『ヴェネチア国際映画祭』オリゾンティ・コンペティション部門プレミア上映会に出席した妻夫木聡、石川慶監督、窪田正孝(C)若山和子(C)2022「ある男」製作委員会

 妻夫木聡、窪田正孝、石川慶監督がこのほど、『ヴェネチア国際映画祭』で行われたオリゾンティ・コンペティション部門プレミア上映会に出席した。

 平野啓一郎氏のベストセラー小説『ある男』を石川慶監督が映画化した。同祭オリゾンティ・コンペティション部門で上映された。

 1000人の観客で満席となった会場は、上映終了後5分に及ぶ、鳴りやまない拍手とスタンディングオベーションの熱気に包まれた。

 妻夫木聡、窪田正孝、石川慶監督が観客と一緒に本編を鑑賞した。

 ずっとこの日を待ち望んでいたという妻夫木は「今日はありがとうございます。ここに来られて本当に嬉しいです」と英語で挨拶し場内を沸かせ、脚本を読んだ印象をこう語った。

 妻夫木「自分とは何者かと問い続けながら、役と向き合いました。弁護士という役どころなので、もちろんそういう勉強もしたのですが、今回は特に子供との時間を大事にしました。子供の存在を通して、自分の生きている意味や仕事について鏡のように考えることができました。皆さんにとってこの映画が少しでも人生の道しるべになってくれたら嬉しく思います」

 一方の窪田は感謝を伝えた後に「観てくださる方の余白がなくならないように、情報を与えすぎないように演じました。自分の人生は自分だけのものですし、悔いのない人生を送ることができるように、背中を押してくれる作品だと思います」と述べた。

 「愚行録」(17年)に続き、ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門2度目の登壇となった石川監督は、“アイデンティティ”をなぜ今回のテーマにしようと思ったのかと問われ、こう答えた。

 石川監督「映画を作る時には、個々のアイデンディティをテーマにすることが多いのですが、一人の人間の良い部分も悪い部分も過去も、全部ひっくるめて愛せるのか、憎めるのかということを一度きちんと描いてみたいと思ったのがきっかけです」

 公式行事終了後、妻夫木は映画祭に参加した感想について「映画と人が近いことに、映画への愛を感じた」と語り、窪田も石川監督も観客の反応に手ごたえを感じていた。

 映画『ある男』は11月18日に全国公開される。

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