Creepy Nutsが22日、『Ginza Sony Park presents 「Creepy Nuts」Special Live』をYouTube Liveで無料生配信した。ソニーグループとして初めての試みとなる先端映像技術「バーチャルプロダクション」を活用した”実験的”音楽ライブ配信イベントで、Creepy Nutsは「よふかしのうた」、「のびしろ」など、計4曲を披露した。現実の物理世界とバーチャルの世界を行き来する実験的なエンターテインメントライブショーとなった。

 Creepy Nuts は、2017年にSony Musicよりメジャーデビューした、MCバトル日本3連覇のラッパー・R-指定とDJバトル世界一のDJであり、トラックメイカーとして活躍するDJ 松永による1MC1DJのHIPHOPユニットだ。

 今回、Creepy Nutsが使用したバーチャルプロダクションとは、大型LEDディスプレイ、カメラトラッキングシステムを組み合わせた撮影手法のひとつ。中でもIn-Camera VFXは、3DCGを中心としたバーチャル背景を大型ディスプレイに表示し、リアル タイムエンジンと連動させながら現実空間にあるオブジェクトや人物をカメラで撮影することで、後処理なくCGと実写を組みあわせた映像制作を実現するというもの。(※資料より抜粋)

 会場となった「清澄白河BASE」は、先端技術で新たな表現手法を追求することを目指す場所だ。カメラを乗せた大型のクレーンが存在感を放つなか、多くのスタッフや関係者が、これから始まる新たな試みに集中している。

(C)Ginza Sony Park Project

 まもなく配信がスタートするスタジオに、Creepy Nutsの2人が登場。緊張感がスタジオに走る。設置された大型スクリーンには、どこかの駐車場の景色が投影されている。このあと、この景色がCreepy Nutsから、『Creepy Nuts のオールナイトニッポン』でよく訪れる、ニッポン放送の駐車場だと明かされるわけだが、何とも2人らしいシュールな選択だ。

 今月リリースされたニューアルバム『アンサンブル・プレイ』に収録されている「2way nice guy」でライブがスタートすると、リアルにその場所にいるのではないか、と錯覚するような光景がモニター上に広がる。現場では背景のみしか投影されていないが、画面には新たにCGが加わり、より臨場感を感じさせてくれる仕上がり。

 立て続けに「堕天」「よふかしのうた」を披露。Creepy Nutsのパワフルでエキサイティングなパフォーマンスで、楽しませてくれる。新たな挑戦ということもあり、2人も手探り状態だったと話していたが、そんなことは微塵も感じさせない。

(C)Ginza Sony Park Project

 3曲を終え、ラジオ放送局のスタジオのようなセットが組まれると、2人は用意されたデスクに座り、彼らがMCを務める『オールナイトニッポン』を彷彿とさせるトークコーナーへと突入。ここで、今回のバーチャルプロダクションの説明をユーモアを交えながら紹介していく彼らのトークスキルも流石の一言。笑いが絶えない時間が続いた。

 背景も色々変えられるということで、都会のビルが佇む景色、森林や宇宙空間など様々な背景に変更しながら楽しむ2人。DJ松永はその背景に合わせたDJプレイを披露。宇宙空間の背景でのプレイでは、“コスモスクラッチ”と名付け盛り上がる2人。最先端技術を使って大いに楽しんでいたのが印象的だった。

(C)Ginza Sony Park Project

 再びライブパートに戻ると、背景はかちどき橋に転換。そこに複数の巨大なスピーカーが橋を封鎖させるように投影されている。隅田川に掛かるかちどき橋ときたら、パフォーマンスされる曲は「のびしろ」しかないないだろう。かちどき橋が、車のように街の中を移動する演出の中、アグレッシブに歌い上げるR-指定。歌詞とリンクするように東京タワー、スカイツリーも投影され、楽曲との親和性も抜群なパフォーマンスで締め括られた。

(C)Ginza Sony Park Project

 ライブ後のインタビューで先端映像技術「バーチャルプロダクション」の可能性についてDJ松永は、「コロナ禍が開けて配信ライブがスタンダードになる可能性がすごく高いじゃないですか。そんな時に面白い」と語ると、R-指定は「絶対にライブができないような観光名所とかね。それこそ、故人と一緒にコラボとか、もうなくなってしまったライブハウスとかでもできる。いろんな可能性広がります」とアイデアを膨らませる。

 DJ松永は、「その人の発想しだいで、すべてが可能」と語ったこの言葉からも、今回の試みに手応えを感じた事がわかる。まだまだ無限の可能性がある「バーチャルプロダクション」を使用したステージ。ここからさらなる進化を遂げ、我々を驚かせてくれることは間違いないだろう。【取材=村上順一】

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