INTERVIEW

ハシヤスメ・アツコ&リンリン

『BiSH presents PCR is PAiPAi CHiNCHiN ROCK'N'ROLL』隠れ見どころ


記者:村上順一

写真:木村武雄

掲載:22年06月13日

読了時間:約8分

 “楽器を持たないパンクバンド”BiSHが、映画『BiSH presents PCR is PAiPAi CHiNCHiN ROCK'N'ROLL』で自身初の主演オムニバスに挑戦した。メンバーひとりひとりが6人の監督とそれぞれタッグを組み、それぞれが愛を込めて全力で主演を務めた。映画界からは数多くの名作を残し続ける名匠・行定勲、MV界からこれまでBiSHの多くの作品を手掛けてきた田辺秀伸、大喜多正毅、エリザベス宮地、山田健人、そしてWACK代表でもある渡辺淳之介が自らメガホンを取った。ドラマ作品からアート作品まで、六人六色で魅せるBiSHの新しい一面を詰め込んだ異色作品だ。うちハシヤスメ・アツコは、鬱屈した日々を送るOLがある日社内のエレベーターで奇妙な時空のループにはまりながらも過去の自分をぶち抜く姿を描いた『レコンキスタ』(大喜多正毅監督)、リンリンは人間の感情を圧倒的な映像美と音楽、そしてコンテンポラリーダンスで魅せる異色の『VOMiT』(山田健人監督)で主演を務めた。そんな2人に本作に込めた思い、そして、解散を控えた今の心境、活動の原動力を聞いた。【取材=村上順一/撮影=木村武雄】

「私、何もしゃべれないと思います」(リンリン)

――映画出演が決まった時はどのような心境でしたか。

ハシヤスメ・アツコ 映画をやらせていただけるんだ、とビックリしました。音楽活動をずっとメインにBiSHでやってきたので。その中で演技という、新たな挑戦をこのタイミングでやらせてもらえるというのは衝撃でした。

リンリン BiSHはライブ中にコントをやるんですけど、少ないセリフを覚えるだけでもすごい緊張しちゃうので、今回、演技をやると聞いた時は拒否反応が出てしまって、正直怖かったです。山田監督に「私、何もしゃべれないと思います」と言い張ってしまいました。

ハシヤスメ・アツコ 演技はそこまでチャレンジしたことがないですし、それこそ映画というのも初めてだったので。映画のルールもわからないですし、本当に映画の絵が自分で持つのか、ちょっと怖いなというのもありました。

――苦労されたところもたくさんあったと思うんですけど、大変だったところは?

ハシヤスメ・アツコ (『レコンキスタ』の)撮影中は感情が激しい感じになってしまって、それこそ怒ったりすることがBiSHにいるときはあまりなくて。作品の中で感情的になるシーンが多かったり、ハシヤスメ・アツコの奥底に眠っていたもの、隠しておいたものを呼び起こすことに、けっこう苦労しました。ピークに持っていく、叫んだり怒り狂うというのが大変でした。例えば過去にすごいムカついたと思った部分を忘れてたりとか隠してたことがすごく多かったので、それを呼び起こして。いつもはポジティブモードなんですけど、ネガティブな負の感情を出すように頑張りました。

ハシヤスメ・アツコ

――リンリンさんが撮影で大変だったところは?

リンリン コンテンポラリーダンスは初めてだったので大変でした。私はBiSHのメンバーとしか踊ったことがなかったんですけど、映画ではプロ集団に混ざってダンスをするシーンがたくさんありました。その中でダンスの先生から「自由に踊って。正解はないよ」という優しい言葉をいただいたので、撮影では自分の想像上で今ここに何か見えると思ったら、それに手を伸ばしてみるような振り付けをやってみたり、その場で自分で考えてやるというのも初めての挑戦でした。

――今回の作品もそれぞれの作品で隠れ見どころはありますか。

リンリン 私の出演した作品は『VOMiT』というタイトルなんですけど、私が前に作詞した「VOMiT SONG」という曲があって、その歌詞がセットのどこかに散りばめられていたりとか、BiSHの他の楽曲をイメージできるようなセットがたまに出てくるので、清掃員(ファンの呼称)さんならではの楽しめるところかなと思います。

――ハシヤスメさんはいかがですか。

ハシヤスメ・アツコ 自分ができなかったものができたと思っていて、自分がBiSHを始める前になりたかった職業があったんですけど、それを作品の中でやらせてもらうことができたので、そこが見どころだと思います。

リンリン

セリフがなくてもずっと見られる

――お互いの作品を見られていかがでした?

リンリン ハシヤスメはBiSHでコントをやっている面白いイメージが強かったので、演技にのめりこんで、怒りとか感情的な部分を見たのは初めてで、それがすごく意外で面白かったです。最初はスマホで観た後に、映画館の試写室で観たんですけど、スマホで観ていたのとは全然迫力が違って、ハシヤスメの演技から出てくる圧みたいなのが、より一層すごかったので、ぜひ映画館で観てほしいなと思いました。

ハシヤスメ・アツコ 「こんなリンリン見たことない」というシーンが沢山ありました。しゃべるところがないのも、それもまたリンリンらしいなと思いましたし、「こんなに踊れるんだ!」と、すごく格好いいなと思いました。リンリンの洋服の綺麗さや動き、ちょっと華奢だけど可憐な部分があったりとか、リンリンの良い部分が映画の20分間にギュッっと濃縮されていて、セリフがなくてもずっと見られるなと思いました。

――他のメンバーの作品はいかがでした?

リンリン どの作品も面白かったんですけど、モモコ(・グミカンパニー)さんの『PEACH CHAOS PEACH』が特にお気に入りで、モモコさんにしかできないなって。モモコさんは左利きなんですけど、いい意味でモモコさんにしかできない動きがたくさん演技の中に入っています。私にはできないことを沢山していたし、すごい挑戦をしてたので面白かったです。

ハシヤスメ・アツコ 正直、一番は付け難いです。自分も映画を全部観終わった後に「誰が良かったかな? どれが好みだったかな?」と考えたんですけど、それぞれいろんな色があって、みんな良くて。でも、その中で敢えて挙げるならアユニ(・D)の作品は私の中で印象的でした。「続きが見たい」と思える物語で、アユニがここまで演技ができるとも思っていなかったので感動しました。

ハシヤスメ・アツコ

――今回この映画が完成してみて、新たな発見、気づきはありましたか。

ハシヤスメ・アツコ 大げさにやってもいいんだと思いました。自分の中で120%で映画に臨ませていただいたんですけど、作品を観終わった後に「まだできたな」と。もっと大げさにやってもいいんだ、それはBiSHでも踊りや歌でも何か通ずるものがあるというのを学びました。

――リンリンさんはどんな気づきがありましたか。

リンリン 私は自分のダンスを見て、今だったらもっとキレイにできたかもしれない、と思う部分もあったのですが、当時の完璧にうまくできなかったダンスが逆に奇妙な感じにも見えて、その時の作品と自分というのがどんどん変化していく、また全然違うものになって。その時その時を楽しむのも面白いなと感じました。

リンリン

BiSHの活動が日常になってる(ハシヤスメ・アツコ)

――BiSHは解散が決まっていますが、お2人にとってBiSHは今どんな存在ですか。

ハシヤスメ・アツコ 私は、BiSHはいま日常だなと思っていて、逆にお休みのときが非日常なんじゃないか、と思うぐらい生活の中心にある感じがしています。逆に清掃員はBiSHに会うことは非日常かもしれないけど、自分は今これが日常になってるなと思って。(BiSHが)ないと困るし、あって当然だと思っています。

――解散のお話を初めて聞いたときは、「BiSHはずっと続くものだと思ってた」とお話してました。

ハシヤスメ・アツコ もうおばあちゃんになるまでやるんだろうな、と思っていたんですけど、改めて渡辺淳之介という人の歴史を見たときに、何かふと渡辺さんってこういう人だったなとか、忘れたものをハッと気付かされたような気がして。そこから(解散が)腑に落ちたというか、受け入れることができました。

――モモコさんは「終わりがあるから、より強く輝ける」ということをおっしゃっていたのですが、そう思う部分もありますか。

ハシヤスメ・アツコ きっと振り返ったときも輝いてるし、きっと今この瞬間も輝いてるし、永遠に輝き続けられるようにしたいです。

ハシヤスメ・アツコ

――リンリンさんにとってのBiSHとは?

リンリン BiSHが終わった後に、こんな子だったなとか、これ食べたことあるなとか、何かを思い出すにしても、全部BiSHにいた時のことを思い返すんだろうな、というぐらい。BiSHの出来事ってすごい大事な思い出になっています。渡辺さんが解散のお話をしてきたときに「終わりが見えた方が、みんな同じところに向かって最後まで突っ走れるんじゃない?」と言ってくれました。今もその気持ちがすごい強くて、清掃員に会う時も、いまはお互いが心を許しあえる存在になったので、残りのBiSH人生を良い思い出にして、清掃員の中でずっと生き続けられるように頑張りたいと思っています。

リンリン

――最後に、お2人が今これがあるから頑張れるっていうものはありますか。

ハシヤスメ・アツコ 原動力になっているのはミルクティーです。最近、おいしいミルクティーを発見して、箱買いしました。家に帰ったらそのミルクティーが待ってる、と思ったら頑張れます。

――リンリンさんは?

リンリン お絵かきが好きなので、ちょっとでも時間があったら、メモ帳に何か描いています。絵を描くのがすごく息抜きになっていて楽しいです。

――どんな絵を描かれているんですか?

リンリン イメージしたものを具現化するのが好きで、人との会話で思いついた空想のものとか、こんなものが本当にあったら変だなと思うものを描いてます。

リンリン、ハシヤスメ・アツコ

(おわり)

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