androp、松風理咲、中島亜梨沙

 「androp“music story”act1 ~Christmas Radio~」が23日、恵比寿ザ・ガーデンホールで開催された。

 ライブと演劇を組み合わせたコンセプトライブを“music story”と題したのは、androp と自身との出会いのきっかけでもあるドラマ『グッド・ドクター』のプロデューサーでありコンテンツプロデューサー/story planner の藤野良太(storyboard)。androp の楽曲をベースに書き下ろした脚本を androp のライブ演奏を融合させたステージに仕上げ、それをクリスマスの時期に届けることで、ファンタジーのような現実世界の奇跡のような不思議な感覚を味合わせる。

 「ライブと演劇の融合ステージは、まだ新しいジャンルではあるが、いつか“music story”として確立されたジャンルになる予感すら感じる」という藤野。「音楽には様々な表現方法があります。これまでとは違う伝え方で心に届ける方法、それが“music story”となれたら」とその思いに応えたのは androp ボーカル内澤崇仁。

 公演の始まり、androp の楽曲「Know How」で幕を開けた。長く続くコロナ禍。ライブに飢えていた観客の目が輝いていく中、演奏中に演劇が入る。観客は冒頭から『ライブ×演劇=“music story”』を見せつけられ、ストーリーの世界に引き込まれていく...。

 ラジオブースに明かりが灯る。ラジオ DJ が陽気にオープニングトークを始める。明るく自由奔放なラジオ DJ(松風理咲)。すると、ラジオブースに迷い込んできたのは記憶のあやふやな女性、金子杏奈(中島亜梨沙)。DJ は杏奈をゲストに迎え、二人のトークが繰り広げられていく。杏奈の心境や想いを汲んで楽曲紹介をする DJ。少しずつ杏奈の記憶が戻る中で明らかになっていく過去と現在。そこには想像もできない感動の結末が待っていた。

 公演は、演劇⇔演奏といった流れ。ライブと演劇が融合していくことを体感することで、観客は“music story”の深みにハマっていく。女優二人の熱演する演劇に引き込まれていく中、DJ が紹介していくナンバーは andop の楽曲だ。

 androp の演奏が芝居をより具現化させ、また、その芝居により、androp の楽曲に込められた意味や想いがより深く伝わり、相乗効果が生まれる。これが、藤野のこだわった“music story”の神髄だ。androp の素晴らしい楽曲とライブ。

 そして、藤野が描いた脚本・演出を圧巻の演技で表現してくれた二人の女優がいたからこそなし得たステージだ。

 公演の最後は、コロナ禍の中で生まれた androp の楽曲『SuperCar』。“どんなに辛いことがあっても、苦しいことがあっても、いつかきっと笑える日がくる。”といった演劇の台詞に様々な思いが込められていることを感じ取った会場は温かなムードの中エンドロールへ。ステージには androp、松風、中島が勢揃いし、代表して androp ボーカル内澤が挨拶。「最後に androp からのクリスマスプレゼントとしてもう一曲を披露します」という声に応えるように会場からは大きな拍手。ひとつの"終わり"から、その先に繋がる"始まり"を歌った名曲『End roll』を披露。まさに本公演のラストに相応しい楽曲で、androp 初の試みとなった、ライブと演劇を組み合わせたコンセプトライブ“music story”は感動のステージとなって幕を閉じた。

 なお、本公演は 12 月 24 日(金)も開催され、24 日公演はライブ配信、またアーカイブ配信も実施される予定だ。その他詳細は本公演特設サイトをチェック。

Photos