと言いますか、色んな星を旅して、そのキャラたちと初共演したという印象があります。

――劇場版の見どころは?

Mamiko こんなにもぷしゅぷしゅの感情が見えたのは初めてで、そこは見どころだと思いました。

Rachel ぷしゅぷしゅはミステリアスで基本真顔なんですけど、これ食べたい、悲しいとか、そういった感情を出したところを、ほとんど見たことがなかったんです。

――主題歌に決まった時の心境は?

Rachel 「やったー!」と大喜びでした。私たち『シナぷしゅ』が大好きで、「つきうたをやりたい」とSNSで呟いたら「やりませんか?」とお話をいただきました。そのご縁が今も続いていて、今回私たちに主題歌を任せていただけたのも信頼を感じたので、「絶対やります!」とお返事させていただきました。

Mamiko プレッシャーもあったんですけど、やりたい気持ちが先走って「やります!」とお返事して、気づいたら曲を作ってました。

――Rachelさんがお子さんと一緒に『シナぷしゅ』を観ていたことがきっかけで好きになった?

Rachel 私はMamikoに教えてもらったんです。元々はアレンジをしてくれたryo takahashi君が友達で、「面白い番組があるよ」とMamikoに教えてくれたのが最初だよね?

Mamiko そうそう。「この曲めっちゃいいんだよ」と教えてもらって、それが聴いたことがある曲だったんです。

Rachel ちょうど私も子どもがお腹の中にいたので、タイミングも相まってすごいハマっちゃいました。いろんなアーティストさんを起用されていて、「この人もやってるんだ!」という驚きもありましたし、のめり込んで聴いてました。

――どなたに驚いたんですか。

Rachel 東郷清丸さんやZOMBIE-CHANGさんです。私たちと近しい関係といいますか、特にZOMBIE-CHANGさんは何回か一緒にライブをした仲だったので、「え、『シナぷしゅ』やってたんだ」という驚きがありました。

――赤ちゃん向けといいながらも、大人にも刺さる曲だと思います。お2人はどんなところに要因があると思いますか。

Rachel つきうたの「あべこべ」を作る時に、「大人のことは無視して、子どもに向けて作ってください」というリクエストがありました。言葉もまだわからない子どもに楽しんでもらえるために、自分たちも楽しんで作ろうと思いました。先入観がない子どもが聴いて楽しめるものって、絶対大人も楽しめるんですよね。考えすぎずにピュアな気持ちで楽しめるから、そういった部分が大人にも刺さるのかなと思いました。

Mamiko ぷしゅぷしゅがすごくピュアだから、「お団子おいしい」とか、そういったシンプルな感情でいいんだみたいな。毎日の生活を見つめ直せるきっかけと言いますか、忙しい中でもこういう気持ちを忘れてはいけないなと思いました。

――「はじまりぷしゅ」ではどんなところに注目してもらえたら嬉しいですか。

Mamiko もともとあった曲でchelmico用に合わせ低いキーにしたんですけど、レコーディングの時に、『シナぷしゅ』のキャラクターデザインなども担当されている監督の清水(貴栄)さんから、「華やかな始まり感を出したい」というリクエストをいただいたので、私たちも子どもの気持ちに戻って歌ってみました。それが伝わったら嬉しいです。

村上順一

Mamiko

――レコーディングで印象的だったことは?

Mamiko 「はじまりぷしゅ」は伸びやかに歌うという方向性になったので、ピッチを気にしないで歌ったことが楽しかったです。とにかく楽しく歌うということだけを意識してました。

Rachel 「はじまりぷしゅ」は一度録り終えたんですけど、そのあと全部歌い直したんです。清水さんが録り終えたその場で映像に合わせてくださったのですが、「もっとできる気がする」と仰って。それで、もう一度2人でのびのびと歌ってみたテイクが採用されました。それまでレコーディングしたテイクは全く使っていなくて、こういうことは今までなかったので新鮮でした。

――「おわりぷしゅ」を展開させた「エンドロールぷしゅ」は、『シナぷしゅ』プロデューサーの飯田(佳奈子)さんと歌詞が共作になっていますけど、どのようなやり取りが?

Rachel 元々「おわりぷしゅ」であった歌詞に、ラップの部分を入れてみようということで、そのパートを新たに書きました。そうしたら飯田さんから「すごくいいですね」と言っていただけて。

――どんなことを意識して、ラップパートは作りましたか。

Mamico 元の歌詞がすごく良かったので、それを壊さないようにというのは意識してました。

Rachel 元の歌詞ではあえて言ってない部分が「はじまりぷしゅ」、「おわりぷしゅ」にもあると感じて、その言ってない部分を補助する、トッピングになるような気持ちを込めてラップパートは書きました。そうしたら飯田さんは「これは全員に刺さります!」とすごく褒めてくださって。

Mamico この世にある曲の中で一番いいって(笑)。

Rachel 音楽をやってきた中で1番褒められたんじゃないか、といっても過言じゃないくらいベタ褒めしてくださいました(笑)。私たちとしては、曲の世界観を壊さずに作れて本当によかったです。

――「エンドロールぷしゅ」のレコーディングはいかがでした?

Mamiko 普段の私たちはもっとクールだったり、低めのキーでラップをしてるんですけど、この曲は“笑顔あふれるご近所のお姉さん感”を意識しました。もし子どもたちが聴いて歌詞が入ってこなかったとしても、乗りやすいようにというイメージで声も明るくして臨みました。

――どんなことを思いながら歌詞は紡いでいったのでしょうか。

Rachel 中盤では冒険するようなイメージを挟んで、最初は子ども目線で書いてみて、後半はその子どもを見ている人に入れ変わる。だんだん視点が移り変わっていくという流れを作りたいと思いながら歌詞を考えていきました。

――「エンドロールぷしゅ」の歌詞に出てくる<あべこべ>はもちろん...。

Rachel 「エンドロールぷしゅ」のラップは早口だから入れてもバレないかなと思ったんです(笑)。この<あべこべ>に関してはヒントと言いますか、『シナぷしゅ』を通してchelmicoのことをなんとなく知ってるという方も劇場に来られると思うので、そういう方にも<あべこべ>というフレーズを聴いて「この声、聞いたことある!」そういった発見に繋がったらいいなと思って、仕込んでみました(笑)。

2人がチャレンジしたいこととは?

村上順一

chelmico

――お2人が映画館デビューした時のことは覚えています?

Rachel よく覚えていて『ポケモン』が映画館デビューでした。Mamikoはどうかしら?

Mamiko 私は『クレヨンしんちゃん』だったと思います。 

――初めての映画館、どんな思い出が残っていますか。

Mamiko たしか幼稚園くらいだったと思うのですが、大きい画面で観れて、ジュースやお菓子も食べられるし、すごく楽しい施設だと思いました。

Rachel 私は最初ちょっと怖かった。暗闇の中で大きな音がドーンみたいな(笑)。でも、すぐにのめり込みました。祖母に連れていってもらったんですけど、あの時に観たストーリーとかすごく覚えています。

――『シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺにゅうワールド』が公開される劇場は真っ暗にならないんですよね。

Rachel そうなんです。当時の私のような子どもでも安心して、映画を観れるんじゃないかなと思っています。

Mamiko みんなが映画を観てるところを、私たちも見てみたいよね。

Rachel 見たい! 泣いて笑って、入場者プレゼントの“ぷしゅぷしゅタンバリン”を鳴らして、みんなでワイワイしたい!

――さて、お2人が新しく始めたい、チャレンジしたいことってありますか。

Rachel 海外でライブがしたいです。新型コロナも徐々に落ち着いてきて、海外に出ている人もいるので、私たちもその波に乗りたいです(笑)。chelmicoはまだ海外でライブをしたことがないので、緊張もしますけどチャレンジしたいことの一つです。

――ちなみにライブ前は緊張されますか?

Mamiko すごく緊張します。

Rachel けっこうピリピリしているよね。私はけっこう緊張して、逆に話しちゃうタイプなんですけど(笑)。

Mamiko 私はRachelとは逆に黙っちゃいます。

――Mamikoさんがチャレンジしたいことは?

Mamiko キックボクシングをやりたいです! 以前から興味あって、運動しなきゃという気持ちと、キックボクシングならストレス発散にもなりそうなので楽しそうだなと思いました。

――そういえば先ほどのスチール撮影の時もファイティングポーズとられていましたよね。

Mamiko そういえばやってた! 無意識でした(笑)。

――気持ちが出てしまいましたね。キックボクシングをやりながら、海外ツアーもできたらいいですね。

Mamiko まず体力をつけて、海外ツアーをやって、遠征先でキックボクシングもやって...。

Rachel ですので、目標は『ワールド・キックボクシングツアー』です。

――(笑)。chelmicoファンの皆さんにメッセージを送るとしたら、どんな言葉を伝えたいですか。

Mamiko 健康第一です!

Rachel 健康の重要さに気づけないと、スタートラインにも立ててないよということを、声を大にして伝えたいです!

――健康、本当に重要なことです。最後に『シナぷしゅ』のファンの方にメッセージをお願いします。

Rachel 騒いでもオッケー、泣いてもオッケー、寝てもオッケーと何をしても大丈夫な空間なので、ドキドキしながら一緒に『シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺにゅうワールド』を楽しみましょう!

Mamiko みんなにとっていい映画館デビューになりますように。

(おわり)

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村上順一
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