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元AKB48の樋渡結依が、舞台『ぼくらの七日間戦争』(2月2日~6日、東京建物 Brillia HALL)にヒロイン・中山ひとみ(演・北澤早紀/AKB48)の親友・橋口純子役で出演する。1988年に映画化され社会現象にもなった名作。2020年秋に舞台化され、その再演となる。初めて舞台を踏む樋渡は「やり切ったと思えるように頑張りたい」と気合十分だ。【取材・撮影=木村武雄】
※2月2日、3日の公演は中止となりました。
卒業して思うこと
――2019年11月にAKB48を卒業してから約2年が経ちますが、現在どう感じていますか。
子役の頃に所属していた事務所に戻りました。慣れ親しんだ事務所なので安心して活動ができています。AKB48に所属していた頃と違うのは、オーディションを受けないと仕事が得られないという点です。子役の頃に戻った感覚もあるんですけど、コロナ禍もあり改めて大変さを実感しています、あとは私の努力次第だなって思います。
――卒業後に気付いたAKB48のメンバーであることの良さは?
ステージイベントが多くあったので、毎日忙しく過ごして充実していたなと思います。仲間も近くにいて「皆で一緒にやろう」という雰囲気が温かくて。でも仲間であってライバルでもあるので難しさもありました。メンバーが多い分、前に出て目立って見つけてもらいたいという気持ちも大事で。私は競うこと自体が苦手で、立ち位置も先輩が前に行くべきと考えていたので控えめでした。でも「AKBではそれは違うのかな」と途中から変わっていって。AKB48の頃も今もそれぞれに良いところはあるんですけど、AKB48を卒業してからそういうのがなくなり、自分のペースでお仕事をやらせて頂けるようになったのは良かったと思います。
――では今は充実されている?
AKB48の頃は高校生だったこともあって、毎日に追われていてストレスに感じるところもありました。もちろん楽しいこともたくさんあって。卒業してからは皆さんの支えがあってこそですが、自分の力でやらないといけない部分もあります。でも芸能活動と学業を両立させてもらえているのはありがたいです。
――メンバーとはいまも連絡を取り合っていますか?
連絡取ってます。同期のみんなとか馬嘉伶です。いまも大切な存在です。
――今目指しているものは?
最近は、リポーターの仕事をやらせて頂けたらいいなと思っています。地方に行ってその土地のグルメを食べてリポートしたり、お天気お姉さんのようなお仕事ができたらいいなって。
――なぜリポーター?
卒業して日が経っていない頃はバラエティ番組に出たいと思っていました。でももともとおしゃべりを活かした仕事をさせて頂きたいと思っていましたし、いろんなテレビ番組を観てリポーターのお仕事は楽しそうだなと思えて、難しさももちろんあると思いますが、挑戦してみたいと今は思っています。
緊張の本読み
――そのなかで今回初舞台となります。出演が決まった時の心境は?
率直に「私にできるのかな?」って思いました。これまでに先輩の舞台を観させて頂いて「すごいな」と毎回思っていましたが、まさか私がと(笑)。セリフを覚えられるかなとか、こんなに大きな動きはできるかなって。でも「頑張らないとな」という気持ちでした。
――稽古場の雰囲気はどうですか?
コロナ対策もあって、共演者同士でご飯に行ったり雑談することがあまりないなかで、稽古も10日以上やってきてお互いのことも分かるようになってきました。みんなさん優しくて、先輩には(北澤)早紀さんがいるので、分からないときは早紀さんに聞いたり、純子の母親を演じる月影瞳さんも「写真撮ろう」と言って下さったり優しい雰囲気です。
――最初は緊張もありましたか?
緊張しました! 顔合わせが本読みでした。どんな感じなんだろうとソワソワしていて、セリフは全部覚えて行きましたが、みなさんの声の迫力や演技がすごくて圧倒されました。
――自分のセリフが回ってくるまで心臓が…?
もうバクバクしていました! 私の最初は叫ぶセリフなんですよ! 「えっ…!?」という恥ずかしさと緊張もありましたが、「キャー!」に全力を込めました!
――声が裏返らなかった?
大丈夫でした!(笑)でもよりによって第一声が「キャー!」だなんて(笑)。もちろん今は平気です(笑)
――第一声が叫びだったおかげで、緊張も解けて一気に入り込めたんじゃないですか?
確かにそれはありました! それと仲のいい女の子には、早紀さんのひとみと、たこやきレインボーの彩木咲良さんが演じる堀場久美子、そして私の3人がいて、読み合わせの時は咲良ちゃんが隣で、早紀さんとは席が離れていたんですけど、始まる前に少し喋れたのでホッとしたところもありました。
――北澤さんとはAKB48時代は同じチームでしたよね。
同じチームBでした。早紀さんは後輩に優しくて、怒ったところをみたことないです!
――久々に会ってどうでした?
早紀さんは優しいから久しぶりに会う緊張のようなドキドキした気持ちはありませんでした。でも早紀さんが舞台で演技している姿は新鮮でした。とても力強いんです。
――役どころも強いキャラクターですよね。
そうなんです。リーダー感があって、それが出せているのはさすがだなって思いました。演技力もありますし、舞台も数多くやられているのですごいです。
感情表現に難しさ
――樋渡さんが演じる橋口純子はどんなキャラクターですか?
純子ちゃんは女の子らしくて、3人の中でもちょっとぶりっこ。好きな男の子には一途で積極的。男の子とも仲良くて、男女ともに協力できる、3人のなかで一番明るい子です。
――当初考えていた人物像に変化はありましたか?
台本を読んだ時はおとなしめで、久美子ちゃんに守られているタイプなのかなと思っていました。可愛いけどちょっと弱々しいというか。でも実際には想像していたよりも明るくて、誰かに守られているよりかは守るようなタイプ。誰かが喧嘩していたら笑顔で止めるような感じの女の子でした。実際に喧嘩のシーンがありますが、最初は遠慮しがちに止めに入っていたんですけど、軽くあしらうような「やめてやめて」みたいな感じになって。きっと私の役が明るくないと3人でいる時に暗くなってしまうのかなって。
――ムードメーカー的な?
そうなんです。ぶりっこだけど明るくて。なので途中から変えました。
――演出の久保田さんからはどんなことを?
最初は演技しようと思っていたんです。おとなしめにやっていたり、純子は主人公の菊地英治(演・校條拳太朗)が好きなんですけど、初対面ともあって控えめになってしまったんです。そんな時に「もう少し好きな感じを出した方がいいよ」と教えて下さって。先生に殴られて「よくないです」と止めに入る場面でも「もうちょっと好きな気持ちと先生のことを怖がるような感情を入れてみて」と指導して下さいました。最初は弱くやったら弱すぎて、次にしてみたら素の私が出て「止めてください!」と強くなってしまい「それよりも落として」と。その加減が難しくて今もドキドキしながら稽古しています。なので怒っている時の純子ちゃんは難しいです。ぶりっ子している純子ちゃんはアイドル時代の私を少し誇張する感じなのでやりやすいです(笑)。
――心情を作っていくのも初めての経験ですが、何か発見は?
舞台ならではだとなって思いました。楽しいと思ったのが、立ち位置や動きも本人に任せていて、途中で演出家さんに直されるところもあるんですけど、舞台にいるときの演技がそれぞれに委ねられていることです。好きな子が殴られた時に自然に近づいたり、演出家さんにも「今のところは近づきたくない?」と言われ「いいんですか?」「いいよ?」と。子役の頃の記憶が今もあって、CM撮影では立ち位置などが全部決まっていたんですけど、それとは真逆のような感じで「舞台って結構自由なんだな」って。「うわー」と感情が溢れた時は早紀さんに抱きついたり、またはハイタッチしたり。自由にやれる分、難しさもありますが、面白く感じています。
――それだけ役になり切っていないと難しいですね。今はなり切れていますか?
純子というキャラクターはもともと入りやすい役ですし、だんだんとなり切れています!
――気が早いですが、千秋楽を迎えた自分はどう感じていると思いますか?
今は緊張しかなくて想像はつかないんですけど、コロナ対策の上で共演の方とコミュニケーションが取れてきて、雰囲気も良く団結力も高まっています。本番に向けてどんどん楽しくなっていくじゃないかと思っています。そのうえで、願望もありますが、千秋楽を迎えた時には「やり切ったな」と思えたらいいなと思います!
――目指す方向も変わるかも?
それはまだ分からないです。でも「演技はこういうものだ」ということをちゃんと理解できていたらいいなと思います。
(おわり)
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