INTERVIEW

岬あかり

「役者=生きる」離れて気づいた芝居の魅力:ドラマ「ロマンス暴風域」


記者:村上順一

写真:村上順一

掲載:22年08月01日

読了時間:約9分

 女優の岬あかりが、7月5日よりMBS/TBSドラマイズムでスタートした渡辺大知主演ドラマ『ロマンス暴風域』に出演。渡辺大知演じる民生と美術学校で出会い、民生の恋愛感情を揺さぶる辻(4話から登場)を演じる。『ロマンス暴風域』は鳥飼茜氏が原作のアラサー男性と風俗嬢の運命の恋とその後を描いた衝撃作。

 岬あかりは2001年、2歳で子役事務所に所属し様々なTV・広告に出演。子役としては9歳の頃にNHK「七瀬ふたたび」(2008年)七瀬少女時代役、10歳の頃にTBS日曜劇場「JIN仁」(2009年)禿役、12歳の頃にはEXドラマ『「ハガネの女」Season12』由井南美役など様々なテレビドラマで活躍。

 13歳から学業に専念するため女優を辞め、その後大学へ進学。その後、再び事務所に在籍しフリーを経て、2022年6月「レプロ30周年記念 主役オーディション」で多数の応募者の中から合格を勝ち取った。インタビューでは、芸名を改め女優として新たなスタートを切った岬あかりの素顔に迫るとともに、辻をどのように捉えアプローチしたのか、「役者=生きる」ことだと語る岬あかりに話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

女優・岬あかりとは?

村上順一

岬あかり

――新たな芸名で活動をスタートされましたが、どのような想いをこの名前に込めたのでしょうか。

 本名に岬という字が入っているんですけど、両親が“灯台のようにみんなを照らせる人になって欲しい”という想いを込めて付けてくれました。それもあって今回新たに名前を考える時に照らすイメージがあるものにしたいと思い、マネージャーさんと相談して岬あかりに決めました。

――岬さんは子役として活躍されていて、13歳の時に学業に専念したいと役者から距離をとりました。戻ってくるまでにどのような気持ちの変化があったのでしょうか。

 私は物心がついた時にはこのお仕事をしていました。幼かったので自発的にやっていたというよりは、やらなければいけないものだと生きてきたんです。昔はオーディションに行きたくなくて、大泣きしたこともありました(笑)。中学に入るタイミングで他の経験もしてみたいと思い役者を離れたのですが、離れてから仕事が楽しかった、自分がやりたいことだったんだなと気付きました。

――離れて気づくこともたくさんありますよね。

 はい。あと、当時一緒に出演していた同年代の子たちが売れていく姿を見て、私も俳優をやっぱりやりたいと思いました。その気持ちがあったので大学に進学してからもオーディションを受けていて、今とは違う事務所に所属して活動していました。そこからフリーになって再び事務所に所属して活動を再開できていることがありがたいですし、すごく楽しくやらせていただいています。

――プロフィールを拝見させていただいたのですが、ダンスとピアノが特技なんですね。

 小学生の頃にピアノを6年間やっていたので、昔から特技として書いていました。楽譜を見れば今でもピアノは弾けるのですが、当時のようなスキルは今はないかもしれないです(笑)。私は器用貧乏だと思っていて、ある程度は何となく出来るんですけど、「これが得意!」というものが実はないんです。

――昔の趣味には「一人カラオケ」と書かれていましたが、今は旅行・ホテル巡りと変化されて。

 一人カラオケは今も続けていて、月に何回も行きます!

――ピアノもやられていたので音楽が好きなんですね。

 ピアノを始めたての頃は音痴でしたが、ピアノを始めてから音が掴めるようになってきました。それがすごく楽しくて、中学生くらいから一人カラオケをするようになり、今も楽しんでいます。

――ライフワークなんですね。どんなアーティストの曲を歌われるんですか。

 自分の声に合っていると感じた曲を歌っていて、よく歌うのはあいみょんさん、いきものがかりさん、クリープハイプさんの曲を歌っています。

――旅行が趣味というのはいつ頃から?

 もともと旅行は好きなことではあったのですが、大学生の時にすごく時間があったので色んな場所に行きました。ホテル巡りに関しては、もし役者をやっていなければホテルマンをやりたかった、というくらいホテルがすごく好きなんです。

――ホテルマンの仕事ぶりとか観察してしまう?

 見ちゃいます! このホテルの従業員さん、めちゃくちゃいいなとか(笑)。

一番緊張したのはタバコを吸うシーン

村上順一

岬あかり

――ホテルの従業員の役とか来たら嬉しいですね! さて、ドラマ『ロマンス暴風域』で辻役として出演されますが、いきなりすごい役がきましたね。

 今までやったことがない役で、官能的なシーンも初めての経験でした。出演することに関しては悩まずに、「挑戦してみよう!」という気持ちは最初からありました。でも、出演が決まってからは刺激的な役なので「本当にできるかな...」と、だんだん不安がでてきて、撮影の日もめちゃくちゃ緊張したんです。

――実際演じてみていかがでしたか。

 こういうシーンもお芝居の一環として、素直に楽しいなと思いました。それは、渡辺さんが丁寧にサポートしてくださったのも大きかったです。自分としてはイメージ通りにできたんじゃないかなと思います。まだ完成した映像は観れてないので、観るのがちょっと怖いんです(笑)。

――初めての役柄ということもあって、誰かに相談されたりも?

 相談よりも、官能的なシーンがある映画を沢山観て勉強しました。観ていて気づいたことは、そういったシーンはすごくリアルというよりも綺麗な映像が多いなと感じました。どういった角度、動きならそのシーンが素敵に見えるのかというのは、皆さん練られているんだなと思いました。

――『ロマンス暴風域』のテーマはどう捉えていますか。

 私は人間的なものを感じられる作品がすごく好きなんですけど、原作と脚本を読んでめちゃくちゃ好きなタイプの作品だと思いました。私が演じる辻は作品の中で大事なポイントとなる役でもありますし、プレッシャーや緊張もあったのですが、作品自体に自分自身がすごくのめり込むことができました。

――辻という人物は岬さんにはどう映っているのでしょうか。

 私はちょっと気が強い部分があるんですけど、辻もめちゃくちゃ気が強いんです。そこは私と重なる部分もあったと感じました。ちょっと言い方は悪いかもしれないのですが、人のことを少し見下しているところが辻にはあると思っていて、それも少しわかってしまう自分がいたんです。それは自分のプライドを傷つけないために、自分より劣っているんじゃないかと思い込み、人を見る事で自分を保つ、といった心情があるんじゃないかなと思いました。

――少なからず人が持っている闇の部分ですね。

 はい。人間だからそうなってしまうのもわかると言いますか、少なからずみんなにもある部分であって、辻はそれがスゴく強く出てしまっていると思いました。でも決めたことは必ずやるといった芯が強い部分は素敵だなと思い、そいった面も含め私はすごく好きな役柄でした。

――児山隆監督とはどのようなお話をされたのでしょうか。

 お会いする機会は少なかったので、限られた時間しかお話はできなかったのですが、すごく気さくで現場を和ませてくれる方だったので楽しく撮影できました。皆さんで冗談を言い合いながら撮影が進んでいくといった感じでした。

――岬さんは他のキャストさんと一緒になることがないですよね?

 そうなんです。このドラマは渡辺さん演じる“民生の視点”でストーリーが進んでいくので、残念ながら他の方とはほとんど喋ることがなかったんです。

――渡辺さんはどんな方だとお会いしてみて感じましたか。

 私もお芝居がすごく好きなんですけど、渡辺さんもお芝居がすごく好きな方だということが伝わってきました。台本の読み込み方とか、すごく尊敬できる方だなと思いました。

――印象的だったやりとりは?

 撮影の中で私がタバコを吸うシーンがあるのですが、私はタバコを吸ったことがないので、ちゃんとできるかすごく不安でした。その様子を見ていた渡辺さんが、私にタバコの吸い方を教えてくださったんですけど、すごく周りを見て下さっている方だなと思いました。

――本番でタバコを吸うのはバッチリできました?

 それが、タバコになかなか火がつかなくて…。本番ではタバコのシーンが一番緊張したんじゃないかと思うくらい(笑)。それもあってNGを出してしまって申し訳なかったです。

――タバコを吸うシーンは注目ですね! そんな岬さんが役者として一番大切にしていることは何ですか。

 これからも役者をずっとやっていきたいと思っているので、とにかく楽しんでやることを大事にしています。それは、過去を振り返ってもどんな役をやるにもワクワク感があった方が上手くいくことが多かったからです。緊張したりすることもありますが、自分が思うがままに楽しくやっていこうというのが自分のポリシーなんです。

――役者として生きていこうと強く思ったのはいつ頃でしたか。

 ここ2〜3年です。一時期、お芝居だけではなくライブ配信など色んなことをやってみました。ですが、どれも自分の中でしっくりこなかったんです。色んなものがしっくりきていなかった時にもう一度お芝居をやってみたら、「やっぱりこれだ!」と思いました。そこから絶対にお芝居で生きていこうと決めて、いま私の中で、役者=生きるという気持ちが強いんです。

(おわり)

岬あかり プロフィール

1999年1月7日生まれ(23歳)

神奈川県出身
特技:ダンス、ピアノ(6年)、英語(日常会話程度)
趣味:1人カラオケ、旅行、ホテル巡り

2歳(2001年)で子役事務所に所属し様々なTV・広告に出演。
子役としては9歳(2008年)NHK「七瀬ふたたび」七瀬少女時代役、10歳(2009年)TBS日曜劇場「JIN-仁-」禿役、
11歳,12歳(2010年,2011年)ではEXドラマ「ハガネの女」Season1,2由井南美役 など様々なテレビドラマで活躍。
13歳~(2012年~)中学校・高校では学業に専念するため女優を辞め、その後大学へ進学。
20歳(2019年)より前事務所に所属し活動を再開。後にフリーで活動。
2022年6月「レプロ30周年記念 主役オーディション」にて多数の応募者の中から合格。
気持ちを新たに芸名を改め「岬あかり」として、レプロエンタテインメント所属の本格女優として今後の活躍が期待される。

■公式HP

岬あかり

■Instagram

https://www.instagram.com/misaki__akari/

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村上順一
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