宇多田ヒカルが自身の誕生日である1月19日、スタジオライブ「Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios」を配信した。このスタジオライブは、1月19日に先行配信リリース、2月23日にパッケージリリースされる3年7カ月ぶり通算8枚目となるスタジオアルバム『BADモード』の収録曲をライブパフォーマンスで初披露するというもので、ロンドンの名門レコーディングスタジオであるAir Studiosで収録。ニューアルバムのリリース日に、その収録曲の大半をライブパフォーマンスで披露するのは宇多田にとって初の試み。スタジオライブはニューアルバム『BADモード』の曲を中心にUtada名義アルバム『Exodus』から「Hotel Lobby」、「About Me」の2曲も演奏し、全11曲を披露した。スタジオライブの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

 開演前からこのスタジオライブへのワクワク感がチャットコメント欄に溢れていた。

 開演時刻になりサポートメンバーに続いて、宇多田もスタジオに入りスタンバイ。宇多田はマイクの前に立ち、小動物のような可愛らしい声を発すると、サポートメンバーも笑顔に。良い空気感の中アルバムの表題曲「BADモード」で幕は開けた。躍動感のあるリズムに透明感のある宇多田の歌声とのコントラストが絶妙なナンバーだ。間奏でのSowento Kinch(Sax)によるソロも緊張と緩和を感じさせてくれる。

「Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios」の模様

 続いての「One Last Kiss」では、歌と演奏の融合、見事に曲と一体化する宇多田の姿があった。チャットコメント欄では「音の広がりがハンパない」などサウンド面に感動する声も上がっていた。そして、TBS系ドラマ『最愛』の主題歌に起用されていたのも記憶に新しい「君に夢中」を届けた。宇多田の歌声の幅広い表現力を感じさせてくれた1曲でもあった。

 イントロのアナログシンセサイザーの存在感のある音色が浮遊感のある世界観を作り上げていた「誰にも言わない」。サックスと対話するかのような宇多田の歌も印象的で、どっぷりと楽曲の世界へと誘ってくれる。続けて届けたのはタイトなビートに英詞のリズムが心地よい「Find Love」。ずっしりと音の量感が伝わってくるのも素晴らしかった。

 「Time」では、ストーリー性を感じさせる楽曲の構成に対する宇多田の感情の乗せ方が秀逸。いつまでもループして聴いていたくなるような空間を紡いでいく。そして「PINK BLOOD」では音源よりも生々しさが伝わってくるアレンジで厚みのある音を堪能。続いてはReuben James(Key)によるピアノが印象的な「Face My Fears(English Version)」では、高揚感はそのままに音源よりもエッジを和らげたライブならではのアレンジで魅了。

「Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios」の模様

 ここで、2004年にリリースされたUtada名義アルバム『Exodus』から「Hotel Lobby」を披露。このサプライズとも言える選曲にチャット欄も「選曲やばい」、「このセトリはエグい」、「懐かしいのに新しい不思議な感覚」など“今”の宇多田ヒカルが奏でる「Hotel Lobby」に感銘の声が多く上がった。

 再びニューアルバムから「Beautiful World(Da Capo Version)」。Henry Bowers-Broadbent(Key.Gt)が奏でるアコースティックギターのアルペジオが切なく響くなか、宇多田のエモーショナルな歌声を届ける。閉鎖的な空間から徐々に光が広がっていくかのような、まさに“美しい世界”を想起させるパフォーマンスだった。

 ラストを飾ったのは再び『Exodus』から「About Me」を披露。過去の曲とはいえ、全くと言っていいほど古さを感じさせない。今の楽曲といっても誰も疑わない普遍的なものを感じさせるなか、幕は閉じた。

「Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios」の模様

 最後に宇多田はこの時間を共有してくれたリスナーに感謝の言葉を述べた。

 「一緒に時間を過ごしてくれてありがとうございました。私たちと同じくらい楽しんでもらえていたらいいなと思います。普通の会場みたいなところでのライブは今回できなかったけど、普段は共有できない中の奥の方の特別な空間を初めて共有できたような気がしているので、それをみんなも感じてくれていたらいいなと思います。みんな元気でまた会いましょう。またね、ありがとう」と、画面の向こうからメッセージを送った。

 約1時間、包み込まれるような至高の時間だった。楽曲と歌、音楽そのものの良さをシンプルに伝えてくれたステージで、生のライブとはまた違った魅力に溢れていた。それはリスナーも強く感じていたことだろう。そして、さらに生ライブへの期待感も高まり、パンデミックという状況だからこそ、一丸となって乗り越えていかなければと思わせてくれたパフォーマンスだった。

 そして、配信ライブ終了後には「BADモード」のミュージックビデオが世界最速で公開された。配信が終了した後も誕生日をお祝いするメッセージや、感動を伝えるコメントで溢れていた。

セットリスト

M1.BADモード
M2.One Last Kiss
M3.君に夢中
M4.誰にも言わない
M5.Find Love
M6.Time
M7.PINK BLOOD
M8.Face My Fears (English Version)
M9.Hotel Lobby
M10.Beautiful World (Da Capo Version)
M11.About Me

Musicians

宇多田ヒカル(Vo)
Jodi Milliner(Ba)
Earl Harvin(Dr)
Henry Bowers-Broadbent(Key.Gt)
Ruth O'Mahony Brady(Key)
Will Fry(Perc)
Sowento Kinch(Sax)
Reuben James(Key)

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