浪江女子発組合、それぞれの2年間 1stアルバム『花咲む』への想いを語る
INTERVIEW

浪江女子発組合

それぞれの2年間 1stアルバム『花咲む』への想いを語る


記者:村上順一

撮影:村上順一

掲載:22年02月26日

読了時間:約11分

 浪江女子発組合(JA浪江)が2月23日、1stアルバム『花咲む』をリリース。浪江女子発組合は福島県双葉郡浪江町を中心に“浪江発の風に乗せて、あなたに届きますように”をキャッチフレーズに掲げ活動をしている。グループは2019年11月24日に浪江町で開催された「復興なみえ町十日市祭」で誕生し、ももいろクローバーZの佐々木彩夏(総合プロデューサー)、AMEFURASSHIの愛来、市川優月、小島はな、鈴木萌花、B.O.L.Tの内藤るな、高井千帆と、2021年7月18日に開催された浪江女子発組合 出張公演「297kmのうた」より加入した播磨かなの8人組。1stアルバム『花咲む』はデジタルリリースされた「なみえのわ」などに加えアルバムリード曲「ハレノヒの足跡」や自己紹介曲「桜梅桃李夢物語」を含む全11曲を収録。インタビューではアルバム『花咲む』が完成しての想いから、2年間の活動で得たことなど、8人に話を聞いた【取材・撮影=村上順一】

それぞれの2年間

――浪江女子発組合としての2年間はいかがでしたか。

佐々木彩夏 各々が自身のグループと兼任の活動なので、その大変さというのも感じているんですけど、浪江町の皆さんと触れ合う活動の軸となるライブは定着してきたと思います。ファンの皆さんもこうやって楽しめるんだなと、私たちとの時間の共有の仕方みたいなものを理解してくれている、ということを実感した2年間でした。

村上順一

佐々木彩夏

愛来 JA浪江の活動は初めて経験することが本当に多くて、浪江町を広めようというコンセプトを聞いた時も私にできるかな?と不安なところもありました。でも、活動していくうちに浪江町の皆さんの温かさや皆さんの支えもあって、本当に楽しみながら活動させていただけているという幸せを感じることができた2年間でした。

――一番幸せを感じる瞬間は?

愛来 メンバーの中に浪江町出身者はいないんですけど、ライブで浪江町の皆さんが一緒に手拍子をしてくださったり、「天気がいいね」とか何気ないお話をしてくださる時が一番幸せな瞬間です。

村上順一

愛来

――播磨さんは途中から合流されて。

播磨かな はい。みんなよりも浪江町に訪れた回数は少ないんですけど、JA浪江を応援してくださる皆さんや、メンバーのみんなも温かく迎え入れてくれて、途中加入の私ですが、みんながその感じをなくしてくれて一緒に活動していてすごく楽しいんです。みんなはもう2年間活動しているので、ずうずうしいんですけど、最初から参加していたんじゃないかと思えるくらい馴染ませてもらってます(笑)。

村上順一

播磨かな

――小島さんは?

小島はな コロナ禍であまり活動ができなかった時期もあったのですが、浪江町に行って皆さんとお話ししていると、JA浪江の活動をやっていて本当に良かったなと思います。AMEFURASSHIとJA浪江の活動を兼任していることで、AMEFURASSHIからJA浪江の活動にも興味を持ってもらえたり、その逆もあって。そういうところで繋がっているんだ、という手応えがありました。

村上順一

小島はな

市川優月 この活動をしていなかったら、私はそんなに外に出るようなタイプではなかったので、浪江町がこんなにも楽しいところなんだ、ということを知る機会もなかったと思うんです。それはJA浪江に参加できたからこそ経験できて嬉しいなと思いますし、その浪江町の良さを皆さんと共有できる架け橋になれているというのも嬉しくて。活動を通してもっと浪江町の良さを伝えていけたらと思っています。

――浪江町のどんなところに良さを感じていますか。

市川優月 私が一番印象に残ったのは「なみえ焼そば」で、他の焼きそばと違ってすごく太麺で浪江町に行くとメンバーみんな絶対食べるほど美味しいです。この活動をしていなければ巡り会うのももっと遅くなっていたかもしれないので、嬉しかったことの一つです。

――その焼きそば、グッズとして出しても面白そうですね。

市川優月 ももクロさんがすでにコラボされているんですけど、JA浪江もコラボできたら嬉しいです!

村上順一

市川優月

佐々木彩夏 ももクロとしても浪江町の皆さんと関わりがあるので、道の駅で焼きそばを販売したり。役場の皆さんもすごく協力してくださって、そういうグッズや運営にも携わってくださっています。例えばライブを行う時もお客さんの流れや整理券を配るのも手伝ってくださいますし、歌詞もチェックしてくださったり、すごくサポートしていただいています。そのおかげで活動がすごくスムーズにできています。

――すごいですね! さて、高井さんはこの2年間いかがでした?

高井千帆 浪江町の皆さんの温かさ、町への愛、そこから生まれる結束力というのも見ていてわかりました。もっと気持ちがワクワクするようなそんな存在になれたら嬉しいなと思いながら活動しています。関東でもワンマンライブをやらせていただいて、浪江町に一緒に来てくださる方も増えてきています。本当にたくさんの方に会うことができているので、幸せな活動をさせていただいているなと実感しています。定期的に浪江町に行ってライブをして毎回違う何かを届けられたらいいなと、思いながらやっています。

村上順一

高井千帆

鈴木萌花 浪江町に行くと人の温かさを普段より感じて、心がすごく綺麗になります。私はAMEFURASSHIとしても活動していますけど、JA浪江だとあーりんを始め、B.O.L.Tと播ちゃんと一緒に活動ができるので、学ぶことや刺激をもらうところが沢山あります。すごくありがたい機会だと思いながら活動しています。

――活動している中で刺激的だったことは?

鈴木萌花 あーりんは大きなステージに沢山立っているので、振りつけも常に遠くにいる人に届くようなものにしているんです。フェスなどに出演した時、私たちを見ていない人にもMC中に声をかけていたりするのを見て、「こういうふうにやったら振り向いてもらえるんだ!」とか、すごく勉強になっています。

村上順一

鈴木萌花

佐々木彩夏 私もみんなから学ぶことは沢山あります。JA浪江でライブをやる時はお見送り会を行なっているんですけど、ももクロでは10年ぐらいやっていなくて。それもあって久しぶりにお見送り会をやってみてみんなすごく元気でさすがだなって。短時間でファンの方とコミュニケーションをとることとか、勉強になることが沢山あるので、この活動が個々の成長に繋がったらいいなと思います。

――お互いに刺激し合って良い環境なんですね。内藤さんはこの活動でどんなことを感じましたか。

内藤るな 私は都内に住んでいるので、浪江町が第二の故郷のような、自分が安心する場所になりました。そういう場所が出来たことがすごく嬉しく思います。浪江町の皆さんにお会いするのも毎回すごく楽しみで、皆さんが「おかえりー」とすごく笑顔で迎えてくれるんですよ。その雰囲気がおばあちゃん家に行った時のような感じがあります。

村上順一

内藤るな

“なみえのわ”を広げながら、沢山の方に応援していただけるようなグループに

――第二の故郷、すごくいいですね。さて、1stアルバム『花咲む』というタイトルにはどんな想いが込められていますか。

佐々木彩夏 私たちのコンセプトに浪江町のお花であるコスモスがあります。今作には「桜梅桃李夢物語」や「ミライイロの花」という曲が入っていたり、楽曲の中にもお花がたくさん入ってくるので、私たちもお花のように浪江町や皆さんの心を彩りたいという想いと、「咲む」は微笑むということで、皆さんに笑顔の花が沢山咲くようなアルバムになったらいいなと思い付けました。

――完成してどんな1枚になりましたか。

佐々木彩夏 「なみえのわ」というJA浪江を代表する曲があって、その曲が私たちの活動を凝縮、象徴するような楽曲になっているのですが、2年間活動してきた中で、新しい一面も見せられたらなと思い、「ハレノヒの足跡」という楽曲をリード曲に掲げています。ここからの私たちをもっと楽しみにしてもらえるような作品になったと思います。

――それぞれがお気に入りの曲を教えて下さい!

佐々木彩夏 「ハレノヒの足跡」も気に入っていますが、特に私は「つながる、ウンメイ」がお気に入りです。東日本大震災から10年が過ぎましたが、震災以前の浪江町のことはほとんど知らなくて。震災直後のことは映像で見たくらいの知識なのですが、この2年間でも電車が再開通したことは、私たちも目の当たりにした光景だったので、それを題材にした「つながる、ウンメイ」がすごく印象的で。ここからもっと華やかになっていく浪江町を「もっと見届けたい!」と思わせてくれる1曲です。

愛来 私も「つながる、ウンメイ」はすごくグッときた1曲で、再会や運命に繋がる曲なんです。歌詞もメロディ、振り付けも全てお気に入りの曲になりました。最後に私と千帆ちゃんで一緒に歌うパートがあるのですが、そこは再会をイメージして歌っています。

播磨かな 私はアルバムの最後に収録されている「またキミと。」という曲が好きで、特に出だしのあーりんのソロパートが好きなんです! この曲はライブのアンコール、最後に歌うことが多い曲で、ライブは終わってしまうけどまた会えるよ、という明るい気持ちで終われるので、すごく気に入っています。

小島はな 1曲を選ぶのはすごく悩みますが、私は「桜梅桃李夢物語」です。元気で可愛いし、自己紹介曲なので私たちのことを知ってもらえる曲になっているのもポイントです。振り付けもすごくシンプルなので、初めての方でもすぐ一緒に出来ると思いますし、この曲でメンバーのことをもっと知ってもらえると思います。

鈴木萌花 紹介している歌詞の中にそれぞれ花があるんですけど、その花言葉も調べてもらえたら面白いと思います。播ちゃんの花言葉が「出しゃばり」なんですけど、すごく合ってるなって(笑)。

播磨かな <まるで金魚草>と歌っているんですけど、金魚草ってなんだろう? と調べたら、「出しゃばり」とか「おしゃべり」って出てきて(笑)。

鈴木萌花 私も「桜梅桃李夢物語」が好きです。色んなアイドルさんが自己紹介曲をライブで披露しているのを観て、私もそれでメンバーを覚えたりしていたので、ファンの皆さんにもこの曲を通して私たちのことをより知ってもらえたら、という気持ちがあります。

――AMEFURASSHIでも自己紹介曲が出来るといいですね。では、市川さんは?

市川優月 「ハレノヒの足跡」です。最初に聴いた時から「私、この曲好き!」って思いました。特に落ち込んだ時にこの曲を聴くとすごくポジティブになれるんです。あーりんが歌っている<変わらないために変わりゆくこと>という歌詞がお気に入りで、変わっていくことは悪いことではないけど、変わらないために変わっていくことも沢山あるなと感じました。

――市川さんが思っていたことと重なる部分もあったんですね。鈴木さんは?

高井千帆 「Overture 〜浪江発の風にのって〜」です。コロナ禍でなかなかライブが出来ない状況だったので、YouTubeで配信をしている中でやりたい事などを話したりしていて。そこでOvertureが欲しいと提案して、作っていただきました。そして、今回1stアルバムにも収録できて嬉しいです。

――何か良いことが始まる予感がする、すごく印象的なオープニングですよね。

高井千帆 オープニングで鳴っている風鈴のような音は福島県の伝統工芸品である相馬焼を焼いていて、ヒビが入る音「貫入音」をイメージしています。浪江町を象徴する鳥がカモメなので、その鳴き声や私たちの代表曲「なみえのわ」のメロディも取り入れています。浪江町に住んでいて初めて聴いた方も、もしかしてこの音はあの音かな?と想像していただいて、「ライブに行きたい!」と思ってもらえたら嬉しいです。

――内藤さんのお気に入りは?

内藤るな 「ほれ、あいべ!」です。この曲はあーりんと一緒に歌っていて、浪江町のゆるキャラ「うけどん」を主人公にした楽曲です。うけどんが大切にしている優しさや、愛情がサブテーマになっているところが、すごくいいなと思いました。この曲は他の曲と比べると歌詞がすごくストレートなものになっているので、小さな子たちにも浪江町の良さが伝わる曲になっていて、そこも好きなポイントです!

――最後にJA浪江の展望は?

佐々木彩夏 結成した当初は浪江町の皆さんのお手伝いができたら、ということしか考えていなかったんですけど、活動していく中で普段から私たちのことを応援してくださる方々に新しい一面も見ていただきたい、東京で大きな舞台に立ちたいと思いました。そうすれば浪江町に行きたいと思ってもらうことにも繋がるだろうなと思います。例えば日本武道館を埋められるくらい大きくなって、そこに来てくれた皆さんが浪江町に行ったら、浪江町の方もビックリしてくれるだろうなと思って。“なみえのわ”を広げながら、沢山の方に応援していただけるようなグループにしていきたいです。

――すごく目的がしっかりしているグループなので、軸がブレないですよね。

佐々木彩夏 はい。何をするにも浪江町が選択の基準になりますし、応援してくださる皆さんも浪江町に行きたいと思ってくれた方は、私たちと遠足に行くような感じで応援しやすいグループでもあると感じています。ちょっとでも浪江町に興味を持っていただけたら嬉しいので、皆さん応援宜しくお願いします。

(おわり)

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村上順一
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