グローバルなステージでボーダーレスな活躍をし続ける、“N.E.O.-ニュー・エキサイト・オンナバンド“=CHAIが、約2年振りの北米ツアーを完遂した。2月4日~3月17日にはヘッドライン・ツアー<WINK TOGETHER NORTH AMERICA TOUR>を敢行、そして2月17日~3月10日にはUSインディー・シーンを代表するSSW=Mitskiのツアーにオープニング・アクトとして全16公演に参加。その圧倒的パフォーマンスは各地で称賛の嵐を巻き起こし、アメリカ全土を席巻した。

 現地時間2月27日にテキサス州オースティンで、衣装や物販が積まれた荷台トレーラーが盗難被害に遭うというハプニングに見舞われながらも、「私たちはどんなことでも乗り越える!」というCHAIらしい前向きな言葉を発信し、至急現地で新衣装を調達。世界中から集まったクラウドファンディング支援、そして応援の声に、日々感謝のメッセージを発信しながら、3月17日にロサンゼルス/Teragram Ballroomで遂にツアー・ファイナルを迎えた彼女たち。大盛況となった本公演のライヴレポートが到着した。

 『WINK TOGETHER NORTH AMERICA TOUR』の最終公演地となったロサンゼルスは、Spotifyで東京とロンドンに次いで三番目にCHAIのフォロワーが多い都市だ。完売の会場内には、個性的なファッションの若者達からインディーロックが好きそうな大人達まで、様々なファンが集っていた。

 CHAIの名を告げるイントロが流れた後、カラフルなフリンジのついたマント姿の4人が登場。「NO MORE CAKE」の重低音ビートが轟き、ユナがドラムを叩くのと同時に3人が爆発的に踊りながら歌い出すと、一気に目の前がCHAIの“NEOかわいい”世界に一転した。彼女達はビートと共に弾けまくり、場内も大興奮。続く「ACTION」の4人がシンクロするダンスには「カワイイ!」という叫び声が上がり、衣装チェンジ後にメンバーが一人ずつラップしながら自己紹介するセクションでも、一挙一動に歓声が上がった。それから疾走感たっぷりの「クールクールビジョン」、一緒に飛び跳ねずにはいられない「END」で、観客の興奮度がさらに上昇していった。

(撮影=Yoshio Nakaiso)


 ずっと熱狂が続いた驚異的なショウだったが、竹内まりやの「Plastic Love」のカバーを含め、日本語がメインの曲でも同様に盛り上がっていたのが印象的だった。斬新で楽しいCHAIの音楽は、言葉の壁を超越する魅力を有している。いやむしろ、その壁を独自の魅力に変えたところが、彼女達の凄さなのだと思う。

 Mndsgnがサプライズで飛び入りした「IN PINK(feat. Mndsgn)」に続けて、「このツアーは本当に色々あって、私達のトレーラーがなくなってしまったけど、皆さんから沢山の愛と支援を受けました!それがなければ不可能でした。本当にありがとう、すごく愛してます!」とマナがお礼を言い、拍手喝采を浴びて始めたラスト曲は、「Donuts Mind If I Do」。LAに似合うメロウなバンド・サウンドと天に届きそうな美しいボーカルのハーモニーに合わせて観客が手を左右に振り、素敵なハイライトを創出していた。

(撮影=Yoshio Nakaiso)

 アンコールは、オープニング・アクトのSu Lee も4人と一緒にステージに飛び出し、「N.E.O.」で最高潮の盛り上がりを作った。「9月にPrimavera Sound(フェスティバル)出演で戻ってくるからね」との知らせに再び大歓声が上がり、4人の満面の笑顔とオーディエンスの笑顔と共に、幸せなショウは幕を閉じた。私の前にいた学生らしき男性は、「凄く良かった、フェスも見たいぐらいだ」と嬉しそう。実に素晴らしいライヴだった。(文=鈴木美穂)

 ツアー終了翌日の現地時間3月18日には、世界最大規模の複合フェス<SXSW>で米メディア<Jaded>主催のショーケースにヘッドライナーとして登場し、更に話題を呼んだCHAI。4月以降は国内フェスやライヴ出演が続々と発表されており、6月にはオーストラリアの<VIVID FESTIVAL>(シドニー)、<RISING FESTIVAL> (メルボルン)への出演も発表、そして9月には<Primavera Sound 2022>(ロサンゼルス)と<Firefly Music Festival> (デラウェア)への出演が決定済みと、海外での彼女たちへの注目度は高まるばかりだ。

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