シンガーソングライターのセイレム・イリース(salem ilese)がTikTokをきっかけに注目を集めている。楽曲「Mad at Disney」が世界中でブレイクし、TOMORROW X TOGETHERとのコラボでも大きな話題に。そして、セイレムは『SUMMER SONIC 2022』出演で初来日を果たす。セイレム・イリースとはどんなアーティストなのか。

セイレム・イリースとは?

 セイレム・イリースは、カリフォルニア生まれで2022年現在22歳のポップシンガーソングライター。4歳の頃からぬいぐるみや好きな人について歌を歌い始め、9歳の頃に作曲の授業を受け始める。

 小さい頃から音楽にはまりだし、両親が聴いていたザ・ビートルズやデヴィッド・ボウイなどに親しみ影響を受けたという。また、お気に入りのアーティストとしては、ロード、Alexander 23、ザ・キラーズ、ノラ・ジョーンズ、Sasha Sloan、Alec Benjaminなども挙げている。セイレムは、バークリー音楽学校に2年通い、作詞作曲、パフォーマンス、制作について学び退学し、現在はロサンゼルス在住。

 そして、LAに越してきた当初書いた曲の「Mad at Disney」がTikTokをきっかけに世界中でブレイク。ストリーミング総再生回数が2億を超えるヒット曲になった。

 2021年には EP『(L)only Child』リリースの他、アラン・ウォーカー、サーフェシズ等とのコラボ作の発表や、ベラ・ポーチの「Build A Bitch」やTOMORROW X TOGETHERの「Anti-Romantic」の楽曲制作などを手掛けてきた。さらに2022年2月には、TOMORROW X TOGETHER とアラン・ウォーカーとコラボした「PS5」も収録のEP『UNSPONSORED CONTENT』をリリースと、精力的な活動を見せる。

TOMORROW X TOGETHER とのコラボはどう実現した?

 EP『Unsponsored Content』収録の「PS5」は1年以上前に、セイレムのボーイフレンドとルームメイトがゲームマニアであることに対して書いた曲。3人でLAに引っ越しするや否や、2人はゲーム機のPlayStationを購入し、セイレムは2人の注意を引き付けるのに苦労し、「私とPS5、どっちを取るの?」という表現が浮かんだことから制作し始めたという。

 しかし、セイレムは「どうしても、まだ何か要素が欠けている」と感じていた。そんな中、セイレムが「Fake A Smile」でコラボしたアラン・ウォーカーと、TOMORROW X TOGETHERの2021年にリリースされたアルバム『The Chaos Chapter : FREEZE』に収録された「Anti-Romantic」がセイレムが書いた楽曲だったことをきっかけに、 TOMORROW X TOGETHERにも呼びかけ、それぞれのアイデアと彼ららしさを加えた。楽曲が完成した今では、セイレムは PlayStationにも感謝しているとのことである。

「PS5」ジャケ写

なぜ「Mad at Disney」は TikTok でヒットした?

 「Mad at Disney」の<I'm mad at Disney, Disney>というキャッチーなフレーズと、「星に願いをかけたのに、真実の愛のキスなんて嘘」という歌詞の内容に合わせたミーム(インターネットを通じて人から人へと、通常は模倣として拡がっていく行動・コンセプト・メディア)が、TikTok上で大きく広がり、2020年8月末からストリーミングが急上昇した。その後、日本では「Mad at Disney」の「#ポップコーンデュエット」で、更なるヒットとなった。

 その背景には、「理想と現実の差のもどかしさ」を表現した歌詞の内容が、世界中の若者の共感を呼んだという点が大きいのではないか。

 また、TikTokを駆使するセイレムは、シングルリリース前にチャレンジ企画を展開し、TikTok上で馴染んでもらうという楽曲プロモーションを展開させた。この点も「Mad at Disney」のヒットの一因と考えられる。

 セイレムはシングルのリリース1カ月前からTikTokで「#openversechallenge(オープンヴァースチャレンジ)でファンが自由に歌詞を乗せられるものを投稿し、リリース前日にはTOMORROW X TOGETHERのメンバー Taehyun(テヒョン)がチャレンジに参加し、「Mad at Disney」が TikTok でヒットしたことは、様々な要素が合致して人々に波及したと見られる。

 楽曲面を考察すると、歌唱面では近年の海外ポップシーンで散見される、「メロディとラップの中間」とも表現できる、旋律と歌のリズムそれぞれのバランスが絶妙に絡みつつ、聴き心地良く耳に届く点が非常に現代的かつポップだ。

 また、EP『Unsponsored Content』収録曲では「Mad at Disney」のほかにも、アラン・ウォーカーとTOMORROW X TOGETHERのコラボ曲「PS5 with TOMORROW X TOGETHER & Alan Walker」ではダンサンブルでクールなサウンドと、フレッシュでゴージャスなボーカルコラボが聴ける。

 そして、楽曲タイトルがユニークな「Hey Siri」、「Coke & Mentos」など、EP収録曲はどれもが2分台という長さながら、エレクトロダンスミュージック、ポップ、アコースティックなど、様々な音楽性の中でセイレムの情感豊かなボーカルが響き渡る。

 「日本に行ったことはないけど、行きたい国リストのトップなの。日本のみんなに是非、会いに行きたい」と、インタビュー(日本独占ジェネリック・インタビュー(2020年)より抜粋)で語るセイレムは、今年開催のサマーソニックで初来日する。

 セイレムのミュージシャンとしてのゴールは、「私の音楽で皆に刺激を与えることと、ポジティブなフィーリングを広めること。意義のある、長いキャリアも築き上げたい」ことだという。TikTokで火がつき、躍進中の彼女がこれからどのようにキャリアを積み、どんなフィーリングの音楽でさらなる飛躍を見せるか、多大な期待が寄せられる。【村上順一】

https://virginmusic.lnk.to/salem_UC

この記事の写真

記事タグ 


コメントを書く(ユーザー登録不要)