INTERVIEW

長谷川ミラ


記者:村上順一

写真:村上順一

掲載:22年11月16日

読了時間:約8分

 モデルとしてだけではなく新世代を担うオピニオンリーダーとして活躍している長谷川ミラ。8月に次世代を担う「30才未満の30人」を選出する『Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2022』のエンターテインメント部門の受賞者として選ばれた。長谷川ミラは、2017年よりAllサステナブルブランド「JAMESIE(※現在は、JAM APPAREL)」を立ち上げ、デジタルマーケティング事業等を展開する「jam」のCEOも務める。イギリスに留学し、名門セントラルセントマーチンズに入学し、その時に感じた環境問題などについてSNS、ラジオ、ポッドキャスト、YouTubeなど様々なメディアを通じて発信している。いま彼女がどんなことを考えているのか、どんな未来の理想を思い描いているのか、そして、その活動の原動力になっているものとは――。

良いルーティンにしていきたい

村上順一

長谷川ミラ

――2022年も残り約1カ月半、今年を振り返るとどんな1年でした?

 『Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2022』を受賞できた事はすごく大きな出来事で印象的でした。いま取材していただいているこの「Um cafe」をオープンしたのは今年の3月だったので、色んなことがあった1年だったと感じています。「Um cafe」は、コミュニティスペースとして作った場所なのですが、何年か前から蒔いていた種の芽が出てきたのかなと思っています。(※「Um cafe」は、サステナビリティや社会問題などに興味があるZ世代のメンバーで運営されるコミュニティカフェ)

――改めて『Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2022』を受賞したことは、ご自身にとってどんな意味を持ちました?

 20歳の時に「“UNDER 30”に25歳までに選ばれる」という目標を立てていたので、それを達成できて驚きました。モデルのお仕事をしていると、今やっているような活動で評価をいただけることが少ないので、賞をいただけて本当に嬉しかったです。私の職業は10やって1戻ってこないものだと思っていましたし、明確な目標を達成できたのも初めてだったので、この成功体験はさらなるやりがいに繋がりました。一つ達成できたので、次は何を目標にしようか迷ってます。プレッシャーもありますが、この体験を良いルーティンにしていきたいなと思います。

――SDGsなどの環境問題に興味を持ったのもイギリス留学がきっかけだったみたいですね。

 はい。私は「社会問題×ファッション」をテーマにやってきたので、ファッションの本場で見たエンターテインメントというのは価値のあるものでした。ファッションには楽しさや美しさがありますが、その背景には犠牲もあります。

――ファッション一つとっても海外と日本では捉え方が違うと感じる部分も?

 そうですね。芸術に対する学問としての評価は海外の方が高い気がします。美術もお絵描きではなく、一つの学問として評価されています。それは学生時代にも違いを感じていて、社会問題に対するリテラシーをすごく感じました。ファッションの裏側と言いますか、どれだけ環境負荷があるのかというのも、知っている人が多いんです。

 「グリーンウォッシュ」という言葉があって、欧米ではそれを謳っていながらもしっかりやっていない企業もあるのですが、日本だと「グリーンウォッシュ」どころか、そもそもSDGsなどの社会問題に対して何も取り組んでいない企業もまだまだ多いです。とはいえ環境保全につながることをやらないと、社会的に取り残されてしまうというのが、日本でも浸透してきていると思うので、表面的なSDGsではなく、本質的にやっていくフェーズにこれから入っていくんじゃないかなと思っています。

――ミラさんがいま一番力を入れていることは?

 去年は色んな発信をしてしまったがために、自分の活動ができていなかったという反省がありました。インプット作業ができていなかったんです。それもあって、インプットのために自ら取材に行くようになりました。今年もポーランドとウクライナの国境に行きましたし、実際に自分の目で見たことを伝えたいなと思っています。

――ジャーナリストですね。

 おこがましいのですが、やっぱりフェイクニュースも多いなと感じています。私のフォロワーさんの中にはニュースをあまり見ない方もいるのですが、私を一つの基準にしてくださる方がいるんです。

――発信者として正確な情報を伝えたいというところがあって。

 はい。私はいくつかのニュースを精査して、それを発信しているのですが、それでもフェイクが混ざってしまうこともあると思うんです。それを少なくするためには自分が見たものを発信すればいいと思いました。そこがいま一番力をいれているところです。

――他に発信したいことも?

 日本の伝統文化を発信したいと思っています。ヨーロッパの方は自分の国の文化や工芸品に対してリスペクトがあると感じています。カッコイイ映像と共に若い世代に日本のことをもっと知ってもらいたいという想いからなんです。そんな私も海外に目を向け過ぎていたので、日本文化を深く語れるかといったらまだまだなんですけど。

――色々変化してきた部分もあるんですね。

 私は『TOKYO YOUNG BOSS』というポッドキャスト番組をやっているのですが、最近、一人語りの発信に面白みがないなと感じてきました。社会問題というのは一方通行ではなくて、色んな正解、正論があると思ったので、一人ではなく誰かと一緒に議論している様子を発信して、こういう感じで友達と話せば良いんだ、とか思ってもらえたらいいなって。

 あと、これまでは敢えて偏った意見は言ってこなかったんですけど、私の個人的な意見を聞きたいと思ってくれている方が多いと知って、ポッドキャストでは個人的な意見を話したりしています。普通、コメンテーターはバランスの取れたコメントをしないと炎上してしまう傾向にあるのですが、発信するメディアによって私は変えています。色んな人の意見を加味して発信することも大事なのですが、一個人の私がそれをする必要があるのかと思い、自分が考えていることも素直に話したいと思いました。

不安な将来からくるモチベーションも

村上順一

長谷川ミラ

――最近は切り取り記事も多く見られますが、それによって間違った認識をしてしまう方も多いと感じています。そこに関してはいかがですか。

 切り取り記事は読みやすいので、多くの人がニュースを見るようになった反面、危険な部分もありますよね。メディアリテラシーがまだまだ日本は低いなと感じていて、リテラシーが高い人は一社の記事しかみないとか、そんな危険なことはしないんです。父親の世代は新聞をいくつも読んでいたと思うんですけど、時代が変わってもそこは変わらないと思っていて、色んな情報を取り入れて発信すべきだと思います。

――多角的に見なければ真実は見えてこないですよね。

 そうなんです。よく取材でどのSDGsに注目しているのか、どの社会問題に注目しているのかと聞かれるのですが、LGBTや貧富の差など全てが大事なんです。私の活動はリテラシーのレベルアップを狙っているので、何か一つではなく、まずはニュース自体に興味を持ってもらいたいという思いがあります。そこから色々気づきがあって、それを話す場所がないとなった時に、この「Um cafe」がそういう場所になればいいなと思って。

 社会問題に対して意見のある子たちが“意識高い系”みたいな感じでまとめられてしまったり、親世代に話しても話が合わない。それによって行き場のないと感じている子もいるんです。ここに来ればイベントも毎週土曜日にやっているので、同じような意識を持った子たちと、ディベートまではいかなくても、お互いを尊重しながら話し合ってもらえると思っています。意見が全く違ってもコミュニケーションは本来できるはずなので、その練習の場としても成功体験が生まれたらいいなって。こういったコミュニティはこれからも作っていきたいです。

――最後に精力的に活動する原動力はどこにありますか。

 フォロワーさんの声だったり、カフェに来てくださる皆さんから「留学できました」とか、「◯◯を始めました」といった声が届くと、この活動をやっていて良かったなと思います。その声が自分のモチベーションにもなっているんです。一見、私のやっていることは多くの人たちを変えなければいけないと思われがちなのですが、3%の人が動くと社会は変わる。そういう法則があるので、地道にフォロワーさん一人ひとりをポジティブな方向に持っていければと思っています。

 あとはヨーロッパや日本もそうなんですけど、将来が不安過ぎて...。逆にそういった不安な将来からくるモチベーションもあります。それを払拭してくれるのがフォロワーさんの声や行動なので、全ては繋がっていると思います。

(おわり)

プロフィール

長谷川ミラ モデル

1997年7月7日生まれ。南アフリカと日本のミックス。モデル。TVや雑誌での活動をはじめ、
J-WAVEの番組「START LINE」ではナビゲーターを務めている。
イギリスの名門美大セントラル・セント・マーチンズ大学での経験を活かし、
社会問題などを自由に発信し"私"を表現する、新世代を担うオピニオンリーダー。
ビジネス誌「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2022」受賞。
@jenmilaa

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