広瀬すずと李相日監督

 広瀬すずと李相日監督が15日、都内で映画『流浪の月』トークショーに臨んだ。松坂桃李とのW主演。凪良ゆう氏による同名小説が原作。10歳のとき以来、誘拐事件の“被害者”というレッテルを貼られて生きてきた女性・家内更紗と、その事件の“加害者”としてのレッテルを貼られて生きてきた当時19歳の青年・佐伯文の関係性を描く。

 広瀬が演じる更紗の現在の恋人は、横浜演じる亮。初共演で互いに人見知りの広瀬と横浜の距離を縮めるために李監督は、二人きりで膝枕をさせるなどを講じてきたが、互いの体温や距離感が縮まったと感じられた瞬間は?と聞かれた広瀬はこう答えた。

 「距離は縮まるんですけど知ることができない感じがあって。でも撮影しながら触れ合うことで何も隠すことも遠慮することもなくなった。肌と肌が触れ合う瞬間に私自身が信用できるようになったというか、飛び込めるというか」

 李監督は横浜自身もそれを感じていたのではないかと問うと「それを感じたからこそ余計に信頼できたのかもしれません」と語った。

 対する15年後に偶然再会する、事件の“加害者”文を演じる松坂とは、その前の作品で共演したこともあってすんなり距離を縮められると思ったものの、横浜演じる亮の存在が大きくなり過ぎて、松坂との距離が「遠い」と悩んでいたという。

 「亮君との距離が近くなる中で、文=桃李さんを想うことに対して距離ができてしまい、亮君の事が大きくなり過ぎて気持ちの切り替えが難しかった」と告白。文とのシーンは後半からで、撮影現場で松坂とは朝の挨拶と出る時以外は喋らず、スタンバイも別々の所にいた状態で、再会のシーンを迎えたという。

 「声を聞くこと自体が肌に染みてきて」という広瀬に、李監督は「それは文と更紗の関係性に似ているというか、会話を交わすまでの緊張感が大事だから」とすると、「それを桃李さんが大事にしていたことを現場ですごく感じた」という広瀬は「文の所に行くまでは喋らなくて」

 横浜と松坂。その距離が縮まったのは横浜とは肌が触れ合った瞬間だったが、松坂とはどうだったのか。「亮君の所から逃げて文に想いを話すときの温度と目が合った瞬間。会話よりも目が合って、目の前に存在して、という時のような。こっちが止まらなくなるというのが初めてでした」

 また、最後のシーンは「メンタルがズタボロな感じでした」と語る広瀬は、松坂と横浜の熱演ぶりを目の当たりにして焦りと不安がこみ上げてきたとも明かし「このタイミングで李組に参加出来て本当に良かったです。ほかのキャストの方が命を削りながらやっているような姿が刺激的でした」と語った。

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